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佐々木梓回想② 獣人族集落での生活

 城を出て、獣人族の集落に向かった。しかし、分かるだろうか?

 少し街を観察しようと思ったがダメだった。


「おい、城の使役獣じゃないか?」

「うわ。女か?石を投げてやれ」


 ヒュン!ヒュン!


 石を投げられた。もう少し観察をしたかったが仕方ない。しかし、人族は皆良い服を着ている。


 1時間ほど目立たないように歩いたら、すぐに分かった。ボロボロの集落があった。ここだ。スラムだ。


 足を一歩踏み入れると、建物から、動物・・・上半身が動物の獣人族が出てきた。

 男は上半身獣なのだろう。何だ。ここはムツ六郎さんの動物帝国か?


 うわ。猫、犬、狼・・・あの眼帯をしている猫獣人は、悪可愛いなと思っていたら、大きな狼人族が出てきた。手は・・・人間の手だ。これで、労働は出来る優れものだ。


 顔を近づけられた。


「ヒィ、ちょっと、私は・・・怪しい者ではありません」

 押し倒されたわ。

 レイプ?

 あらがう手段はない。


 更に大きな顔を近づけて・・・あれ。


 クンクンと鼻を鳴らしている。


「おい、家猫族の女の匂いだ。どこの誰につけられた?」

「はい、王城のメイドのミーシャちゃんです」

「ミーシャか。今、案内してやるぜ!俺は狼族のガオスだ」

「アズサ・ササキでございますぅ!」


 ミーシャちゃんのお母さんの家に案内された。弟と妹もいる。


 お母さんはミケさん。ミーシャちゃんと同じ青色の猫耳、妹さんも青色の耳に、弟君は茶色の猫ちゃんのお顔だ。ここではっきりした獣人族は男は上半身は獣の姿なのね。



 皆、私に抱きついて、鼻をクンクン鳴らす。


「ミーシャの匂いを運んでくれてありがとう。ミーシャは無事?」

「はい、助けて頂きました」

「そう・・人助け出来る子になって偉いわ。グスン、グスン」

「「お姉ちゃん!」」


 ミーシャちゃんは誘拐されたそうだ。権利は人族のみにある。

 亜人を勝手に誘拐や、殺しても人族は罪に問われないそうだ。


 だから、強面の狼獣人族のガオスさんが顔役として君臨し守っている。



 私はミーシャちゃんの家に世話になった。

 お母さんはお針子として生活している。

 お手伝いをしようとしたが、


「いた!針が指に・・」

「まあ、仕方ないわ。ぞうきんで練習よ」

「はい・・・」


 役に立たない。


 あ、そうだわ。城でもらったペンダントがあったわ。これは売れないかしら。


 とガオスさんに相談した。


「ヤベーぜ。城からもらったものは足がつく。捨ててこい。池があるぜ」


 案内されて、投げ捨てた。


「ガオスさん。私も働きたいのだけども、冒険者ギルドとか、商業ギルドに行こうと思う」


「やめておけ。アズサは目立つ。その黒髪と黒目、目立ちすぎるぜ」

「そうか」


 このまま、居候をするのも気が引き得る。城を出るときにもらった銀貨三枚をお母さんに差し上げたが、受け取ろうとしない。


 そんなとき、鍋が壊れた。


「お母さん!鍋が水漏れするよ!」

「まあ、もう、修理じゃ無理そうね・・」



 閃いた。私の召喚は対価召喚だ。この鍋で現代日本の鍋を召喚出来ないか?


「えい!」


 とやってみたら、


 ボア~


「え、何、新しい鍋がでてきたよ」

「すごい、表面サラサラ、凸凹が全く無い」


 古鉄は結構値段が良いのか。


 噂が噂を呼び。集落の人達が、いろいろな器具を持って来た。


「精霊様!クワをお願いします!」

「精霊様、古鉄を集めました!何か出して下さい!」


「オ~ホホホホ、よろしくってよ!」


 といろいろだしたら、ガオスさんから提案された。


「おう、資源を集めるから何か出せ。商売するぜ!取り分は3分の1な。獣人族のコミニティが3分の1,人族の裏組織が3分の1の寸法になるぜ」


「よろしくってよ。よきにはからえ」

「さすが、アズサだぜ!」


 としばらくやっていたら、敵に勘づかれたらしい。



「お姉ちゃん。隠れよう。城から兵が来たよ!」

「分かったわ」


 集落の精霊像のお堂の下に地下室があった。

 獣人族の子供達と一緒に入る。



「あれ、君たちも何故入るの?目的は私でしょう?」

「人族は獣人族の子供を『可愛い』と言って誘拐する習性があるんだ」


 ・・・うわ。否定出来ないな。


 これは迷惑がかかるわね。


 ガオスさんに相談したら、裏組織の人間を連れて来た。


 体は楕円形で、片メガネにタキシード、杖をついている怪しいおっさんだ。この人がヨドムさんだ。


「オホホホホ、これが精霊様ですか。良いでしょう。稼がせて頂いたお礼に無料で相談に乗りますヨ」


 金を取るつもりだったの。まあ、そうだろう。


「一つ、私の妻になることヨ、たっぷり可愛がってあげますヨ」


「却下!」

「ヨドムさん。真面目に相談に乗ってやらないか?」


「真面目ですがネ、まあ、いいでしょう。二つ。女神圏諸国に亡命すること、異世界人は迫害されません。国を南方向に縦断し、数ヶ月かかりますヨ、途中精霊を信仰している国も通ります。見つかるリスクが大きくなりますネ」



「それは、無理そうね」


「三つ、魔王軍に合流すること、魔王は投降を呼びかけています。これは私の密貿易のネットワークで簡単です」


「魔王軍・・・」

 躊躇する。魔王って悪いイメージがある。



「魔族は人族と別種との説があります。魔王様はねあんでるたーる人とか言っていますネ」


 ネアンデルタール人?



 魔王って・・・

「魔王様の名はアキラと言いますね・・・」


「アキラ、日本人の名だわ」

「さあ、知りませんね」




 ☆☆☆魔族領魔石鉱山


 少し刻は遡る。

 魔族領魔石鉱山近郊で戦闘が起きた。勇者パーティーによる一方的な殺戮になったが、事態は一変する。魔王が現れたのだ。


「オッス、オラ、魔王、アキラって名なんだ。転生者だ。いや、車で猫をさけようとしたら事故にあって、気がついたら魔族に転生をしていたんだ。

 うん。君たち、こっち向いて自己紹介をしてくれないかな?」



「む、武藤健太だ!」


 辛うじて、何とか言葉を発せた。皆、ブルブル震えている。魔王は後ろにいる。

 魔王軍数百を倒していたら、いきなり現れて、背後を取られた。



「ほお、武藤君、だけ?俺の日本時代と同じ姓だな。まあ、いいや、君たち拘束の指輪をしているね。これは術者が解除するか、死ななければ消えないね。同情するね。指を切断しよう。そうすれば術は消えるよ。

 そして、魔王軍に投降しないか?そりゃ、最初は下働きだ。同族を殺された憎しみを向けられる。

 でも、魔王軍は強い者が尊敬されるよ」



 どうせ、こいつも同じだ。利用するだけだ。


 この戦局を脱することは出来るのは・・・賢者の佐藤・・・彼は魔道爆弾を持っている。最も強力な武器だ。


 彼を横目で見ると、爆弾を起動させようとしている。


 光った起動する・・・そして、皆を連れて逃げるぞと思ったが、魔王の声が聞こえた。

「あ、ローブの君、それ悪手だよ!」


 シュン!


 上から黒い手が出てきて、爆弾はあっという間に消えた。


 ドカーン!


 爆裂の音がしたが、魔王の声が聞こえる。生きているのか?


「フウ、ローブ君、爆弾を抱え込んだよ。俺じゃなかったら死んでいるね。

 威力は手榴弾かな。手榴弾のピンを抜いて安全レバーを解除してから、三秒数えるは、俗信だよ。第2次世界大戦はしらんけど、今の手榴弾は性能が良い。製品毎の誤差はないものと思った方がいいね」


 皆、何も言えない。沈黙が続いたら。



「じゃあ、考えておいてね・・・」


 シュン!


 飛び立つ音が聞こえた。


 俺たちは2時間、後ろを振り向くことが出来なかった。


 やっとのことで、後方の騎士団にたどり着いたが、



「はあ、何だって、魔王?四本角を見たのか?」

「よく見ていません」


「なら、何故分かる!」


「嘘だったら、罰を与える。魔道師殿、嘘判別魔法をやれ」

「はい、閣下」


 俺たちは信頼されていない。


「嘘を言っていない」

「「「何だって!」」」

「これは偉いことだ・・・そうだ。ライア王女殿下に報告しなければ!これは撤退にあらず。転進だ!」


「「「はい!」」」


 彼らは戦いもせずに撤退をした。

 魔王って・・・何だよ。


 ・・・彼らは既に騎士団長、王宮魔道師よりも強かったが、速修の2週間のみの訓練であった。



最後までお読み頂き有難うございました。

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