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第四章:ニセモノのヒント

第三幕


第四章:ニセモノのヒント


 ふたたび一つになった四人は、もう一度、ナゾに立ち向かうことにした。場所は、すべての始まりである理科室だ。


 「よし、もう一度調べよう。でも、今度は前とちがうやり方でだ」ショウはみんなの顔を見て言った。「おれ、突っ走るところがあるから、みんな、変だと思ったらすぐに止めてくれ。ユイ、細かいところ、頼んだぞ。ミカ、何か『感じる』ことがあったら、すぐに教えて。コウタ、力仕事は任せた!」


 ショウの言葉に、みんながこくっとうなずいた。ケンカの前なら、こんなこと、絶対に言えなかった。ショウは、自分の弱さを認めて、仲間の力を信じることにしたのだ。


 四人は、理科室にあるものを、一つ一つ、冷静に調べていった。すると、ユイが、薬品だなの一番下のすきまに、小さく折りたたまれた紙きれがかくされているのを見つけた。


 コウタがよろこんでその紙を広げようとした時、ショウはそれを手で制した。「待って、コウタ。まず、みんなでよく見てみよう」


 そこには、『音楽室の黒い宝石』と書かれていた。


 「黒い宝石……ピアノのことか!」コウタが今にも走り出しそうになる。


 「待って」ミカが、そのメモをじっと見つめながら言った。「このメモ、なんだか、ヘンだよ。古い紙みたいに見えるけど……インクのにおいが、ぜんぜんしないもん。悲しい気持ちも、うれしい気持ちも、何も感じないの」


 ショウはハッとした。たしかに、ひみつ基地で見つけた最初の地図は、古い紙とインクのにおいがした。でも、このメモは、ただの紙のにおいしかしない。


 「……わな、だ」ショウが、低い声で言った。「これは、ケンジがおれたちをだますために、わざと置いた、ニセのヒントなんだ」


 ショウはみんなの顔を見た。コウタもユイも、真剣な顔でうなずいている。もし、ケンカをしたままだったら、きっとだれもミカの言葉に耳をかさず、このわなに、まんまとひっかかっていたことだろう。チームになったからこそ、見破れたのだ。


 四人のきずなの強さを、あらためて感じた。本当のナゾは、音楽室にあるにちがいない。ショウたちは、静かに、でも、確かな足どりで、音楽室へと向かった。



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