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「きっと佑那はタオルを取りに行ってる間に外へ出てしまった猫を追いかけて、ベランダまで来たんだ。」
和巳が柵の所でしゃがむ。
しばらく丁寧にその周りを観察する。
そして、声をあげる。
「これ!」
和巳が指すものに皆が注目する。
希楽達もよく見えるようにベランダの外側へ出て覗き込む。
「なんだこれ、1 v ~。血なのか?」
晴貴が難しい顔で和巳が見つけたものを見つめる。
それは足場の所に描かれた落書きらしきもの。
乾いた血のような色をしている。
「ようやくここまでたどり着きましたね。でも、時間はあと少ししか残っていません。さあどうしましょう?」
突然希楽たちの背後から叶の声が聞こえた。
いつの間にか叶が姿を現していた。
叶の言うとおり、時計は11時55分を指していた。
「佑那さん、あなたが望むなら多少の手助けは可能ですが」
にっこりと叶が佑那に微笑みかける。
「いいや。いらねーよ。俺のバカのせいだ。奴らに分かってもらえなかった時は潔くさよならだ」
佑那もニヤリと笑いながら返す。
彼はもう、全てを思い出しているようだ。