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プロローグ2 女神

 目が覚めると、緑豊かな小高い丘に大の字で寝ていた。

 死後の世界かな。

 ワンチャン、まだ生きていて、誰かに助け出されたとか。

 さすがにそれは無理があるか。


 《そうですね。確かに、あなたは亡くなりました》


 おわっ。

 頭の中に、突然澄んだ女性の声が響いてきた。

 ってかやっぱり俺ってば、死んだのか。

 いやそれより誰よ。

 なんか心の中も読まれてるっぽいし。神様?


 《その通りです》


 また頭の中で声が響いた。

 どこから聞こえてきたのか、起き上がってキョロキョロと辺りを見まわしてみたが、全然わからない。

 と、目の前でだんだん輪郭がはっきりしていくように、忽然と自称女神が現れた。

 怪しい。


 《本物ですよ》


 失礼なことを考えたからか、訂正されてしまった。

 どうして目の前にいるのに直接話しかけてこないんだろう。

 恥ずかしがり屋さんなのかな。


 またまたそんな失礼なことを考えていたら、自称女神様が手に持っていた杖を掲げ、振るった。

 怒らせたかな。

 杖の先についてる宝玉みたいのが虹色に点滅してるし、なんかすごいことが起きそうな予感。


 ちょっと身構えていたら、自称女神様の横に、虹色の光が集まって、人の形になった。

 10代くらいの少女だ。どことなく自称女神様に似ている。

 二人とも純白のローブを着ていて、顔立ちも似通っている。


 自称女神様は大人の女性、という感じだけど、表情に乏しい。

 対して少女は、腰に手をあて、不敵な表情でふんぞり返っている。

 神々しさの欠片もないな。


「しっつれいね! っていうか、だからいいのよ! ママが直接しゃべったら、神々し過ぎてあんたなんかの器じゃ消し飛んじゃうんだからね!」


 ちっこい方が偉そうにドヤ顔で説明してくる。

 なるほど。神気にあてられちゃうってやつか。

 その論法でいくと、こっちのちっこい方なら神気は大したことがないから大丈夫ってことで、生み出されたんだな!


「ちっこい言うなし! あとさっきから自称、自称って本っ当に失礼! ママは本当の女神なんだから! 唯一神よ、唯一神! あんたの世界のちんけな神とは違うんだから! イーーーーっだ!」

「言ってない。思っただけだよ。

 ちっこい方も普通に心の中読んでくるね。すごいわー。マジリスペクトだわー」

「そうでしょう!? わかればいーのよ!」


 ドヤァ!!


 うっざ。

 感情表現豊かすぎるだろ。


「う……うざっ? ム、ムキーーー! 反省して謝罪して賠償しなさぁい!」

「はいはいごめんなさいごめんなさい。もう信じることにしましたからこのお調子だと話進まないので、とりあえずスルーして聞き捨てならないところを確認させて頂いてもよろしいでしょうか?」


 ちっこい方はスルーだスルー。

 女神に向かって質問すると、頷いてくれたので続ける。


「スルー! 私、スルー。がーーーん!」


 いちいちリアクションが古いなー。もういいや続けよう。


「えーと続けます。さっき、こっちのちっこい方が、『あんたの世界』と言ってましたが、それってつまり、天国的な意味合いじゃなくって、もしかしなくても……ここは異世界ってこと……でしょうか?」


 《その通りです》


 まじかー。

 ここ、異世界なのか。しかも俺、死んだらしいし。

 あでもこの流れ、これはきっとあれだ。

 異世界転生だわ。

 死に方は残念だったけど、転生させてくれるならある意味ラッキーともいえる。


「う~~ん、それがそうでもないんだよね。なんというか、手違い? みたいな?」

「復活したちっこい方が、耳をポリポリとかきながら、コギャルみたいな語尾の上げ方で歯切れ悪く話してくる。意外に復活早かったな」

「心の声を普通に声に出してしゃべるのやめてくれるぅ?」


 と、ここで女神が再び杖を振るって、逆隣りにもう一人、呼び出した。

 顔はまた女神とそっくり。髪の色も水色で同じ。そして服装は……



 俺が崖の上で助けた、少女そのものだった。

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