鱗
そもそも君と
すべて分かり合えるとは
思っていなかったけれど
それでも
分かり合おうとして
小さな水槽で二人
傷つけあってきた
互いの正しさを振りかざし
剥がれゆく鱗
その脆さに
涙したりして
そもそも君と
すべて分かり合えるとは
思っていなかったけれど
僕らが意を決して
別れ別れ飛び込んだ海で
分かり合えないまま二人
どの海域で息してるのかも
分からないのに
君のいつか剥がれた鱗を
見たような気がしたよ
もしも僕らが
上手に泳げたのなら
分かり合いたかった君
分かり合えなかった君
ぜんぶ
綺麗に避けながら
生きていたのだろう
そもそも君と
すべて分かり合えるとは
思っていなかったけれど
細く繋がる海で僕ら
すべて分かり合えないと
分かり合えたのなら
いつか違う泳ぎ方で
一緒に泳げる日がくるだろう
沈みゆく鱗
光させ
どんな君にも
どんな僕にも