2話 Eyes’Hope 11項「二人の能力」
2022/11/19 一部表現を修正(内容への変更なし)
車を降りると、捜査官と思わしき男性が4人を見つけ話しかけてきた。
「アイズホープの皆さん。今日もよろしくお願いしますぞ」
男性はそう言って軽く頭を下げる。見た感じ毒島と同じくらいの年齢だろうか、なかなかの貫禄がある。
「よろしくお願いします、警部さん」
「よろしく頼むよ」
「えっと……よろしくお願いします」
未來と静也が挨拶していたので、千空もそれに続く。未來が警部さんと呼んでいたので、捜査官では無く指揮する立場の人だったようだ。
千空が挨拶をすると、警部は彼をまじまじと眺め、近寄ってきた。
「もしかして、君が新しく入ったって言う……」
「あ、はい。瑞波千空といいます。よろしくです」
「ああ、話は聞いてるよ。よろしくな、千空君」
千空の肩を叩きながら、警部は彼に挨拶した。思いのほかフランクな感じのおっさんで、結構好感が持てるなと千空は思った。
「それで出雲警部、現場の状況はどんな感じなんです?」
「前回の報告から進展はないですな」
毒島たちが慣れた感じで話を進める。刑事ドラマとかでよく見る流れに、千空は不謹慎にも興奮してしまう。ちなみにそんな彼の様子を見て静也と未來がクスッとしていのだが、彼がそれに気付くことは無かった。
「ああ、でも現場のスキャンでもう一つ分かったことがありましてな」
出雲警部が資料を取り出し、毒島に見せる。それを見た毒島は、無精ひげを生やした顎に手をやり眉をひそめた。
「これはもしや……」
「ええ、成分を解析した結果、やはり麻薬でしたよ」
「麻薬?!」
話を聞いていた千空が思わず声を漏らす。麻薬なんてドラマやゲームの中でしか見たことがなかったので、実際にその名前が出てきてびっくりしてしまったのだ。
「ということは、この廃墟が取引現場に使われていた可能性もあるな」
「ですな。まあそれは警察の仕事ですから、皆さんは気にしなくて大丈夫ですぞ」
気にしなくても良いとは言われたが、やっぱり気になってしまう千空。でも、警部の言うとおり麻薬捜査は千空達の仕事ではないので、今日は言われたとおりにするのが良いだろう。
「まずは毒ガス装置の解体を頼んでもよろしいですかな?」
「ああ。そのために来たからな」
「では、こちらへ。防護服を用意してありますので」
警部が防護服を用意しているであろう特殊車両へ案内してくれたので、みんなでついて行く。
にしても防護服か。あの忌々しい検査を思い出すな……防護服と聞くだけで嫌な思い出がよみがえってきて、重い気持ちになる千空。
「てか、防護服も貫通するんだろ? マジで頼むぜ……?」
車の中では静也の能力なら大丈夫と言っていたが、本当に大丈夫なんだよな……?
「何度も言っているだろう? ボクに任せたまえと」
「そうだよ千空君。不安になりすぎるのも良くないよ」
「そ、そうだよな……」
実際どんな能力か見たこと無いから、千空が不安になるのは仕方ないことだ。だが、経験の深い二人が大丈夫だと言っているのなら、それはもう大丈夫なのだ。要は知らないから怖いというだけなのだが、千空がそれに気付くのはもう少し先なのであった。
千空達や装置の処理班が防護服を身につけると、毒島が静也に能力を使うよう指示を出した。
おお! ついに静也の能力が!
「よし千空、よく見ておけ。これがボクの能力さ!」
静也が胸の前で手をクロスにして力をためると、千空達の前に振りかざした。心なしかその手が光ったように……は見えない。特にこれといった変化はなさそうだが……何かしらの効果が発揮されたのだろうか?
「どうだい? これがボクの能力さ」
「いや、どうもこうもないけど……一体何が起こったんだ?」
腕を組み得意げな静也に、困惑気味に千空が問い返す。すると、静也は冗談だよと笑いながら千空の肩を叩いた。
「ボクの能力は『INSIDE』と言って、人間の体内を正常に保つ能力なんだ。だから、この能力を発動してさえいれば、毒ガスの中を歩いたとしても体内に毒は入ってこない」
その説明を聞き、なるほど! と合点がいく千空。
だから静也たちはあんなにもはっきり大丈夫だと言っていたんだと、ここにきてやっと理解する千空。どれだけ強力な毒ガス兵器があろうとも、そもそも毒が体内に入ってこなければ何の問題も無かったのだ。
「ほら、大丈夫だったでしょ?」
「ああ、二人とも疑って悪かったよ」
変に疑ってしまっていたので、千空は素直に謝っておいた。まさか、こんな能力を持っているだなんて思いもしなかった。
「ちなみに、この能力を使えば消費期限を切らしてしまった食べ物も安全に食べられるぞ」
「その情報は、要らないかな」
しょうもない情報に苦笑いする千空。ともかく、これで毒ガスへの対策は万全になったわけだ。これなら安心して捜査の見学ができそうである。
「お前ら、そろそろ建物内部に入るぞ」
毒島から指示が入ったので、千空達はいよいよ廃墟の中に入ることになった。
建物の中に入ると、外観同様内部もしっかり荒れ果てていた。壁や天井が剥がれ落ちており、その残骸のせいで足の踏み場も危うい。
「君たち、気をつけるん――うわッ!」
静也がみなに注意を促すと同時につまづき声を上げる。自分で言って自分でやってちゃ世話無いなとその場の誰もが思ったが、それを口にする者はいなかった。
「それにしてもほこりっぽいな」
「そうですね。防護服があって良かったですよ」
静也の能力があれば防護服は要らなそうなので、正直着るだけ無意味……なんなら動きづらくて邪魔じゃないかと思っていたが、ほこりをガードできるという点では着ていて良かった。
ちなみに、マスクで十分だろとは言ってはいけない。
「あ、あれじゃないですか?」
ある程度進んだところで、未來が何かを見つけ指をさす。彼女の指が示す先には、事前に映像で見せられていた毒ガス装置が設置されていた。
大きさはアタッシュケースくらい。よく見る爆弾とかと同じ感じの見た目だが、毒ガスを放出する機構が備わっているのが見て取れた。
毒島や外からの通信の指示で、処理班が手際よく装置を解体していく。毒ガスが凶悪だから処理に手間取っていただけで、装置の仕組み自体はたいしたことないみたいだった。
「問題なさそうだね」
「ああ。ボクがうっかり能力を解除するなんてことさえなければ、ね」
「おいおい……冗談でも止めてくれよ」
静也の放言に肝を冷やす千空。未來は慣れているのか特に気にしていないようだが、今日初めて会った千空からすればまだまだ慣れない言動だった。
そうこうするうちに装置の解体が完了し、処理班が危険物を隔離していた。防護服なんかよりも何倍も厳重そうな容器に入れていたので、もう毒ガスが漏れる心配はなさそうだった。
「よし、一旦外に戻るぞ」
そんなわけで、毒ガス装置の解除が終わった一行は一度外の本部へ戻ることにした。
本部に戻ると、次の捜査のために静也が捜査官や鑑識に能力をかけ始めた。いよいよ本格的な捜査が始まるみたいだ。
ちなみに、防護服はもう必要ない。濃度の高い毒ガスを喰らう可能性があったから一応着ていただけで、空気中に残留している程度の毒ガスならば「INSIDE」だけで完璧に防げるからだ。
本当は高濃度の毒ガスもそれで防げるのだが……一応、念のためとのこと。
毒島や警部たちが難しい話をしている中、千空たちは能力についての話をしていた。
「これでボクの能力についてはわかったと思うが、凄いのは未來の能力だ」
「そうなの?」
「ああ、まさに神の力さ」
「ちょっと、そんなにハードルあげないでよ……」
未來は困っているが、静也がそこまで言うと彼女の能力も気になってくる。静也の能力も予想できないものだったし、未來の能力もきっと凄い能力なんだろうな……
そもそも、千空の能力もダメージをほぼ無かったことにするという凄いものだった。静也の能力も似たような感じだったし、もしかしたら能力者はみんな凄い力を持っているのかも。
「うーん……次の捜査では私の能力を使うから、気になるなら千空君にも見せてあげるね」
「ああ、楽しみにしてるよ」
一体どんな能力なんだと期待を膨らませる千空。この調子だと、未來の能力がどんなものだったとしても彼は喜びそうだった。
その後しばらく待つと、会議が終わったようで次の指示が出された。次はいよいよ殺害現場となる部屋に向かうようで、皆気を引き締めている。
そこで千空は思い出す。そうか、一応人が殺されている場所なんだと。こんなところでわくわくしていたらいけないよなと自分を戒めつつ、千空は他のメンバーたちと共に殺害現場へと向かった。
再び廃墟の中をゆく。今回は防護服を着ていないのでホコリがキツいかなと思っていたのだが、静也のINSIDEのおかげでホコリすらも防げてしまっていた。毒だけで無くこんなものにも効果があるとは……千空の能力と組み合わせたら怖いものはなさそうである。
「死体発見現場は3階だ。階段が腐っているかもしれないから、注意しろよ」
毒島が全体に注意を促す。通路に散乱している瓦礫のせいで歩きづらいし、転ばないようにも気をつけた方が良さそうだ。
「そのくらい分かっているさ。ボクを誰だと思って――うわッ!」
案の定というか何というか、静也が瓦礫を踏みつけて転んでいた。「ボクを誰だと思っているんだ」と言いたかったようだが、多分彼が居るからこそ注意したんだろうなぁと千空は思った。
瓦礫に気をつけながら3階まで上がると、目的の部屋が見えてきた。
「ここだな。よし、おまえらは一旦そこで待機だ」
すると、目的地は目の前だというのに、毒島からそんな指示が出た。ここまで来てメンバーは待機だなんて、先に捜査官や警部だけであらかた捜査をするのだろうか。
不思議そうに千空が首をかしげると、毒島が「そうだな……」と言って彼に教えてくれた。
「今回みたいな事件だと、遺体が見つかるまでに時間が掛かっていることも多い。ドラマとかでは描写されないから知らないだろうが、遺体が放置されていた現場はかなり危険なんだ。遺体そのものも含めてな」
「え、そうなんですか?」
「ああ。だから俺ら素人は、必要な処理が終わるまで外で待つのが吉ということだ」
毒島の説明はそれで終わりだった。正直これだけでは何がどう危険なのかよく分からないが、フィクションの知識しか無い千空にはそれで納得するほか無かった。
静也と未來を見てみると、二人は毒島の説明を聞くまでも無く状況を把握している様子。やっぱり、何度も捜査を経験して慣れているのだろうか?
「いつも捜査では待たされてるのか?」
「そうだな。ボクは能力の性質上、発動したまま待機ということが多いな」
そう言うと、静也はおもむろに折りたたみ椅子を取り出し座りだした。なんて準備が良いんだと千空が呆れていると、隣にいた未來も毒島から椅子を貰って座り始めていた。
「二人とも、事件現場でよく寛げるな……」
現場で他人の能力にはしゃいでいる千空が言えたことでは無いが、言ってること自体はまあ正しかった。事件現場で寛ぐ人間なんて、普通はいない。
「私の能力は結構疲れるから、無駄に体力を消耗したくないんだよね。それに、私は殆どの捜査に呼ばれるから、もう慣れちゃった」
未來がそう言いかすかに笑う。笑うところなのかと若干疑問ではあるが、慣れてしまった本人からしたらきっとそうなのだろうな。
それよりも、今の発言に気になるところがあった。
「殆ど呼ばれるってことは、相当凄い能力ってこと?」
そうなのだ。アイズホープは捜査内容に合わせて参加メンバーを選出されるので、呼ばれる回数が多ければ多いほど捜査にとって有用な能力と言える。となれば、殆どの捜査に呼ばれる未來は、それはもうすんごい能力を持っていると言うことになる。
「だからさっきも言っただろ、未來の能力はヤバいってさ」
「こうなるとホントに楽しみだな」
「だからハードルを……あーもう、なんか恥ずかしくなってきた……」
未來が何やら悶えているが、そんなことにはお構いなしの二人であった。
その後、30分程待つと処理が終わったようで千空達は現場となる部屋に通された。
部屋の中はきれいに片付けられており、事件があったとは思えないほどに復元されている。
「結構きれいにされてますね」
「現場の記録は終わりましたからな。皆さんに生々しい状態の部屋を見せるわけにもいかんですし」
確かに、ドラマとかではテレビで映すようにマイルドに表現されているので、ガチの事件現場は見たことが無かった。となれば、ちょっと前まで一般人だった自分にはショックが大きいかもと、千空は警部の気遣いに感謝した。
でも、ここまできれいに片付けられてしまっては、捜査のしようがないのではなかろうか?
千空はそう疑問に思ったのだが、ここで思い出す。
そうか、未來の能力か! と。
「もしかして、ここで未來の能力が――」
「お、察しが良いな千空。ということだ、鍵乃、頼んだぞ」
「わかりました」
そして、未來が目を閉じこめかみに右手を当てた。
おお、ついに待ちに待った未來の能力が……!
皆に見守られながら、未來が能力を発動する。さあ、果たしてどんな能力なのか――
…………
あ、あれ?
一向に何かが起こる気配はない。未來は目を閉じたまま険しい顔をしているので、能力は使っている様子。かなり真剣に発動しているようだが……
静也と同じで目には見えないのだろうか……などと千空が考えていると、ふとオフィスでの会話を思い出した。
『真佳以外の能力は、カメラとかでは捉えられないの』
……そうだ! 真佳の能力以外は目に見えないんだった!
千空は自分にアホなんじゃ無いかと罵声を浴びせる。なにせ、事前に説明されていたことを忘れてあれ?とか言っているんだから。しかも、静也の時と合わせて二度も。
二度あることは三度あるともいうが、今後はしっかりと人の言ったことは覚えておこうと心に誓う千空。仏の顔も三度までなのである。もっとも、この場合の仏は自分だが。
そんなことを考えている間に、未來の様子に変化があった。
目を開き、うろうろと歩きながら辺りを見回している。一体何をしているのだろうか?
疑問に思っていると、警部が未來に声をかけた。
「私にも見せて貰えますかな?」
「はい、どうぞ」
未來が何の躊躇も無く左手で警部の手首を掴む。すると、手首を捕まれた警部も未來と同様に辺りを見回し始めた。これは一体……?
「何をしているのか、気になるみたいだな」
「ああ、あれ何してんだ?」
「ボクが言っちゃあ、ネタバレになるからな」
静也からはあくまでも教えるつもりは無いらしい。煽るだけ煽っておいてなんだよ……
しばらくすると警部が「ありがとう」と言って左手を離させたので、千空は未來に直接聞いてみることにした。
「なあ、未來の能力って一体……?」
「きっと、見れば分かると思うよ」
え、何を――と返すまもなく、未來が千空の手首を掴んだ。
すると次の瞬間、千空の瞳に信じられないものが飛び込んできた。なんとそれは、殺人が行われたまさにその瞬間の映像だったのだ。それも、かなり鮮明に映し出されている。
映像はVR視点のようになっており、自分が移動すればそれに合わせて映像の視点も移動する。先ほど未來や警部が移動しながらキョロキョロしていたのはこの為か。
「す……凄すぎだろ!」
「こんな感じかな。私の能力『REAXTION』は」
いや、マジで凄すぎる。これってつまり、過去の映像が見られるってことじゃないか。ということは、防犯カメラがないところで起きた事件とかも簡単に犯人を見つけられることになる。
つまりは、取り敢えず未來を呼んでおけば確実に解決の糸口が見つかるというわけだ。
「まさしく神の能力だな……」
千空は、彼女がよく捜査に呼ばれる理由を完全に理解できたのだった。
「いやはや、今回も助かりましたぞ」
「ああ。俺らで良ければ、また呼んでやってくれ」
捜査を終え外の本部に戻ってきた千空達は、出雲警部と別れの挨拶をしていた。
あの後、絵が得意な捜査官が犯行時の映像や犯人の顔などを記録し、捜査は終了した。
見学という扱いで来ていたのでそれで問題無いのだが、結局千空の出る幕は一切無かった。それはそれでなんとなく虚しいが、初めての捜査なので仕方ない。
挨拶が終わると警部たちも撤収していったので、千空たちもセンターへ戻ることになった。車に乗り込むと、千空は大きく一息ついた。
「お、疲れたのか? お前は何もしてないだろ?」
「いや、疲れたって言うかなんて言うか、初めての経験が多すぎて」
千空自身は今日何もしていないのだが、初めての捜査や初めて見る他人の能力に、はしゃぎすぎて疲れてしまったのだ。
「にしても二人とも凄いよな。こんな境遇なのにあんなに真剣に捜査にあたれて」
「ボクの場合、こんな境遇だからさ。なんてったって、コレがかなりいいからね」
そう言って静也が指で輪っかを作る。こいつ、金が貰えるから真面目にやってたのか……
なんて現金なやつなんだと千空が苦笑していると、毒島が「その割には生き生きしてたじゃないか」と口を挟んでいた。静也は「そうだったか?」と首をかしげているが、お金目的と言いつつ、なんだかんだ彼も楽しんでいるようだった。
そんな二人を眺めていると、未來がつぶやくように言葉を発した。
「私はね、生まれたときからこうだったから、かな」
「え?」
少し儚げな笑みを浮かべて、窓の外を見つめる未來。生まれたときからこうだったって、一体どういうことだろう……?
千空が返す言葉に悩んでいると、未來はさらに続けた。
「私、生まれたときから能力者だったの。訓練することもなく、ホントにはじめから」
「……そうだったのか」
未來の言葉を反芻する千空。つまりそれって、物心つく前から能力者として扱われてたってことじゃないか? そしてそんな頃から宿街で、アイズホープメンバーとして暮らしてたってわけで……
「だからね、捜査とかも小さい頃から連れてこられてたから、なれちゃった」
「そっか……変なこと聞いてごめんな」
想像を遙かに超える未來の境遇に、千空はやりきれなくなってしまった。そして、そんなことを聞いてしまった自分を責めた。
そんな千空の様子を察してか察せずともか、意外にも毒島がフォローを入れてきた。
「別に悲しいことではないさ。それに、アイズホープにいれば外の世界にだって出られるだろ?」
「そうそう。だからさ、そんな顔しないで?」
「え?」
そんな風に言われ、思わず顔に手を当てる千空。
「千空、君今とんでもない顔になってたぞ?」
どうやら、千空は今相当沈んだ面持ちになっていたようだ。あんな話を聞いてしまったのだから仕方ないとは言え、人に見せる表情では無かったようだ。
「ああ、悪い」
千空はそう言って軽く笑顔をつくる。作り笑いをするつもりだったが、メンバー達の温かい対応に自然と笑みがこぼれていた。
「なんにせよ、今日はご苦労だったな。帰ったらゆっくりすると良い」
「何もしてないだろって言ったの、毒島さんじゃ無いですか!」
「あれ、そうだったか?」
そんな風に言葉を交わしながら、千空たちは天使の宿街、中央センターへと帰るのだった。