表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ブンメイタイカ  作者: トルバドール
第一章
7/9

7

良く晴れた朝。

地域で唯一の公立高校の3階、2限の授業。

クラス委員長の世名せなは、とても不機嫌だった。



(なんで灯は今日も来てないのかしら!?)

先日、2年生になって初めての席替えが行われた。

世名は、幼馴染の灯の隣になるために、あらゆることを尽くした。

友達に協力してもらってくじの交換を取り付け、神社にもお札を投入した。

そして念願叶い、無事隣の席を獲得したのである。

彼女の席は窓際の一番前。灯は本来なら隣に座っているはずなのだ。

…はずなのだが、



(折角隣の席をゲットしたのに灯が来ないと意味ないじゃない!)

何故かはわからないが、一昨日から彼は欠席している。

ひょっとして嫌われているんじゃないか、そう考えると泣けてきそうだ。

ため息が溢れてくる。

(やっぱり放課後に家に寄ってみようかしら。もしかすると風邪かもしれn)


「……るぎ、こゆるぎ!」


突然名前を呼ばれ鼓動がはじける。


「は、はい!小動こゆるぎです!」


「おい、小動。ちゃんと授業聞いてるか?一番前だと目立つぞ?」


公民のオジサン先生は、呆れた様子で注意する。

慌てて真っ白なノートを隠し、私は黒板に目をやった。

何も聞いていなかったので、黒板の文字を順に追い、内容を把握していく。

どうやら、日本の選挙の仕組みを説明しているようだった。



選挙といえば…、

世名は先月話題になった選挙を思い出していた。

それは、「首都決定選挙」である。



日本の首都は1956年以降、形式的に東京とされていた。

しかしながら、明確な定義はなかったのである。



日本政府は首都を東京であると法律に定めようとし、野党が反発。

国民に判断を任せようと、解散総選挙が実施されたのだ。

その結果、なんと世論は真っ二つに分離。

日本の首都が法律によって定まることはなかった。



世名はこの選挙に少しばかり関心があった。

この選挙には、日本人としてどうあるべきかが、詰まっているような気がしたのだ。

どちらが正しかったのかは、正直分からないのだが。



チャイムが鳴る。

世名は教室の外に出ると、窓から校庭を見渡す。

体育を終えた生徒たちが校舎に戻っていくのを眺めていると、



そこに紛れて、見覚えのある生徒が制服で小走りで駆けていくのを見つけた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ