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この青い空から  作者: 湖沼 弥音
detained artist
24/40

15

「タケさん、昨日のオフにもしかして佑那がここに来なかった?」


晴貴が単刀直入に尋ねる。

今は数秒も時間が惜しい、そんなところだろう。そろそろ日付が変わる。約束の日まであと一時間を切った。


「ああ、来たよ。一人でな」


「!!!」


全員が顔を見合わせる。


佑那は一瞬目を見開いた後、険しい表情に戻る。やはり、記憶は完全には戻っていないようだ。


「その時の話を聞かせてくれ」


晴貴が頼む。他のメンバーも前のめりになって次の言葉を待つ。


「ああ。と言っても何も普段と変わりは無かったんだけどな。」


武則が言葉を続ける。


「今日はオフだから、って一人で来て飲んで帰ったよ。割と量は飲んでたけど、様子がおかしいとか変なところはなかったぜ」


期待していたような情報はここでも得られないようだ。皆も落胆を隠せない様子だ。


「何か話をしたか?どんなことでもいいんだ」


幹也がさらに尋ねる。


「んー。あ、ネコを拾ったとか言ってたな。とりあえずミルクしかあげてないけど何食べるんだろ?って話してたぜ」


猫。

新たなキーワードが出てきたようだ。


「お前は…、捨て猫まで拾うのか。なかなか乙女なんだな」


佑那を見下ろしながらニヤリと雅貴が嗤う。


「うるせー。そういうの弱いんだよ。でも昨日…拾ったか?」


佑那は首を傾げる。


「部屋に…いなかったよね?」


希楽も皆に確認を取る。確かに部屋に動物はいなかった。


「ネコぉ?そんなの部屋にはいなかったぜ…」


「でも、幹也。あの床にこぼれていた牛乳とコップ!」


和巳の指摘に晴貴も覚えがあるようだ。


「床に置いてあったのは猫にあげたからか」


どうやら部屋に猫がいたのは確かなようだ。 


「こうなると、部屋に戻ってみるしかないな…」


皆が頷く。時間を考えてもゆっくりはしていられない。

店を後にする四人の背中に向かって、武則が叫ぶ。


「もう一つ思い出した!段々酔ってくると、あいつ饒舌になるからさ。機嫌もよかったし、毎年ツアーの回数を重ねられるのが嬉しい、とかお前らと一緒にいれるのが幸せだとかのろけてたんだ。あいつがあの後自殺なんてするわけないよ。頼む!なんでこんな事になったのか見つけてやってくれ!」


「ああ、もちろんだ」


彼らは力強くうなずいた。

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