ハル…1
麻薬みたいな少年だった。
ハルとフレンドでいる今、他の誰と組んでも、なんだか楽しいと感じられない。花だけは例外だけれど。
エイムを合わせるのが尋常じゃなく速い。エイムが合った瞬間には撃っている。精度も凄く良くて、外す方が稀。
「頭しか見てません」との本人の言葉通り、ほぼ全弾ヘッショが決まる。
速いのは勿論のこと、建築や立ち回りが多彩で先を読み、相手の動きを完璧に封じて、最低限の弾数で確実に倒す。
誰も逃れられない。365度どこからでも現れ、問答無用で敵を刈り取る。ハルの視界から敵が命拾いするのを見たことがない。
ハルと行くデュオはビクロイの連続で、プロの動画を観るよりも、自分が死んだ後にハル視点でハルの戦いを観戦する方が、わたし的には遥かに興奮した。
比喩でもなんでもなく、ハルと組んでると脳内麻薬がドバドバと出て止まらないから、無理なの。ハルが良い。
「他の人じゃなく、ハルと遊びたい」
ストレートにそう言ったら、キレ気味に。
「ハァ⁈」っと返された。泣きそう。
出会いは陽を介しての事だった。
白銀に包まれていたフォトナの全土から雪が消えて、でも春はまだ先。そんな季節だったと記憶している。