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僕は、奈良ならどうだろう
「俺は九朗川。九朗川折葉だ。よろしくゥ。」
目を覚ますと、知らない男が自己紹介をしている。僕と同い年、高校生くらいだろうか。猫背だから目立たないが、よく見ると背が高い。
「ここは…何処だ?」まだ頭が覚めきらないまま、質問した。
「?奈良だよ。そんな事も知らねえのか?」ボサボサの白髪を掻きながら九朗川が言った。
「奈良…?」
そこから話を進めていくと、どうやら僕は奈良、春日大社の鳥居前に倒れていたらしいことが分かった。
「そうか…僕は奈良に…」
「本当に、何処から来たか覚えてねーのか?」
「それどころじゃない、親の顔すら思い出せないんだ。九朗川さん、一体僕は何者なんだろうか…」
「所謂“記憶喪失”ってやつだな。ま、無理もねえよ。世界がこんな状態じゃな。必死こいて思い出そうとしなくても良いだろ。」「あと、折葉で良いからな」
世界がどうかしたのか?その質問は、凄まじい警告音によってかき消された。
『柱襲 柱襲。探索員は 戦闘準備せよ 柱襲 柱襲。探索員はーーー 』