ハル…3
中学一年だそうで、まだ声変わりしきっていない、不協和音を奏でそうになる喉を、話し方でどうにか制御している。そんな風に感じた。
埋めるでのスクワッドに出発すれば、案の定、強いコにありがちな試合運び。町を制圧した後は、宝箱を漁るのもそこそこに、次の敵を求めて最前線を突っ走るハルの後を追う。
「敵ですよ」
「いらっしゃいませ〜」
「お呼びじゃないんですが」
「毎度ありぃ」
「次のお客様、ご来店〜」
口を開けば案外軽妙なトークで、前回の初対面時にはボイチャを切り、一言も喋らなかったのは何だったのだろう?と不思議に思うくらい、会話は弾んだ。
何試合かをその手でビクロイで飾った後に。
「パブリックにしててくれたなら、また遊びに来ます」
そう言い残して、ハルは去って行った。
好印象ではあったけれど、はじめ、陽、花たちとつるむのが楽しい時期だったから、わたしの中でハルの存在感は薄く、それ以降は遊ぶ機会も殆どないまま、過ぎていく日々。
あまりにも遊ぶ機会が少なかった為に、フレンドを整理する際には、削除の対象に入れようかと思ったこともある。だけど初めて喋ってくれた時の楽しさを思い起こせば、切るのは早計かと思い直し、フレンドとして残していた。