70.繋がる想い
70.繋がる想い
由愛の手が、そっと陽翔の手を握る。
そのぬくもりが、驚くほど自然に馴染んだ。
夜風が二人の間を吹き抜ける。
けれど、繋いだ手は決して離れなかった。
「……ほんとに、俺でいいのか?」
陽翔は、まだ信じられない気持ちで由愛を見つめた。
目の前にいるのは、学年一の美少女と噂される女の子。
そんな彼女が、自分のことを「好き」と言ってくれた。
由愛は、少し呆れたように微笑む。
「どうしてそんなこと聞くの?」
「だって、お前……モテるし……俺なんかでいいのかって……」
「バカだなぁ」
由愛は、陽翔の手をぎゅっと握る力を少し強めた。
「私が好きになったのは、陽翔くんだよ」
その言葉に、陽翔の胸が熱くなる。
「……そっか」
不安も迷いも、もうどこにもなかった。
ただ、目の前の彼女が自分の気持ちを受け止めてくれたことが、何よりも嬉しかった。
「陽翔くん」
「ん?」
「これからも、一緒にいてくれる?」
由愛の瞳は、どこまでも真っ直ぐだった。
まるで「逃がさないよ」と言っているようで——
「当たり前だろ」
陽翔は、しっかりと彼女の手を握り返した。
「お前が嫌だって言っても、ずっとそばにいるから」
「ふふ、それは嬉しいけど……」
由愛は、小さく笑って——そして、ゆっくりと陽翔の肩にもたれた。
心臓の音が、やけに大きく響く。
けれど、陽翔はもう、動揺しなかった。
繋いだ手のぬくもりが、確かに二人の想いを繋いでいたから。
夜の静寂の中で、二人はしばらくそのままでいた。
まるで、これが当たり前のことのように——。




