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あおはる  作者: 米糠
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8.距離が縮まる時間

 8.距離が縮まる時間



 放課後の駅前は、多くの学生や会社員でにぎわっていた。

 陽翔と由愛は並んで歩きながら、目的のカフェへと向かう。


(……こうやって二人で歩いてるの、なんか変な感じだな)


 学校ではまだ「クラスメイト」って感じが強かった。

 でも、今はどこか特別な時間を過ごしているような気がしてしまう。


 ふと隣を見ると、由愛はじっとカフェの看板を見つめていた。


「入る?」


「……うん」


 彼女は少しだけ緊張したような表情をしている。


(本当に一人じゃ入りにくかったんだな……)


 カフェのドアを開けると、甘いコーヒーの香りがふわりと漂ってきた。

 落ち着いた雰囲気の店内には、制服姿の高校生やカップルがちらほらと座っている。


「二人席、空いてるみたいだな」


 陽翔は店内を見渡しながら言うと、由愛は静かに頷いた。


「……うん、そこにしよ」


 二人は窓際の席に座る。


 メニューを開くと、由愛はじっとページを見つめたまま動かない。


「決まった?」


「……悩んでる」


「どれがいいか?」


「ううん……どれが正解なのか」


「正解?」


「こういうお店、あまり来たことないから……何を頼めばいいのか分からなくて」


「……なるほど」


 たしかに、由愛は学校ではクールで洗練された印象がある。

 でも、こうやって悩んでいる姿を見ると、なんだか親しみやすさを感じる。


「別に好きなものでいいんじゃないか?」


「うーん……じゃあ、藤崎くんは何にするの?」


「俺は……カフェラテかな」


「……じゃあ、私もそれにする」


「え、真似しなくても……」


「いいの。無難そうだし」


 そう言って、由愛はメニューを閉じた。


(……こんな小さなことで悩むんだな)


 普段の彼女からは想像できない一面が見られるのが、なんだか面白い。


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