【後書き】
どうも、作者の絢郷と申します。
この短編を読んでいただきありがとうございました。
読者のみなさんはミステリーはお好きでしょうか。私は大好きです。推理小説はもちろん、探偵や刑事が出てくるドラマもよく見ております。
その中には実に多種多様な犯人や動機、トリックがあって、毎度毎度ワクワクさせられています。
ドラマを見ている時は「犯人は誰か」とか「どういうトリックなのか」などを想像しながら見ていくタイプの私ですが、だいたいは予想を外してしまいます。当たったとしてもそれは物語のお約束を踏まえた上でのメタ推理で解いたものだったりするので、推理力はいまいちです。(犯人は物語の前半に必ず登場しているはずだからあの人かな、とか、意外な犯人にしたいと作者が考えているならあの人かな? みたいな推理の仕方です。)
よくある意外な犯人というのは、推理や捜査する側の人間が犯人だったというものがあります。警察や探偵。あるいは語り手である主人公やその助手など。たしかに彼らが犯人だった場合の驚きはその他の犯人と比べれば衝撃的です。
推理作家たちは斬新な作品を作ろうと多種多様な犯人を作り上げています。
犯人像から遠いイメージの人物ほどその驚きは増すことでしょう。
例えば、弁護士、子供、身体障害者、実は死んだと思われる人物などなど。
今回のお話は「読者自身」が犯人となる作品を考えて作ってみました。厳密に言えばまあ違うのでしょうが、けっこう構成的にはよくできたのではないかと自負しております。
実際のところ読者が犯人となるオチは厳密に言えば不可能だろうと思っております。殺すというのが物理的ではなく、実は社会的に殺すとか精神的に殺すだった場合なら考えられそうな感じもしなくはないですね。
あるいは読んだ人自身が必ず自殺するという、ある意味での物理的な殺人もなきにしもあらずでしょうか。
不特定多数の読者ではなく、特定の条件を満たした読者は殺人衝動を抑えられなくなってしまうというのもまた考えられそうです。
本自体に仕掛けがしてあってページをめくったことによって死ぬというのは小説の枠を飛び越えすぎていますね。
ウェブ小説は閲覧数がわかるので『この物語が1万回読まれたら作者が自殺します(あるいは作者が誰かを殺します)』とかいう被害者を限定する場合だったら、読むことが(つまり読者が)人を殺す手助けをしたということで、ある意味では犯人と考えられなくもないでしょうか。
ということで色々考えてはみましたが、虚構の中だけではなく現実世界とリンクさせて、必ず加害者と被害者を現実で作り出させるのは至難の業と言っても言い過ぎではないのでしょう。
もしそんな話を考えられたという人は是非ともその作品を発表して読ませていただけたらなと思います。(加害者にはなりたくないですが)
このほかにもいろんな短編を投稿しております。よろしかったら是非ともそちらを覗いてみてください。
それでは改めて、ご愛読ありがとうございました。




