先輩風は受け流すが勝ち
いやぁ、まぁ君も入社して1年なんだね。どうだい調子は? 会社の雰囲気慣れた? 仕事辛くない? 上司とうまくやれてる? って僕とこんな風に飲みに来てる時点で人間関係は問題ないよね〜。
(あなたが朝からしつこく誘ってたから。 断ると泣きそうだったしな。)
でもね、慣れは怖いよぉ? 慣れってのは人に油断を生むからね。 石の上にも三年、まだまだ新人としての自覚を持ってね!
(そうか、慣れると課長にウザがられていることにも気づけなくなるのか。 それは知らなかった。 そしてあと二年はこの人の尻拭いをすることになるのか、濃い二年間になりそうだな。)
そういえば。 君、プライベートの方はどうなの?
(あなたに報告することなど無いくらい満たされています。)
若いうちはねぇ…… 遊びたいよねぇ。 僕も君くらいの歳の頃はよく遊んだよ。 女の子も…… たくさん泣かせてしまったなぁ。
(あなたの初めてはお店で卒業されたと課長にお聞きしましたが。 結婚したのもお見合いだと聞きましたが。 あなたに泣かされたとは悲しみではなく恐怖だったのでは? 尾行は犯罪なんですよ。)
でも君、顔はいいよね。 でも髪型と服、まだまだ青いねぇ。 もっと僕みたいにさぁ…… ビシッと決めないと!
(あんた、俺の私服見たことねないだろ。 スーツなんて似合う似合わないはっきりするし。 そしてあんたは似合わない部類だ。 そしてあんたのそのアホ毛は寝癖では無かったのか、わざわざセットしてたのか、それは知らなかった。)
でもね。 僕は君には期待しているよ。 これからどんどん経験つけて、うちに貢献してね!
(分かりました。 結果だしていつかあなたを差し置いて上へいきます。 後輩の踏み台になるなんてよほどのお人好しかドMなんですね。)
さて。 そろそろ帰ろうか。 あ、お代はいいよ、僕が持とう。
「あざす! 流石は未来の課長‼︎」
先輩風は受け流す。 ……基本的に、な。