胸の成長はまだまだ先のようだ
キノコスープ
肌寒さに身を震わせ、ギシギシ鳴る床を皆を起こさないようゆっくりと歩き、布掛けを1枚羽織り、いつもの所へと向かう。
古びた床の今にも崩れ落ちそうなところを的確に避け、口元からは白い吐息が出ていた。
目的の場所、といっても納屋。何故、そんな所に行くのかというと私の幼馴染みを連れ戻すためだ。毎回、納屋に行き気持ち悪い人形を作っている。あの人形は人間では無い。あんなに、胸が大きい人間なんて、クソビッチだ。
「ぐへへ……いいですな、いいですな」
納屋に着けばいつもの声が聞こえてくる。最初はものすごくドン引きしたが慣れればなんともない。
藁が敷かれている中、盛り上がっている所へと向かう。
「ロイ、朝の支度。その気持ち悪い人形置いて手伝え」
私の声に気付いたのか藁に埋もれていた白い頭がびくっと動き、赤い双眼がこちらを見た。白い肌に長めの前髪、その下には赤い垂れ目。艶のある髪、眉と長い睫毛も白く幻想的だ。
澄んだ瞳には私が映っていた。真っ黒な髪に瞳。目線を落とせばロイの手元に爆乳の美女がある。端整な顔立なのかそんなクソ気持ち悪い人形を持っていたとしても様になっている。
だが、私からしてみれば気持ち悪い。
「うんー、分かったー。ってか気持ち悪いってなんだ、俺の最高傑作『爆乳エロい美女』男のロマンがめっちゃ詰まっているんだよ…へへ」
その手が美女の胸を触っているのを見る限りドン引きする他無い。思わず自分のぺったんこな胸を見てしまうのは不可抗力だ。
ロイの目線も私の胸に注がれていた。
……おい。今、私の胸見てから溜息ついただろ。そんな目で見るな。こっちが悲しくなる。まだ、私は12歳なんだ、これから成長する筈だ。……筈なんだ。
「ティー……栄養、ちゃんと摂れよ」
「……十分摂ってる」
最近の奴らは肉付きが良いだけなんだ。スラム街でまともな栄養なんて摂られやしないんだ。例え同世代の奴らが肉付きがよくても、そうゆう事なんだ。
「と、とにかく行くぞ。院長が待ってる」
「…ああ、そうだな」
「……ロイ、それ以上そんな目で見たらその人形ぶっ潰す」
「……」
あまりにも残念な目で見てくるものだからイライラする。その人形後でぶっ潰してやる。
~~~~~~~~~~~~~~~
食堂に着くと院長がスープをよそっているところだった。…完全に遅刻した。無駄話し過ぎた。
「院長、ごめんなさい。遅れた、主にこいつのせいで」
「え!!俺のせい!?」
「あの人形の話をしなければ良かった…」
「……胸、の事か」
ぼそっと聞こえた言葉にロイを睨む。私は胸の事なんか。
「良いよ、良いよ、今日は寒いからね。おばちゃん特製スープ作ったよ!
明日、朝の支度任せるよ!さあ、皆を呼んできな、冷めちまう前に!」
「「はい!」」
返事と共に走る。床が突き抜けない程々の速さで。
小説を書くというのは難しいですね。ゆっくり物語を進めて行こうと思いますm(_ _)m




