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第1翔『大きな木の下で』

太陽が人々を見下ろし、秋という季節には似合わぬ熱を振り撒いている。

 岸核勾は久しぶりに真っ赤な自らの翼を使い、飛翔していた。特に意味はない。ただ、高いところからどこか遠くを見たくなったのだ。

 暑い。それが彼女の初めに抱いた感想であった。飛び立つ前にわかっていたことであったが、昇ることで改めて実感させられた。

 肩と腰に見える二対の翼が、イカロスの羽になったかのような錯覚さえおぼえる。

 勾は体の強いほうではない。たちまち耐え切れなくなり、地上へと戻る。小走りに木陰の方へと向かった。

 見えた木陰の主は大樹。彼女が生まれる前からある巨木。樹齢は数百年を由に超えていた。

 背中を幹に預け、目を伏せる。風と木々が奏でる音楽が聞こえる。

 ふと、辺りを見回す。

「誰も、いない」

 勾はそう声を出す。しかし彼女はそれが恥ずかしくなる。

「こんにちは」

 視線の少し先に『誰か』がいたからだ。

 少年が立っていたから。

 蒼い、少年が立っていたから。

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