プロローグ6 いざ、転生
俺もウザ子に見た目を若干いじってもらった。
俺は黒髪黒目の日本人らしい日本人だが、どうやら異世界でもそこまで珍しいわけでもないらしい。
そんなわけだから、髪色なんかは特にいじらず、少し面長で、そばかすをつけるくらいにしておいた。
例えていうなら、銭に目がない、いや目が銭になる落第忍者とか、ボールのキープ力に定評のある二代目キャプテンとかだ。
ウザ子の方は、少し目と目の間をあけて魚顔になっている。
髪色は、水色のままだ。
さして珍しくもない色らしい。さすがファンタジー世界。
魔王(やらせ)がいて、ダンジョンもどこかしらにはあって、盗賊なんかも蔓延っているらしい。
転生先は街中にしてくれるそうだから、いきなり森の中で始まって、盗賊に襲われた馬車からお姫様を助けるとかいうテンプレ展開にはならないと聞いた。
大変ありがたい。
そんな目立った始まり方は御免被る。
そういうのは十把一絡げの異世界転生ものでやってくれればいい。
俺はただ、地味に忍んでいくだけだ。
忍者は、気配もなく。
目立たず。
名も残さず。
《本当に、何もいらないのですか》
あたぼうよ。
忍者の基本はサバイバル。
生き抜くこと。現地調達こそが忍者の真骨頂だ。
クラスやスキルにも頼らず。
忍術は、魔法とは違う。
才能がある一部のものや、クラスの恩恵がなければ実現できないものではない。
極めて科学的で、現実的で実際的な、技術の結晶。
たゆまぬ努力と訓練によって身につけられる、生き様。
それが忍者。
忍者としての、俺の第二の生が、今、また始まる。