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この青い空から  作者: 湖沼 弥音
Prologue
9/40

「あと、命の重さを思い知りました…」


そう咲斗は付け加えた。


「皆に望まれて生まれてくる子供の魂を運ぶ、新米天使にとって一番辛い仕事が初仕事だな」


「ですね。自分が失った物の大きさに気付かされました」


取り返しのつかない事はないと言うけれど、それは生きていることが前提で…。


「お前よりそれを痛感してるのは、あの娘だろ」


雅貴が希楽の方に視線を向ける。


「どうして…?」


雅貴の言葉の意味が分からずそう返す。


「知らないのか。なら俺が話すべき事じゃない。彼女本人が話すまでは…な」


「じゃあなんであんたは知ってるんですか?」


——————————————————————–


むっとして言い返した咲斗に、勝ち誇った笑みを浮かべて雅貴は答えた。


「上司だから」


その答えと態度に咲斗はキレる。


「ワケわかんねー言い訳しないでください!」


「何大声出してんの?恥ずかしい…」


気付くと希楽が冷めた目でこっちを見ている。


「何でもないって」


そう言って希楽の元へ移動しようとした咲斗は擦れ違いざま、雅貴に言った。


「構いませんよ。俺待ってますから、あいつが話してくれるまで。俺があいつを守ります」


挿絵(By みてみん)


「へぇ、見た目の割に頭の中は詰まってるみたいだな」


「見た目の割に、は余計です!」


——————————————————————–


「何騒いでんの?」


「雅貴、いい加減からかうのやめなよ」


希楽と里空が2人の元へ来る。


「からかわれていちいち反応しているようじゃあまだまだ、子供だな」


「…っ」


3人から笑いが起こる。


「ムッカツク…。じゃなくて、里空さん、雅貴さん、

俺、あなた達に聞きたいことがあるんですけど」


「ワザとらしく逃げたな…」


ぼそりと雅貴が言った。


「真剣に言ってるんです。答えてくれますか?」


反論せずに真剣な顔で話す咲斗に里空が穏やかに言った。


「何?俺に話せることなら話すよ」


「俺達は何故天使としてここにいるんですか?」


——————————————————————–


「なぜって999、1000番目に死んだからじゃないの?」


「はあ…?」


素直にそう言った希楽に雅貴と里空は思わず変な声を上げる。

その後2人して大笑いしだした。


「ナルホド…。面白いこと言うね、叶さんも」


「ふざけたやつだ…」


ようやく笑いの収まった2人はそう言った。


「じゃあ、あれはウソ…ですか?」


「フツー信じねーだろ…」


「素直に信じるってのがまた可愛いねぇ希楽ちゃん」


「じゃあ、どうして…?」


「さあねぇ」


曖昧に誤魔化そうとした里空を雅貴が遮る。


「話してやれよ。隠す必要はない」


——————————————————————–


「そうだなぁ。多分俺達がココにいるのは、こっちに何か強い未練があるからなんだ」


希楽と咲斗が里空の言葉に反応する。


「2人とも思い当たることがあるみたいだね」


2人の反応を見て、里空が確認する。


「強い未練を残したままだと、それが邪魔してその魂は転生できないんだそうだ。だから時が来るまで天使として俺達はココにいる、俺は叶からそう聞いた」


「時がくるまで、か」


この世に未練がなくなれば、転生して新しい道を歩む。

その時、今の自分はいなくなる…


「俺達が魂を扱わされるのはそのことに関係があるのかもな…」


死せる魂が命を運ぶ。


生まれ変わる命と、新たに生まれる命を。

そうすることで俺達は救われるのだろうか?


見渡す限り、空は青く、高く、澄みきっていた。


——————————————————————–


ここでとりあえず1部終了という感じでしょうか。まずはイントロダクション的な感じで。番外編的なのを挟んで1人1人にスポットを当てていく形で本編へ戻っていこうと思います。命だなんて、なんて重い題材を選んだのだろうと、ちょっと怖くなってみたり。未熟な湖沼の腕でどう伝えることが出来るのか不安ですが、がんばりますので、応援よろしくお願いしますvv

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