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空振り覚悟の戦闘予行

 「乗車よおーーい、乗車!」

「「「乗車!」」」


 私達はそれぞれの車両に乗り戦車を先頭にして王都に入った。 




 王都内には各国の大使館がある。


「まさか、本当に来たとは・・・白旗をあげろ!」

「白旗?」

「ああ、中立で攻められないそうだ。裏組織経由の情報だ」

「来た!鉄地竜だ!あれが城壁崩し?」




 白旗が立っているわね。



「戦闘団長殿、白旗発見!」

「攻撃しちゃだめ。あれは大使館よ。警戒しながら進め」

「了解!」



 市街地も野戦と変わらない。建物は木々がそびえ。視界が悪いと思えば良い。

 だから、各国、訓練は野戦を基本とするのだとお師匠が言っていたわね。


 王都市民は、この後に及んでも、普通に暮らしている。戦闘は商業ギルト、市場、関係役所の局地的なものだ。

 王都市民は見学をしている。もの珍しいようだ。


 精霊王国の王都市民は全員まるで貴族のような服を着ている。

 これは、下層市民、亜人諸部族の労働で成り立っていた。

 亜人の中に私達日本人も含まれているのね。それは思い知ったわ。


 おかしい。国としての歴史が浅いのか?数百年続いている王国だと聞いたが。

 王都市民達は何故か、狼狽をしていない。


「な~に、あれは?」

「次の催し物か?」



 私達は難なく冒険者ギルドに到達した。



 しかし、ここで負傷者が出る。


 第一小銃班の班員ルドだ。


「ドア爆した後に、第一小銃班が突入!戦闘工兵班前へ」


 と班長が命じたが。


「よっしゃ、やっと戦闘工兵班の出番だ!このオルト自ら行くぜ!」


 ここで、小銃班の若手のルドがドア爆を待たずに、いきなりドアを開けたそうだ。

 その瞬間。


「ファイヤーボール!」


 魔法を放たれた。しかし、彼は即座に反撃をしたそうだ。


 ボア~!


「やったぞ!金貨十枚だ!・・ギャアアーー」


 バン!バン!


「馬鹿・・・防弾チョッキに、迷彩服、燃えないんだよ・・・うお」

「おい、ルド!何をやっているか、後退させよ!」



 負傷者一名、大火傷だわ。


「ミル、回復魔法をお願い」

「はい!戦闘団長!」


 高機動車の後ろで寝ているルドを見舞った。


「・・・戦闘団長!俺、一人倒しました!武勲でしょう」

「違う。班長の命令不服従!」

「そ、そんな」


「しかしながら、名誉の負傷でもある。治療後、腕立て伏せを百回、班長の前でやれ。いいか、失敗したから罰を与えるのではない。命令を聞かなかったからだ」




 フウ、軍の指揮官なんて、作戦が始まれば、マネジメントが仕事よね。


 冒険者ギルドを占拠し、ここを指揮所にした。

 これからは本部班は通信班に早変わりだ。人が少ない。兼職を重ねている。


「戦闘団長!勇者が出てきました!」

「分かったわ。私が行く。ジープを出しなさい!」

「意見具申です!道が思ったよりも狭いです。バイク騎兵の後ろにお乗り下さい」

「同意!」


 バイクの後ろにのって現場に赴く。獣人族兵は囲んでいるわ。現地勇者か、それとも・・・


「大王様!!」


 獣人族は私を大王と誤認している。

 命令が通りやすいけど、まあ、明日の事を考えるのはやめだ。今を精一杯に生きる。


 剣を振り回している男・・・あれは、坂城君、確か、剣士系よね。やっぱりクラスメイトだ。


「はあ、はあ、何で佐々木が!」

「坂城君、降伏しなさい。分かったでしょう。召喚は誘拐よ」

「でも、でも、敵を倒せば令嬢と結婚できるって」


 まだ、夢の中にいるのね。


 私は銃のコウカンを引いた。弾が薬室に入る感触が決意を固まる。同族殺しだ。

 この距離なら、立ち撃ちで当たる。


 バン!


「・・・彼の私物はそのままで、埋葬して欲しい」

「分かりました!大王様!」


 また、降伏を申し出た勇者がいた。


「佐々ささぁき、遅いぞ!早く助けろよ!全く」


 剛木君、進学校の不良よね。確か、格闘系?


「降伏をする!ほら、この指輪を早く取れよ。痛みが来ないうちにさ」

「分かったわ。指をここに置いて」

「早くやれよ」


「皆、彼を抑えて」

「「「了解!」」」

「え、何だよ」


 私は銃口を彼に手首に向け。


 バン!


 7.62ミリ弾を撃ち込んだ。


「えっ、ウワワワワワワーーーーー!」


 手首ごと隷属の指輪を切り離したのだ。


「ギャアアアアアーーーー」


「血止めをした後、捕虜として連れて行きなさい」

「「「「了解!」」」


 市場と商業ギルドは友軍が占拠。



 中には、建物に籠もって抵抗する兵がいたけれども。




 ☆☆☆王国騎士団事務所


「いいか、建物に籠もれば勝機はある。あの鉄礫は石を貫通しない。ボウガンと剣で戦うのだ!」



 しかし、


「近接戦闘をする理由のない建物よ」

「戦闘工兵班オルト、意見具申をします」

「許す。話せ」

「はい、近づいて、集団装薬をぶちこみましょう」

「不同意!砲班により無反動砲を窓に撃つ」


「そんな。また、却下・・・」

「オルトの真価は別にある。戦闘工兵班の王宮攻略のプランを作れ」

「了解!」


「安全装置解除ヨシ、後方ヨシ!」

「撃て!」


 ドカーーーン!


 一発で建物が崩れた。


 後は王城だ。

 冒険者ギルドに帰り。プランを練る。


 プランAは交渉による無血開城だ。


 裏組織のヨドムさんが交渉を請け負う。


「グヘヘへヘ、降伏の条件は如何しましょうカ?」


「そうね。王以外は助けると言いなさい」

「ほお、それで良いのですかね」

「生き残った方が大変な事もあるのよ」



 冒険者ギルドを占拠し、魔道通信網を精査しながら、王城攻略に向けて、武力による攻略、プランB、降伏しなかった時の案を作成する。


 それと、今日は重大な戦訓があった。ドアを開けた瞬間、ファイヤーボールが飛んでくる。

 班長を集め。ドア爆の徹底を示す。


 確か、屋内戦闘は、タリバン相手にワンサイドゲームを繰り広げた米軍でも、アフガンで苦戦したとか。それから、銃はしっかり持つようにとマニュアルは変わった。


 自衛隊の20式のグリップはその影響か?それとも某国の銃を参考にしたかはどうでもよい。機能を追求する機械は似てくるものだ。



「オルト、意見具申です。戦闘工兵班には、発煙機があります。魔道科兵の風魔法と組み合わせれば、1日中、煙だらけになります!戦闘の補助になりえます」



「同意!準備と魔道科兵と連携して戦闘予行をせよ」

「また、却下・・えっ!採用!頑張ります!」


「小銃班と施設班はこの冒険者ギルドを使い。屋内戦闘の予行!フェイスガードもつけよ」


「「「了解!」」」


「砲班は、援護射撃の準備!」


「「「了解!」」」



 しかし、すぐに降伏の使者が来た。


「アズサ戦闘団長殿、敵から降伏の使者です」

「そう、分かったわ」


 戦闘予行は空ぶったが、それで良い。


 家臣団は機能していないのかしら。こうも簡単に王の首を差し出す。

 王都市民の反応からみても、ここ数百年、魔王軍の侵攻を跳ね返してきた民の感触が全くない。


 もしかして、王権が代わった?

 そう言えば、精霊王国は王都しか知らない。

 違和感がある。


 でも、今は目先のことだ。



 こうして、私たちは王城に入った。





 ☆☆☆王城


 カツ、カツと戦闘靴を響かせて、私は十名の護衛と伴に王城の謁見の間に入った。

 この国の主要な貴族たちと・・・クラスメイトたちが既に集まっていた。


 ドカッ!と足を投げ出して、王の椅子に座ったら、どよめきが起こったわ。



「え、召喚獣が・・・魔王軍の代表?そんな馬鹿な。せめてオーガ軍長くらい・・」


 と声が聞こえた。魔王軍商売舐められたらおしまいだ。


「あれ、撃ちなさい」

「了解!」


 バン!


 殺した。弾は跳ねて後ろの貴族にも当たったが、構うことはない。




「ヒ、ヒドい、命は助けてくれるのではないのか?」


「私は魔王陛下代理、精霊王国王都攻略軍長でもある。私への不敬は魔王陛下への不敬でもある。以後、気をつけることね」



 次は私のクラスメイトたちが来た。



「ウホー!20式に、64式でござるか?我、ミリタリーにも詳しいでござるよ!」


 あれは山名だったわね。錬金術師か。

 山名の後ろにゾロゾロとクラスメイトたちが続く。


 壇上に登ろうとする。

 こちら側につこうと言うのね。


 それをしちゃ。部下に示しがつかない。貴方たちは騙されたけども、今の地位は捕虜だ。



「あのデブ、蹴っちゃいなさい」

「了解!」


 ドン!と玉座までの階段を登ろうとした山名は蹴られ、階段を転げ落ちた。


「佐々木さん・・・ヒドいよ」

「私達は騙されたのよ」


「あ、そう。早く、敗者の中に戻りなさい。追って沙汰を出すわ」


 まだ、分からないの。貴方たちが今生き残るのは捕虜として身分を受け入れることなのよ。




 取り入ろうとする者も出てくるはずだわ。来たわ。扉をあけ。ライアが連れてこられた。



「魔王代理殿!ライアを捕まえました!ライアが貴方方を異世界から召喚したのです!」


 貴族たちに連れられてライアがやってきたわ。右腕がない。狙撃は右腕に当たったのね。



「ライア、何故、立っている。平伏をしないのか?」

「ヒィ、ヒィ」


 慌てて膝を床につけ。頭を下げたわ。侮れないわね。あの豪勢な金髪のカールは見る影もない。

 ここでイキってくれた方がやりやすいのに。


 まだ、この女、何かやるわね。

 私は思索を深めた。


最後までお読み頂き有難うございました。

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