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♪ミスドのドーナツを食べたよ♪

 休日は昼近くまで寝てしまう。

 携帯端末を手にして、ソファになだれこんだ。

 携帯の動画を見ていると、気が付けば二時間が経っている。時間を無駄にしたなと思うのに、次の日も同じことをくり返す。なぜかやめられない。重力に従って、身体をソファに沈み込ませて、画面をただ見ていた。

 同い年の慎君が頭に思い浮かぶ。ゲームで遊んだり、部活をしているのに、定期テストで満点をとっている。一体、慎君はいつ勉強をしているのだろう。習い事で塾に行っているのだろうか。そういえば、慎君がどんな習い事をしているのか知らない。慎君のことを全然知らないなと、気が付いた。

 幼馴染なのに、知らないと思うと寂しくなった。

 そうだ! テスト勉強を頑張る慎君のためにお菓子をプレゼントして、女子力の高いところを見せて、家庭的な女子だと思われながら、どんな人なのかを探ってみよう! とひらめいた。

 検索画面に、「ホットケーキミックス ドーナツ」と打ち込んだ。

 ホットケーキミックスは材料費がそこまで高くないし、ドーナツは見た目もかわいい。かわいい紙袋に入れたら、きっと喜んでもらえるに違いない。先ほどまで切れていた集中力が復活して、やる気が湧いてきた。ソファから身を起こし、材料を買いにでかけることにした。


 週末にお出かけをするのは、久しぶりだ。

 電車から外の景色を眺めた。太陽が宇宙から飛んできそうなぐらい、大きな夕陽が目に入った。美しい眺めだと思っていると、駅を乗り過ごしていた。慌てて、次の駅で降りて、なんとか、スーパーにたどりつく。材料と、包装の紙袋を購入した。

 材料費と包装の紙袋で、お小遣いを使い果たしてしまった。

 しばらく金欠生活になることを覚悟しながら、自動扉を抜けた。


「かえで、ひさしぶり」

 声をかけられたので顔を上げると、慎君が立っていた。

「え、慎君!」慎君のことを考えていたら、慎君に出会えたので嬉しさが広がった。

「元気?」

「元気だよ!」とすぐに返事をした。が、元気? と気遣われたので、はっとする。そういえば、最後のお別れが適当な挨拶になっていたことを思い出した。「あのね、この前は、もっとお話ししたくて、でもね、最後はちょっと適当になってしまったの。なんかね、ぐるぐるしていて。それに、学校の授業とか、ついていくのが大変で、勉強していて、気が付いたら、時間が経ってしまってたの。また馬鹿なことをしているって、思ってるかもしれないんだけど」

「いつも思ってるから、気にしなくていいよ」

「ええ! そんなこと思ってたの!」

「思ってないよ」すぐに慎君が打ち消してくれる。

「本当?」

「本当だよ」

「よかった!」

「かえでは真面目だね。何も思ってないし、俺は何も気にしていないよ」

「でもこの前は、卵焼き失敗しちゃったし、次は手作りのドーナツを作って渡そうと思ったの。それでね、さっき材料を買って、今日の夜作って、明日渡そうって思ったんだけど……」

「せっかくなんだけど、今日の夕飯はミスドなんだ」

「えええ!」私はびっくりした。「慎君、夕飯がお菓子なんて、健康に悪いよ」

「大丈夫だよ」慎君が手に提げているものは、本当にミスドの箱だった。

「びっくりしたけど、慎君も、私も、今日はドーナツを食べたいって思ったってことだよね! それって、とっても嬉しいね!」そう言ったら、慎君のポンデリングを一個もらえた。

 ポンデリングにかぶりつく。口の中に、甘さが広がった。

「かえでも、中間試験があるんじゃないの? テスト勉強しないの?」

「勉強してるよ! でも、試験範囲が広くて、ちょっと混乱していたの」

「試験範囲そんなに広かったけ?」

「こんなに広いの初めてだよ!」

「そうなんだ」

「慎君に勉強の仕方を教えてほしいの。慎君に教えてもらったら、かえでも良い点をとれるかもしれないって思ったの。塾とかに行っているの?」

「行ってないよ。一人でしているよ」

「どうやって勉強しているの?」

「そうやって人に頼っていると、いい点なんてとれないよ」

 ううう。確かにそうかもしれないと思った。気が付いたら、携帯電話を見ている生活を抜け出さないとと思った。

「かえでは真面目だから、その真面目さを勉強に目を向けたら、いい点がとれるんじゃないの?」

「ホットケーキミックスの作り方を見ていたけど、今日はテスト勉強のやり方を検索してみる!」

「かえで頑張ってね! 応援してるよ!」慎君が言ってくれた。

「ありがとう!」

 やっぱり慎君は優しくて、とっても嬉しかった。

小説を読んでくださってありがとうございます!

とっても嬉しいです!これからも頑張ります!!

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