表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無表情少女の歩む道  作者: 日向猫
第一章 異世界再誕
5/29

第4話 神父が受けとったもの

今回は短いです

 





天啓という言葉がある


天からの啓示という意味を持つ言葉

天啓とはどのようなものだろうか?

言葉?それとも何かしらの現象?

どのような時、どのような人が受けるのか、それは受けた本人にしか解かるまい。





















side ルシフ


「こんにちは神父さま」


その瞬間私は言い知れぬ感覚に包まれました。

まるで天上からの光に包まれたような地の底から湧き上がる熱に包まれたような

大気が震えるような、そんな言い知れぬ感覚。

他者に説明せよと言われても無理でしょう。

こればかりは受けた本人しか解からないでしょうから。


天啓


この感覚には覚えがある。

4年前のあの日、テオドール殿の治療を買って出た時と同じ感覚。

いやそれ以上の感覚に私は包まれた。

時間にして一瞬だったのでしょうか?

私の様子にテオドール殿もローラ殿も気付いた様子がないですから。

ですがその一瞬で私の全ては決まったといって良いでしょう。

目の前には無表情に私を見つめる黄金の瞳

銀髪と神の奇跡の証、稀有なる瞳を持つ少女がいた。

そして私は理解していた。

今この瞬間こそ私が生きてきた理由だと。

テオドール殿を救ったのもこの瞬間のためにあったのだと、私は理解したのです。

すべては繋がっていた。

私の行動全てが、彼女を庇護する為にあったのだと。

この日この時をもって、私は彼女の絶対擁護者となったです。





















side アウラ


神父さまの眼がマジ怖い件について・・・・・。

すごく真剣な眼で私を見てくる・・・・・。


目力パネェっすよ。


そこまで真剣に私を保護しようとしてくれているってこと?

父と母の知り合いみたいだし・・・。


信頼は出来るのかな?


まぁしばらくは世話になる他ないのだし、信頼できる人のがいいのは確かだが。

なんか生真面目そうな人なんだよねぇ・・・・。























side テオドール


ルシフ・カナード神父、私の命の恩人だ。

彼以上に信頼できる教会員を私は知らない。

彼がモルガナに赴任していたのは幸運だった。

以前は王都にいたしな。

我が子を預ける上でやはり信頼できる人物がいるのは大きい。

命の恩人である彼ならば信頼してアウラを預けられると思ったのだ。

案の定、彼は真摯な眼差しをアウラに送っていた。


彼ならば大丈夫だろう。














side ローラ


とうとうこの日が来た。

別れの日、いつでも会えるというけどそれでもモルガナとハイネンは距離がある。

おいそれと行ける距離ではないのだ。

手紙でのやり取りは約束しているがそれでも我子との別れは辛い。

身が引き裂かれそうだ。

ルシフ神父、彼がアウラを責任持って預かるといってくれた。

彼は誠実な人だ、他の教会員や教徒からの信頼も厚い、何より夫の命の恩人だ。

アウラに対してもとても真摯に瞳を向けている。

彼ならば大丈夫だろうか?

アウラ、私の愛しい子。


離れていても私は貴方を想っているわ。





















side アウラ


ようやく神父動いた。

固まって動かなくなったから電池でも切れたかと思ったぞ。

父はなにやらうんうん頷いているし、母は涙眼で私を見ている。


居心地わる・・・・・。


神父が私の手を取って


「はじめまして、アウラ嬢

 私はルシフ・カナードという者です」


にこやかに挨拶してきたので私も挨拶を返すことにした。


「ん、よろ」(どうも、よろしくお願いします)


て、あぁ!


また単語になってる!

さっきは旨く喋れたのになんでだっ!!

そう思っていたら


『大丈夫ですよ、アウラ嬢』


と頭に言葉が響いたのだ!!

びっくりして神父を見返すとにっこり笑って


『私のオラクルは人の心に触れられるのです

 こうして身体のどこかに接触していれば心で会話できるのですよ』


おおっ!すごい!

テレパシーってやつですか?てことは今この思考も読まれてる?


じっと神父を見返すと


『ああ、思考が読めるわけではありませんよ?

 貴方が心の中で話そうと思った言葉を読み取れるだけです』


つまり言葉に出そうと思わない限り読めないって事か?


「どう?」(もしもーし、聞こえますか?)


これでどうだ?


『ええ、聞こえますよ』


そう言ってまたにっこり笑ったのだ。


おおっ!


意思の疎通が図れるとはなんと便利なことか。

この身になってからというもの、ろくに喋る事もできなかったのだが

意志が伝えられると言う事がこれほど便利だとは思わなかった。


ならば伝えてもらおう、私の代わりに両親に。


『・・・・!』


お願いします、伝えてください。

それが私の偽りのない気持ちです。


『わかりました、伝えましょう』


「テオドール殿、ローラ殿」


神父が両親に声をかけた。

ちよっと恥ずかしいね、でも大切なこと。

どうしても伝えてほしかった。


「アウラ嬢から貴方方へ」


私から両親へ、こんな不出来な私だけど


「産んでくれてありがとう・・・と」


それを聞いた瞬間、母わっと泣き出して私に駆け寄ると強く抱きしめてくれた。


「私のほうこそありがとねっ!産まれてくれてありがとねっ!」


強く強く抱いてくれた。

父も目を真っ赤にして私たちを見守ってくれていた。

神父も笑顔で私たちを見ていた。






翌日、私は神父と共にモルガナの町目指して

馬車に揺られて旅立ったのです。


父と母は私たちが見えなくなるまでずっと見送ってくれていました。







































・・・・・・・・・・私が父と母に再会するのはこれから12年も先の事となるのです






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ