40.「好き?」の意味
40.「好き?」の意味
昼休みの屋上でのやり取りが終わっても、陽翔の頭の中にはずっと由愛の言葉が残っていた。
——「これ、二人だけの秘密みたいでしょ?」
その言葉と、楽しそうに笑う由愛の表情。
(……なんであんなこと言うんだよ)
ただの冗談だったのか。
それとも、本当に特別な意味があったのか。
考えても答えは出ない。
けれど、答えが出ないまま、放課後になった。
***
授業が終わり、教室を出ようとしたとき——。
「藤崎くん」
「ん?」
由愛が、いつもより少し控えめな声で呼びかけてきた。
「今日は、一緒に帰る?」
「……ああ」
なんとなく、断る理由が見つからなかった。
むしろ、断る気にはなれなかった。
二人は並んで歩き、帰り道を進む。
相変わらず、由愛は自然体で話していた。
だけど——どこか、いつもと違う。
「……ねえ、藤崎くん」
「ん?」
「もし……もしだけどね?」
由愛は足を止め、陽翔のほうを向いた。
「私のこと、好き?」
「っ……」
不意に投げかけられた質問に、頭が真っ白になる。
冗談か? それとも、本気なのか?
由愛の表情は、いつもより少し真剣に見えた。
「……それって、どういう意味で?」
「……どういう意味だったら、嬉しい?」
「……っ!」
心臓が大きく跳ねる。
由愛は笑っていない。
じっと、陽翔の目を見ている。
(これ、どう答えればいいんだ……?)
冗談として流すべきか。
それとも——本当の気持ちを伝えるべきか。
陽翔は、無意識にキーホルダーを握りしめていた。
この小さな星が、二人を繋いでいる気がした。
「……橘は、どうなんだよ」
勇気を出して、そう問い返す。
すると、由愛はふっと目をそらし、少しだけ頬を赤らめた。
「……私も、藤崎くんのこと……」
かすかに震える声。
その続きを聞きたいのに、なぜか言葉が出てこない。
二人の間に、静かな風が吹く。
(……もう、誤魔化せないよな)
自分の気持ちも。
そして、由愛の気持ちも——。
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