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プロローグ1 クナイ絶壁登り

忍者好きが高じて、異世界忍者モノ、始めました。


忍者風ではなく、本格的に忍んでいきます。

忍者は奇術師であり、実践科学者であり、哲学者であり、サバイバーです。

ド派手な忍術をぶちかますのだけが、忍者の魅力ではありません。


忍者は生涯が修行。私も未だ忍者を知る修行の身。


大して忍者に詳しいわけではありませんが、

出来得る限り本来の忍者の姿を描きたいです。

本当の忍者に興味を持って頂ければ幸いです。

 オッス!

 俺、音無おとなしすすむ


 どこにでもいる忍者オタクだぜ。

 今は、どこにでもある断崖絶壁で、ちょっとクライミングをしている最中だぜ。


 安全ロープ? 落下防止ワイヤー?

 そんなもんいらないぜ。

 だって、命綱ありじゃ、修行にならないぜ?


 忍者たるもの、実際に断崖絶壁を登れるだけじゃなくて、精神も鍛えないとね。どんな極限状態でも、冷静に事を運べなくちゃ、一流の忍びとはいえないよ。


 その点、ここはいい。

 断崖絶壁はどこにでもあるけど、ここは自殺の名所らしくって、人がめったに寄り付かない。真下は高い波が逆巻いているし、誤って落ちたら万が一にも助からないだろう。

 時折、横風も吹いて、いい具合にデンジャラス。

 そんな立地だから、朝から全く人がこない。


 俺は朝から絶壁登りを繰り返して、既に四回目。

 ちなみに一回目がフリークライミング、二回目がカギ爪を使ったクライミング、三回目がまたフリークライミングだ。

 四回目はクナイを使っている。


 クナイっていうのは、ゲームやアニメなんかでよく忍者が飛び道具として使っているイメージがあるかも知れないけど、それはクナイの使い方としては、ほんの一部分でしかない。

 そりゃあ、追い詰められればクナイだって投げるかも知れないが、間違っても服の裏にいくつもぬいつけて、投げつけるような真似はしない。


 考えてもみて欲しい。


 忍者とは、いってみればスパイだ。

 潜入捜査が本職だ。

 戦わなければならない状況は、既に失敗といっていい。


 あくまでも身軽に。

 あくまでも秘密裏に。

 それが忍者の本懐。


 クナイを何本も仕込んで行動なんてできるわけがない。

 重すぎて邪魔なだけだ。


 まあでも、無類の忍者好きからしたら、美少女くのいちがピョンピョン跳びまわりながらクナイを投げつけてる姿なんて、控えめに言って大好きです。


 おっとっと。

 忍者オタクだから、ついついヒートアップしちゃったよ。

 クライミングも四回目ともなると、余計なことを考えちゃうね。


 それで、クナイの使い道だけど、投げつけたり、手に持って戦ったりする武器としての使い方だけじゃなくって、様々な使い方ができる。

 そのひとつが、登器だ。


 こう、カギ爪に縄を結んで、振り回して投げ上げるイメージ、あると思う。

 あれも登器のひとつなんだけど、忍者はできるだけ身軽で、荷物は少ない方がいい。


 動きやすいっていうのもひとつだけど、忍者は身バレを防がないといけない。

 あからさまな忍者道具は、そもそも持たないか、少量を隠し持つものだ。

 だからこそ、忍者の道具は多機能。


 クナイを使って、壁の隙間に差し込んで、手がかり、足がかりを作る。


 その他にも、穴蜘蛛地蜘蛛の術っていって、穴を掘って潜入する時には、クナイをシャベル代わりに使って穴を掘ることもできる。


 クナイは便利だね。まさに忍者御用達。



 さて、そうこうしているうちに、四回目も終わりが見えてきた。


 次はどんな風に登ろうか。やっぱり基本のフリークライミングかな。

 それで一段落にして、別の修行にしようか。

 ここいらには山もないから山菜採りというわけにもいかないし、

 普通に走り込みかな。


 よっこらせ、と。

 登りきった。


 一息つこうかと思っていたら、目の前に少女が立っているのが見えた。

 目が、合った。


「……えっ? えぇ? 崖の下から? えっ? だ、だれ!? 何?」


 少女は水色の髪をしていた。

 存在感を示したいお年頃なんだろうか。ここ、日本なんだけどな。

 場違いな感想を漏らしていたら、折悪しく横風が吹いた。


「えっ。あ、きゃああああああああああああ!」


 少女がバランスを崩し、崖から落ちていこうとする。

 咄嗟に俺は少女の腕をつかみ、崖の上に引き戻した。

 入れ替わるようにして俺は――



 俺は、宙に投げ出された。



「ちぃっ」


 懐に忍ばせていた、ロープのついたクナイを崖に向かって投げつける。

 頼む、刺さってくれ!


 そんな願いもむなしく、クナイは崖に当たって跳ね返された。


 あーあ。

 こりゃだめだ。この状況からじゃ、何もできない。


 呆然とこちらを見届けている少女に向かって俺は――


「いのちをだいじにーーーーーー!」


 笑顔でコマンドを出した。

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