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佐々木梓回想⑤ 訓練非常呼集

 

 訓練隊が編成されてから一月半、

 訓練はより実戦に近い物になった。


 就寝中に鐘がなる。


 カン!カン!カン!


【敵襲!】


訓練非常呼集だ。


「装備甲武装!で鉱山前の友軍と合流せよ!」

「「「了解!」」」


 始めは皆、ぎこちないが、慣れてきた頃、それは起きた。



「敵!100キロ先の村を勇者が占拠!それを撃滅掃討せよ!訓練学生長はアズサ班付!」


「訓練学生長!アズサ・ササキ承りました」

「「「勇者、撃滅掃討せよ!」」」


 始めの50キロぐらいを高機動車や三トン半トラックで移動する。

 運転手は・・・あれ、人族?とドワーフ


「どうも、訓練を支援させて頂いております。エミリアを宜しくお願いします。祖父のイワン・ヤクツと申します」


「初めまして、アズサ・ササキです」

「お祖父様、頑張りますわ」

「良くやっているな」


 どうやら亡国の人達のようだ。魔王様が運転を教えたのか。


「おい、車、分解させろよ!」


 ドワーフは要求するが無視をする。


「さあ、訓練だよ!」


 小声で命令する。


「皆、今のうちに休んでいて」


 これは調べた。自動車化部隊を模しているのだ。

 車で敵の拠点に行けばいいじゃないか?

 しかし、ガソリン車は燃えるから、戦場の手前で降りて陣地を構築する。


 装甲車があれば一発でいけるのに、

 この時から装甲車や戦車があればいいなと思うようになった。

 あっという間に50キロに到達した。これは50キロ進んでいると想定しているな。


「降車よお~~~い、降車!」

「「「降車!」」」


 私を合わせて100人だ。

 持ってく資材も降ろす。


 各個人は背嚢を背負う。だいたい20~30キロ、着替え。食料、おやつエトセトラだ。

 それに銃や武器を持つ。




「訓練学生長殿、破壊筒を持って行きましょう!」

「オルト、了解、但し、二本だけ」


「訓練班長集合!命令を下達する。地点指示、前にそびえる著名な山がノッポ山、それに続く道なりで30キロ進む。敵情、勇者5人、騎士団300,武器、剣、槍、投射兵器多数、我、訓練隊100,個人装備武器の他、無反動砲2門、ミニミ5,その他TNT爆破薬、雷管等、破壊筒、接敵行軍!」


「「「「「接敵行軍了解」」」」」


 接敵行軍とは速度を落とさずに進む。敵と出会い次第攻撃だ。



 一昼夜かけて30キロ進み。これから・・・


「敵襲!」


 藪の中から矢が飛んできた。矢の先端は布が丸くついている。

 私は反撃を命じる。

「撃て!」


 バン!バン!


 空砲だ。空砲も危険だ。銃口から高熱のカーボン繊維と金属片が飛ぶ。


 すると。


「撃破!」


 藪の中から、審判が出てきた。


「そこの2名、軽傷!」


 これからは戦闘機動だ。敵の斥候と鉢合わせをしたという想定だろう。


「各自、偽装をせよ」

「「「偽装、了解!」」」


 草木を身につけ。顔にドーランを塗る。顔料だ。

 製造元は、何と・・・カネボ〇だと!


 時々、小部隊の敵襲があり。撃退する。


 直線距離で10キロだが、もっとあるな。


 最後の補給を受けた。

 食料無し。各自空砲2弾倉。部隊で無反動の弾薬2発。使い捨てのものだ。


 そして、水の補給はあった。


「各自、水筒一杯まで!」


 皆の目がぎらつく。水筒一つで一リットルだ。


 歩く、歩く。


 昨日から何も食べていない。

 水も、無駄つかい出来ない。


 疲労がピークにたまると、皆は豹変する。


 エミリアはグスン、グスンと泣き出し。

 ミルは顔をゆがめて歩いている。

 サキアは、ピカッ!とライトをつけて、腕時計を見ている。


「サキア、腕時計のここを押すと光るよ。ライトをつけない」

「は、はい」


 いつ終わるか時間を計っているのね。


「ちくしょー、石め!ここにいるから俺がつまづくのだ!」

「オルト、やめろ・・・腹、減るぜ・・・」


 オルトは石に怒っている。


「カレーライス、カレーライス、はあ、はあ」


 ドンは食べ物の名を唱えている。


 私は・・・・五感が冴え渡った。


 夕暮れ時、風が吹くが。あそこの一帯の草が踊っている。

 50名はいるだろう。今までは斥候の遭遇戦、次は攻撃を仕掛けてくるのか。



「とまれ!敵の待ち伏せだわ・・・迎撃をする」


「やったー、背嚢を下ろせる」

「歩かなくてすむ・・・だ」


「ミルは軽傷者判定の者をつれて木のところで待機」

「・・・待機、私も・・・」

「衛生兵でしょう。これも大事な役目よ」


「サキア、魔法を使えて?」

「・・・無理です・・・でも、そよ風なら」

「それでいいわ。向かい風を吹かせて、気配を消すわ」


 およそ60人で半包囲で取り囲むように進み。


 無声式、ハンドサインだけで、模擬手榴弾を投げるようにいった。

 実際はお手玉だ。


 撃て・・・首を斬る仕草をした。敵を殺せのハンドサインだ。空砲を撃つ。

 バン!バン!バン!


 すると、審判が出てきた。やっぱり待ち伏せね。



「撃破・・・だ」


 魔族だ。その後方には、ゴブリン種が50人ほどいた。



 不思議そうな顔をしている。


「ゴブリンさん。教えて下さらない。魔王様に会いに行くにはどこを通ればよろしいかしら?」


 と黒曜石の小刀をゴブリン長に渡す。


「魔王サマ、アッチ!」


 指をさしてもらった。彼らはそこから来たそうだ。

 というとこはショートカットできるのではないか?



「5分休憩、偶数班から就寝!」


「「「・・・・・」」」

 皆、無言で背嚢を枕に寝る。


「・・・アズサ訓練学生長は・・?」

「大丈夫だよ。エミリア、休みなさい」

 軍隊は急げ。待てが基本だ。

 あまり休憩は出来ない。


 ゴブリンちゃんから教えられた道を進み。

 赤旗を掲げている村があった。あれが敵の拠点ね。

 仮想敵は赤らしい。


「・・・はあ、はあ・・・訓練班長集合!」


 私も疲れてきた。


「ここで、無反動を撃つよ。二発で村の門を壊し。その後、侵入、援護射撃班は6班」


「6班に突入させてください!」

「これも重要な任務だよ」


 私は地面に伏して、村の門に続く道を見る。

 こうして、地面と近い目線で見ると落とし穴があるか分かりやすくなるそうだ。


「オルトの班、無反動を撃ち終わったら、破壊筒を投げ込んで」

「破壊筒投擲、了解・・です」


 もちろん、無反動砲と破壊筒も模擬だ。


 破壊筒とは、バンガロールという名のぶっちゃけ鉄パイプのような見た目の爆薬で、鉄条網や地雷を除去するための爆薬だ。映画プライベートライアンの冒頭の鉄条網破壊のシーンでも使われていて、第2次世界大戦から現代でも各国で使われる便利な爆弾だ。


 と魔王様が言っていた。


「安全装置解除ヨシ、後方ヨシ!撃て!」


 2発撃って、爆破判定をもらい。


「オルトの班、破壊筒を投げ込んで」

「了解!」


「あげるよ~い、あ~げ!」


 二つをつないで3メートルの破壊筒を地面に投げ込んで・・


 と思ったら、村の門が開いた。


【状況終了!】


 魔王様の声だ。


 パチ!パチ!パチ!パチ!パチ!パチ!


「あれ、破壊筒は?」


 門の中から、魔族と人族、ゴブリンが出て来た。あれはダークエルフと骸骨もいたわ。


 皆、拍手をしている。


 魔族たちは、「これで成年か」

 と声が聞こえる。成年の通過儀礼と思われたか。


「よお~し、粥と水があるぞ!村の中に入れ!」


 と言われたが、そうはいかない。


【5列横隊集まれ!】


【回れ~!右!】

【武器を置け!】

【回れ~右!】


【魔王様、および訓練を支援してくれた方々に挨拶をする!有難うございました!敬礼!・・・・直れ!】


やったことは整列して、反対側に向いて銃を地面に置いただけだ。銃口は友軍には向けないそうだ。


「事後の指示、武器監視は私が行う。エミリアを長として引率して村に入れ!【別れ!】」


「「「別れます!」」」



 ここで飛びついたら精強ではない。粛々と整列してご飯を頂く。初年兵だけど振る舞いはベテラン兵だ。・・・と思った。


 私は一人で残った。野外において、武器は必ず監視員がいなくてはならない。


「アズサ様、代わりますわ!」

「エミリア、ちゃんと食べた?」

「ええ、お粥頂きましたわ」


 この後、誰に命じられたわけでもないのに、皆、交代で武器監視をした。

 さすがに、私も感動した。


「エミリア、わたしゃ、感動したよ」

「ええ、グスン、グスン、私もですわ」


 二人で抱き合った。




 訓練始まってから2か月半、一応これで終わって、次に、後期教育、

 車の運転や、各戦術を行う。


 魔王様から、


「おう、梓、防衛研究を出してくれ!」

「はい」


 何やら自衛隊の資料を召喚する。決してお安くはない。最近、紙の本は高いな。


「な、なんだと、ドローンってなんだ?その前に、ロシアとウクライナが戦争したのか?」

「はい、そうです。魔王様は何年前に転生されたのですか?」

「20年前だ」

「はあああ?20歳ですか?」

「失礼だね!君は」



 ドローンを召喚した。

 これは、民間で使うものだ。


「いいか、自衛隊の欠点は実戦経験がないことだ。それを補うには訓練だがそれだけでは不十分だ。何故だかわかるか?」


「え、と、自己満足に陥りがち・・です」

「そうだ。だから、世界で戦争が起きたら研究をするのだ。米軍の真似と言われようが、最新の戦術や戦訓を学んだ方が良いに決まっている。戦争、各戦場で様々な教訓を得ることができる。しかし、自爆ドローンは早い。偵察用からだな」


「はい!」


 こうして、私は班付を離れ、訓練学生長は皆、交代でやるようになった。

 私は後方に下がり。デスクワークだ。


「ヤン訓練学生長!入ります」

「入れ」

「アズサ様、明日の訓練日程です」

「うん。ヤン、すっかり立派になって、グスン」


私はこのままフェードアウトして、後方支援に回ろうと思っていた。

しかし、まさか、魔王軍幹部になるとは思ってもいなかった16歳の女子である。








最後までお読み頂き有難うございました。

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