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無表情少女の歩む道  作者: 日向猫
第一章 異世界再誕
6/29

第5話 モルガナへの道

説明回、世界観について語ります。

読まずともおそらく問題ないかと。


2011.3.9 大幅に修正加筆


 ドナドナ~♪



気分は市場に連れて行かれる牛そのもの・・・。

現在、モルガナに向かって出発した所です。

両親は馬車が見えなくなるまで見送ってくれていました。

手紙での連絡を約束しましたが、よくよく考えれば私まだ字が書けないし読めません。

しばらくはルシフ神父に読んでもらって代筆をお願いしましょう。

おいおい覚えることとします。


出発以来ルシフ神父はなにかと私を気にかけてくれます。

まぁ、三歳で親元を離れる子供に対して気を使ってくれているのでしょう。

しかし、この馬車スプリングもないから衝撃や振動がもろに・・・・・うぷっ











気を取り直していきましょう。

モルガナまでは早馬で半日、馬車で一日くらいかかるそうです、徒歩だと三日くらい?

私の事を気遣って少しゆっくりめで走っているそうです。

ありがたいことですが、この乗り心地でゆっくり丁重に走ってるの?

挫けそうです、うぅ、軟弱なこの身が恨めしいです。

二時間くらいに一度の割合で休憩を挟みつつ移動するのでモルガナには明日の昼頃に着くそうな。

ただ座っているのも退屈です。

ちょっと回りを観察、馬車の中には私とルシフ神父、あと護衛の神官戦士の方が一人います。

他の二人は馬車の運転と周囲の警戒中みたいです。

馬車はなだらかな平野の道を進んでいきます。


正直、観察は飽きました・・・・。


ルシフ神父は持参した書物を読んでいます、この振動の中よく本なんか読めるな?気持ち悪くならないのか?

神官戦士の方は目を瞑り腕を組んで眠っている・・・・・のでしょうか?

馬車の中は変化がありません、仕方のないことですが退屈です。

外を見ても代わり映えのしない景色が続きますし・・・・・・。

そうだ、いい機会なのでルシフ神父にこの世界のこと、この大陸のこと、この国のこと


いろいろ聞いてみよう。





















「この世界のことですか?」


「ん」


「そうですね、短いとはいえ初めての旅ですし、いろいろ知っていたほうがいいでしょう。」


「ん」


「では、なにから説明しましょうか?」


「世界」


私がそういうとルシフ神父は苦笑して


「世界ときましたか、少し範囲が広すぎますね?なにがしりたいのですか?」


「世界、名」


「あぁ、世界の名前ですか・・・・」


ルシフ神父は読んでいた書物を閉じると


「この世界に名はありません・・・」


そう言ったのだ、なぜか悲しそうに・・・。


「もともとこの世界に名はあったのだそうです、ですが遥か昔に失われてしまったのですよ」


「なぜ?」


「そうですね、遥か過去、この世界には二つの巨大な国家があったそうです。

 強大な軍事力を持っていた二つの国家は世界の覇権をめぐって対立していました。

 やがて彼らは武器を持って争うようになり最後には世界を巻き込んで自滅したのです。」


「自滅?」


「ええ、自滅です、強すぎる力でもって全てを焼き払ってしまったのでしょう。

 自分達諸共に・・・、そして世界にも深い爪あとが残されたといいます。」


ルシフ神父は窓の外を眺めながら


「今でこそ緑溢れる大地ですが、大戦の後は酷いものだったと文献にしるされています。

 生き残った僅かな人々は、地下に篭らねば生きられぬほど大地は荒廃してしまったとか。」


そして世界から名が失われたという・・・・ルシフ神父はそう続けた。


でも何故、今尚名がないのか?

ないならつければいいと思うのですが何故誰もつけないのでしょう?

私の考えを察したのか、ルシフ神父は


「確かに名をつけようとした事はあります。

 300年前に大陸を統一した国が世界に名をつけようとしました。」


ですがと神父。


「時の大賢者アラスールが現れ、世界の名をつける事を止めたのです」


「なぜ?」


「人は物事に対して名前をつけたがります、物や土地、動物、自然現象にまで。

 そして人は名を持つものを欲しがります。

 なら世界に名をつけてしまえばどうなるでしょう?

 過去の人々のように世界をめぐって争うことに繋がるのでは?と大賢者は言ったそうです。」


名前がないことにこそ意味があるのだと、過去の人々の愚行を忘れぬために

だから世界には名前がなく、ただ世界と、あるいは名も無き世界と呼ぶようになったそうだ。


















それから私はこの大陸の事を聞いた。

私たちのいる大陸、名をジィアースというそうだ、アースって大地ですか?まんまですね。

ジィがついてるだけじゃん・・・という突っ込みは飲み込むことにした。

この名にも意味があった。

ジィは、この世界の古代語で死、あるいは荒廃を意味するそうだ。


ジィアース、荒廃した大地。


この名もまた過去を戒めるためのものであるらしい。

もう二度と失われないようにという思いを込めて。

大陸の周辺に大小の島々があるそうですが、他の大陸が存在するのかは不明だそうです。

過去の戦争の影響で変異種、所謂魔物が生まれ、その脅威は海にもその影響を及ぼしているようだ。

海の魔物は総じて巨大で人の手では討伐できない事がほとんどらしい。

結果、航海技術は発達せず、精々が近海付近での輸送か漁業どまりだとかなんとも残念なことだ。











この大陸には複数の国家が存在します。


まずこの国、アウラスタ王国

一騎当千でならす騎士団を抱える王制国家。

小国ながら精強な騎士団を抱え4年前の戦争でその武名を大陸に轟かせたとか。

私の両親もこの戦争に参加していたそうです。

ルシフ神父は当時の事を懐かしそうに語ってくれた。

なんとあの父が元とは言え騎士だったとか、母が冒険者だったとか聞きました。

びっくりですね、父はともかくあの母が剣とか槍を振り回すのは正直想像できませんでした。

人に歴史ありといいますが、どういう経緯であの二人は出会って結ばれたのでしょうか?

正直、騎士と冒険者って接点ないと思うのだが・・・。


おっと話が逸れましたね、国の話でした。

この国、この世界では珍しく国民の識学率がそこそこ高いようです。

他国では一般庶民はほとんど読み書きできないそうです。

そこそこ裕福な家の子や商家の子は幼少よりある程度の勉学を学ぶようです。

それに比べてこの国は、一般庶民でも大抵読み書きが出来るとか。

国が教育に力を入れているのはすばらしいことですね。

あと特徴としてこの国にはオラクル所持者と呼ばれる人が多く生まれるそうです。

歴史に名を残す有名人は大概この国の出身者なのだとか先ほどの話で出てきた大賢者も

元はこの地方出身なのだとか。

それを考えるとすごい国かもしれません。

オラクル所持者とは産まれつき特殊な力を持って生まれてくる人の事だそうです。


魔法とは違うのだろうか?


「魔法、違う?」


疑問に思ってルシフ神父に聞いてみた。


「魔法?・・・・あぁ魔術の事ですか?魔術とオラクルは別物ですよ」


神父の話では神の奇跡らしいですが、ようは超能力とかの類ではないのですか?

神父のテレパシーとかまさにそんな感じですし。

え?違うの?他にも色々種類がある?

私もそうだって?またまた~、私そんな力ありませんよ?

たしか私という存在が奇跡みたいなものだけど、転生者だし、前世の記憶あるしね

ようは魔法、いや魔術か・・・とは別の特殊能力保持者がいるという認識でいいだろう。

そこに私がどう関わってくるかは・・・、おいおい解かることでしょう。


国の説明を続けよう。


次は隣国、同盟国でもあるロンバル聖王国。

アウラスタの南に位置する王制国家でアウラスタ出身の

聖騎士フリージアが160年ほど前に建国した国。

数々の戦火を経て大国へとのし上がった強国だそうだ。

アウラスタとは同盟関係にあるものの、4年前の戦争では援軍要請を拒否されたとか。

戦争終盤で漁夫の利を持って言ったとかあんまり良くは思われてないみたいです。

次は軍事大国ガハラバード、アウラスタの東に位置した大国でした。

オラクル所持者を奴隷のように扱っていたこの国家は4年前にロンバル聖王国の手によって

滅ぼされています。


残党は現在もロンバル聖王国内でテロ活動を行っているらしい・・・・・・・ざまぁ

でもアウラスタを逆恨みしている者もいるとか、要注意です。


最後に北の大帝国ルッカーナ。

大陸一の領土を誇り、その軍事力は大陸一だとか。

大陸の盟主を謳う帝政国家です。

他にも小国がいくつか点在するようですがあまり関係はなさそうなので端折ります。

この国家の他に、大陸周辺の島国が連合を結成していて、諸島連合国を名乗っているそうですが

ルッカーナはその国を認めていません。

よって彼ら諸島連合国は島々の組合扱いになっていて国として相手にされていない様です。


そしてこの国々の中にあって独立した勢力として認められているのが教会でありギルドです。

教会は私がお世話になる教会の事です。

正式な名称は「聖天教会」というそうです。

大陸中の町や村に支部を持ち、オラクル所持者の保護や教育、一般人に対しての相談

窓口として機能しているとか。


どの支部にも必ず癒し手と呼ばれる神官が二人から三人はいて、

人々の治療などをうけおっているとか。

起源は300年ほど前に遡る、動乱の最中にあった大陸にキムラ・スターと呼ばれる

人物が突如現れ、大陸の動乱を終結に導き、何処かえと去っていったとか。

人々は彼女を称えて、聖天使と呼んだといいます。

金髪碧眼で背中に翼があったとか、実は黒髪黒眼だったとかいろいろ伝わっているそうですが

300年の歳月の中で、正確な情報は失われてしまったそうです。

それでも彼女の成したことを無駄にしないために、残された人々は教会を作り

彼女偉業を忘れない為に彼女の通り名であった聖天使から名を貰い、聖天教会と名乗り

出したのが始まりらしいす。


それにしてもキムラ・スターですか・・・キムラ・スター・・・・木村?スターは星かな?

木村 星さん?日本人ですかね?異世界召喚でもされたのか?


どっちにしろ、はっちゃけすぎだろう。

日々のストレスでも溜まってたのかな?二十台後半の女性だったというし・・・・。


それからギルドですね。

これはそのまま冒険者ギルドといいます。大陸各地に支部を持ち、国家から庶民まで

さまざまな依頼を取り扱っているそうです。

将来的には冒険者になるのも悪くないかもしれませんね。


彼らの仕事は多岐にわたります。

それこそ雑用のような仕事や採集の代行、魔物退治や商人の護衛など様々です。

教会とギルドはどの国家にも属せず、どの国家にも干渉されない中立勢力です。

四年前の戦争は特別な事例であって、基本争いには不干渉だそうです。

ギルドもまた同様で、依頼されれば傭兵として冒険者を派遣することもあるそうですが

積極的に戦争行為に介入することはないそうです。


国家や組織に関してはこんな所ですかね。

他にも気になっていることを聞いて見ましょう。


すばり、生態系についてです!

ずっと気になっていたのです、馬とかを見てから明らかに私の知るものとは違いますから。

馬はなんかこう皮膚の表面が鱗?

あと顔が怪獣ぽい、なんか竜とか麒麟みたいな感じなのだ。


気になるので聞いてみた。














馬は竜馬というらしい。

走竜馬そうりゅうばという種で走るのがとても得意な馬なのだととか。

持久力が高く、大人しいため、人の手で飼育されることが多いそうだ。


他には?他にはどんないきものがいるの?




この世界には多くの種族がいるらしい。

人を始として獣人や竜人、エルフやドワーフような妖精種なんかもいるそうだ。

獣人は部族単位で各地に点在しているか、人に混じって生活しているかのどちらだとか。

竜人は種族内で国家を形成して独立を保っているそうです。

彼らは非情に誇り高く、厳格な武人気質の人がほとんどらしいので、もし出会うことがあっても

彼らには礼儀を尽くすよう言われた。


人型といっても竜は竜、下手に怒らせると人間程度だと片手で殺せるらしい


・・・・ブルブルガタガタ


エルフやドワーフは自分達の生活区域から出てくることは稀らしい。

エルフにドワーフですか、実際に見てみたいものですね。


















そして変異種。





魔物、魔獣を始とした人を捕食するもの。

魔物、ゲームなんかに出てくるモンスターみたいなものだろうか?

過去の大戦の影響で原住生物が変異したもの。

明確な敵意を持って襲い掛かってくるものがほとんどだとか。

町や村から出る際は魔物に十分注意する必要があるそうです。












そう聞きながら私は先ほどの戦争の話を思い出していた。

明確な脅威がありながら人は人と争う・・・。

どこまでいっても、たとえ異世界でも人間の敵は人間ということなのだろうか。


そう思うと少し悲しくなった。







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