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プロローグ『女神の審判』

あらすじ、タグの確認お願いします。

 『アニマルドール~君の尻尾を捕まえる~』


 なんて名前のギャルゲーがあったらしい。略称は大抵のプレイヤーが『マルドー』と呼んでいた。

 舞台は中世、科学の発展前のよくあるファンタジー世界で、魔法は少ないが剣と魔物が存在していた。

 世界は大きな大陸と、最南端に存在する小島が海にぽつんとひとつ。それ以外の大陸は世界にない。大きな大陸には大小様々な国が興っていたが、中でも肥沃な大地を有し大陸の東の殆どを手に入れた大国、ルクス王国は大陸史において最も古くから繁栄を享受していた国だった。

 かの国が何故そうまで連綿と国を繋いで来たか。それはひとえにルクスがただ人の国であったからだ。


 世界には、獣と交わる人がいる。


 獣人、そう一括りに呼称される人種は確認されるだけで数百、数千はいるだろう。部族単位の小さな種が集まり、増えて国を興す。そうなれば国と国との争いが起こり、いつの間にやら国は消え行く。そんな国が、一体いくつあったのだろうか。そうして、個体数を減らした種族が増えて行き、今では彼等の純血種すら、見つかりはしないだろうと思われた。


 そんな世界だったが、ルクス王国の王位継承者は混じり気のない人だった。人はか弱く寿命も短いが、純血と混血の区別が分かりやすい特徴を持っていた。何せ、獣人と交われば確実に獣人の性を引き継ぐ特性を持っていたからだ。

 脈々と血筋を絶やさぬ国、人種はもう世界には人だけで、その誇りを旗印に掲げたルクスは、何者にも踏み荒らされることのない国となった。


 主人公(あなた)は、ルクス王国の最北端で目覚めた。女神リュカリースを主神とする聖ルクス教会の本山にある聖なる森の泉のほとりに降り立った。女神がその身を清める為に浸かる聖なる泉には何人たりとも指先を浸すことは許されない。己の名も記憶の一切を忘却の彼方に置き去りにした主人公は途方に暮れた。ちょうど、両手で泉の清水を掬い上げたところを神官に見付かり咎められてしまったからだ。


 そしてあなたは運ばれる。

 禁忌を犯した罪人として、女神リュカリースが眠るとされるルクス王国首都リースへと。


 しかし、季節は冬。雪深き本山から首都への道の多くは閉ざされ、唯一の道は国境線にもなっている揺籃の森を抜ける道。訪れた者を女神リュカリースが審判し、罪無き者のみが通り抜けることが出来ると言われるその森。護送馬車の中に囚われていたあなたは、突然の嵐に見舞われ、何者かの襲撃を受け馬車が倒された。聞こえてくるのは誰かの悲鳴、馬の嘶き、そして獣の唸る声。枷をはめられ身動きの取れぬあなたは窓もない箱の中で息を殺して待っていた。どの音もひとつ消えてはふたつ消え、終いには風が雪を吹き上げる声だけが残った。


 まるで薄氷を踏み抜いた時のような音だった。箱の天井から吊るされていた手枷が外れて、軋む木戸がそっと開いた。導かれるように雪が吹き荒れる大地に立ち、辺り一面に広がる真っ赤な絨毯と、雪道にぞんざいに突き立てられた血に濡れる粗末な剣に手を伸ばしたあなたは、開いた口から立ち上る白い息をゴクリと飲み込み、こちらに狙いを定めた獣の群れと対峙した。




 プロローグ『女神の審判(ゆりかご)



 


 命からがら逃げ切ったあなた。

 道すら分からぬ雪の森で、遂には倒れ伏してしまう。しかし、あなたに女神は微笑む。冒険者に拾われ、目覚めるとなんと首都リースの教会にいた。



 そんなあなたが出会うのは…………


 食堂で働く犬獣人の少女、ユール

 歓楽街の可憐な踊り子、蛇獣人のリアリー

 斧使いのA級冒険者、鳥獣人のハロルド

 審判の日を待つルクスの王女、猫獣人のメローダ




 あなたが選ぶのは、どのヒロイン?




ハロルド「なんだい?私をご指名かい?」

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