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無表情少女の歩む道  作者: 日向猫
第一章 異世界再誕
12/29

幕間2 カリーナの三年間(カリーナ視点)

本編の内容が薄い気がしたので別人物の視点を追加


10話に入る前に各キャラの視点話を追加したいと思います。





アウラが教会に来て早三年の月日が過ぎていた。

私はふと、この三年間を思い出す。

















アウラは表情や感情を表に出さない子供だった。

気になってルシフ神父に確認したところ

オラクルの影響か感情を表現する機能が無いとの事だった。

最初は戸惑いの連続だった。

これまでの子供たちとは違い、表情から感情を読み取る事が出来なかったからだ。

仕草や行動で、意志や思考を読み取ろうと試みたが困難を極めた。

無表情でちまちま動く彼女を見るのは、コミカルで可愛らしいものであったが・・・。


彼女が最初に問題を起こしたのは、彼女が教会にやってきた当日の夜だった。

その日、アウラは教会に来てそうそう、魔術を習いたいと言い出した。

シスターネーナが許可を求めてきたがむろん私は反対した。


まだ幼い子供が、抜き身の刃を得るような行為を許容する事などできなかった。

魔術は武器である。

それも極めて強力な。


人一人くらいなら簡単に殺せるだろう。

なんの防御手段を持たぬなら尚更だ。

そんな魔術を幼子が習う?


冗談じゃない!


シスターネーナは攻撃魔術ではなく生活魔術を教えるのだと言っていた。

生活魔術?

なんだそれは?

なんでも彼女ネーナが趣味で改良した、一般生活の中で使える魔術の事だという。


よくわからないが、とにかく反対だ。

なにかの間違いで攻撃魔術が発動したらどうするのか。

なにより子供の前でみだりに魔術を行使するとは、シスターネーナの迂闊さも注意しなくては。

子供はなんでも興味をもつ。

それはいい事だし、必要なら学ばせるのもいいだろう。

だが人を傷つける可能性を持つ魔術を学ばせるのは反対なのだ。

だがこの二人、なかなか納得しなかった。




とくにシスターネーナは自分の趣味を広げようと画策している模様。

まぁ便利なものらしいし、広めたいという思いもわからないでもない。

だが子供に対して教えるのは反対だ。

結局、話を聞きつけてやってきたルシフ神父と共に説得し

彼女が自己の判断を下せるようになるまで、魔術は教えないこととした。


最初は随分渋っていたようなアウラだったが

魔術の習得には、ある程の度学力が必要だと教えると素直に納得して

一般的な学習を行う事で納得させた。





















子供を守るためとは言え、嘘を吹き込むのは気分が悪かった・・・・・。





その後も度々あの子の行動に頭を悩ませる事となる。

あの子にはまず何より一般常識から教えなければ・・・・。




















翌日から早速学習を開始した。

シスターネーナが基礎学習、文字の読み書きや計算などを

ルシフ神父が世界史や大陸の地理、商業や経済のあり方を

そしてなにより重要なオラクルの制御法の伝授。

しかしオラクルの制御法については困難を極めたそうです。

どういうわけか、あの子のオラクルは発動すらしていないのだと言います。

ルシフ神父には、なにやら思い当たる事があるようでしたが

結局教えてもらう事は出来ませんでした。


その他の勉学についてあの子は非常に優秀でした。


向上心が高く吸収率も高い。


子供特有の柔軟性を持って騒動を起こすのは勘弁してほしかったのですが・・・・。

私は彼女アウラに一般的な礼儀作法と生活に必要な基礎技術を教えました。

礼儀作法については、本来なら各家庭で親から教わるものを。

基礎技術は調理や裁縫などを。

教会では自分で出来る事は自分でするのが基本です。

食事の支度など当番制なので調理技術は必須です。

繕い物も自身で出来ればそれにこしたことはないでしょう。

出来ないなら出来るように努力させます。

幼い子供といえど、甘やかす事は後々に本人のために成らないと判断しました。




アウラは文句ひとつ言うことなく、黙々と学習に励んでいました。























三年という月日はあっという間に過ぎ去りました。










アウラはもう六歳になります。

教会に来た当初より、随分と大きくなりました。

髪も随分伸びましたね。

日の光に照らされて輝く銀髪、神秘的な黄金の瞳、整った顔立ち。

これだけで成長したアウラがすごい美人になるだろうと感じられました。

今でも十分美少女と言えますし、今後の成長が楽しみでなりません。






私の生涯の中で最も手を焼かされる子ですが、手のかかる子ほど可愛いといいます。

アウラに対する愛情は日々に増していったのです。

子供の成長を実感し、日々の観察を楽しむ自分がいました。

時折起こす騒動も、今では楽しみのひとつとなっています。



このまま何事もなく、健やかに育ってくれればいいと願う今日この頃です。














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