第1話
「今~私の~願~い事が~叶うな~らば~翼が~欲し~い♪」
高校の屋上で1人歌う少女
「…………」
ぼーっと空を眺めていると、そこに1人の少女がやってきた
「あ、いたいた」
「こんな所で何してんすか先輩」
「ねえ?私、卒業するんだってさ」
「知ってますよ、てか今、式の最中っすよ?」
「おかしな話じゃない?進路も決まってないのに」
「まぁ、先輩って頭悪いっすもんね」
「こら、生意気だぞ」
「でも仕方ないじゃないっすか」
「浪人するか、就職するかしか無いっすよ」
「やだ」
「やだって…」
「…………」
「あんたは進路どうすんの?」
「いや、まだ決まってないっすけど」
「まぁ、大学に行くつもりは無いんで、どっか適当なとこに就職するんじゃないっすかね?」
「それでいいの?」
「え?」
「だってさ、私達の人生って、これからの方が長いわけでしょ?」
「まぁ、そうっすね」
「これから働く所が私達の人生になる」
「そこの始業時間と終業時間によって生活のリズムも決まる」
「それだけじゃなく、休日や給料によっても生活が変わってくる」
「そこで出会う人が自分の人生を大きく変えてくれたり、もしかしたら運命の人になったりするかもしれない」
「そうやって考えたらさ、やっぱ自分にとって一番の仕事に就きたいって思わない?」
「まぁ、言わんとすることは分かりますけど」
「でも今の私にはこれって物が無いの」
「大学に行けば、視野も広がるかなとか思ってたけど、見事に全部落ちたし」
「これからどうしたらいいんだろうね」
「……じゃあ」
「私と漫画家やりましょうよ」
「…は?」
「先輩、絵上手いっすよね?」
「私がストーリー担当やるんで、先輩が絵描いてくださいよ」
「え、何それ 本気で言ってる?」
「冗談ですって言ったらウケます?」
「全然」
「じゃあ本気っす」
「……あんたストーリーとか作れんの?」
「まぁ、人に読んでもらったこと無いっすけど」
「…………」
「どうせ先輩、ニートじゃないっすか」
「うるさい」
「先輩が絵を描いてくれるなら、私は漫画家になりたいっす」
「……もし断ったら?」
「私も適当な仕事に就くの嫌になったんで、先輩と一緒にニートするかもっすね」
「それ私が来年も浪人してるってことじゃん……」
「嫌っすか?漫画家」
「嫌かって聞かれると…」
「…………」
「ま、やるだけやってみるのも悪く無いかもね」
「決まりっすね」
「それじゃあ、まずは退屈な卒業式でも済ませてくるかな」
~~先輩の家~~
「うわ、きったね~部屋」
「おい」
「すいません、つい敬語が外れちゃいました」
「小汚い部屋ですね」
「殴るぞ」
「流石にゴミぐらいは捨てましょうよ」
「うるさいな、私の部屋なんだからいいでしょ」
「それより…漫画家やるって話だけど、まずどうすんの?」
「私、そもそもどうやって漫画家になるのかとか全然知らないんだけど」
「それなんすけど、基本的には出版社に持ち込みに行くか、賞を取るからしいっすね」
「どちらにせよ、まずは作品作らなきゃって感じっすけど」
「作品ねぇ…どういうの作るの?」
「先輩の絵柄に合わせて私がどういう作風にするか決めるんで、何か絵描いてもらっていいっすか?」
「何かって…何でもいいの?」
「オリジナルならなんでもいいっす」
「じゃあ……」
「……これでどう?」
「早いっすね、どれどれ」
「……なんすかこれ」
「キューピッドタコさん」
「なめてんすか?」
「何でもいいって言っただろ!」
「いや…言いましたけど…」
「もっと漫画になりそうなのでお願いしてもいいですか」
「漫画になりそうって言われてもなぁ…」
「…これでどうよ」
「……めっちゃいいじゃないすか」
「マジ?」
「マジっすよ」
「神秘的な少女が汚れた服を着てるこの感じ…めっちゃ想像力駆り立てられます」
「てかこの汚い服やたらリアルっすね」
「普段から着てるんすか?」
「殺すぞ」
「すいません、でも本当にいいですよ」
「ずっと考えてた作品と絵柄がマッチしてたんでちょうど良かったです」
「どんな作品?」
「永遠の命を持った少女がその命を持つに相応しい人間を見つけるために旅をする話です」
「なにそれ超いいじゃん、天才か」
「とりあえず、私がネーム描きますね」
「ネーム?なにそれ?「吾峠 呼世晴」とか「芥見 下々」みたいな?」
「それはペンネームっす」
「ネームってのはなんて言うんすかね、下書きというか、簡単に構図だけを描いた漫画というか」
「ふ~ん、私は何したらいい?」
「先輩は絵の練習とかお願いしてもいいっすか?」
「絵の練習かぁ…」
「画力は申し分ないっすけど、色んな絵が描けるようになってもらえたらありがたいっす」
「色んな絵ねぇ……」
「……本屋でも行くかぁ」
~~本屋~~
「とはいえ、どういう本買ったらいいんだ…?」
「う~ん…「これを読めば画力が上がる」ねぇ」
「初心者必見、漫画の描き方講座」
「サルでも分かる人体の描き方」
「プロイラストレーターになる為の必読本」
「駄目だ、1人だとつまんねー」
(あいつと一緒に漫画の話してたときは楽しかったんだけどなぁ)
「う~ん……あれ?」
「…………」
見知った顔を見つける
「さくら?」
「え?あ!」
「やっぱさくらじゃん!久しぶり!中学卒業以来じゃん!元気してた?」
「久しぶり…元気してたよ」
「さくらは何しに来たの?」
「ちょっと…参考資料を買いに」
「参考資料?」
「そう…虫とか花の図鑑とかをちょっと」
「へ~、何か研究でもしてんの?」
「いや…絵の参考に」
「絵?」
「うん…私、美大に行くから…」
「え!?マジ?すごいじゃん!」
「そんなことないよ…」
「確かにさくらは絵上手かったもんね~」
「…………」
「ねぇ?さくらはさ、漫画家とか興味ある?」
「え?漫画家?」
「そう」
「……実はちょっと夢見てて」
「本当!?」
「うん…」
「私も実はさ!後輩と一緒に漫画家やろうって話しててさ!」
「そうなの?」
「そう!それで私が絵描くことになってんだよね!」
「それで絵の練習の為に本買いに来たんだけど何買ったらいいのかな~って」
「……個人的にはこれとかオススメかな」
「これは?」
「私の好きな先生の本なんだけど…漫画の基礎とかも説明してあって多分参考になると思う…」
「ホント!?チョー助かる!!絶対これにする!!」
「で…でも中身調べた方がいいかも…」
「大丈夫だよ!さくらのオススメなら心配ないって!」
「…ありがとう」
「何言ってんのさ!ありがとうはこっちだよ!」
「…そっか」
「ねえ?また今度さ!会って話そうよ!」
「さくらの絵とか久々に見てみたいな~」
「…うんいいよ」
「よっしゃ!じゃあ私この本で頑張らなきゃだから!またね!会うの絶対だよ!」
「うん約束」
「バイバ~イ!」




