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この青い空から  作者: 湖沼 弥音
detained artist
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11

季節はずれなこともあり、海には誰もいない。


近くに車を止めて、四人は砂浜へやってきた。丁度日の入りの時刻が近づいており、空が赤くなりはじめていた。


「あんた、死んだ日にもここへ来たのか?」


咲斗が波打ち際で、自分の身体を波に透かせて遊びながら、佑那に声をかける。


「…わかんねー。でもここにはよく来てたんだよ。この時間、空にグラデーションがかかる瞬間が好きだった。」


佑那は答えながら、階段のところに腰を下ろすように座った。


「桜海岸の夕日か…」


「!!」


ちょうど佑那のすぐ隣に晴貴が座る。



「なんで…?見えてない…よね?」


「うん、僕たちの姿は見えないはずだよ。」


驚く希楽に里空もそう答える。

当の佑那は一瞬驚きの表情を見せたものの、すぐに苦笑する。


「かなわねーな、晴貴には。」


晴貴はそのまま由菜たちに向かって話し出す。


「俺、ここに佑那と来た事あるんだよね。デビューが決まってすぐくらいに。佑那を拉致ってここに座って二人でこれからの話をした。」


つまり、佑那がその場所に座ったのも、隣に晴貴が座ったのも偶然ではなかったのだ。


「佑那は俺のワガママにつき合ってくれて、Pleasant Noiseに入ってくれたから。ありがとうって。そしたら、何言ってんだって怒られたな。素直じゃないんだからあいつも。」


笑ってはいるものの、晴貴の悲しみが隠しきれない表情に、見ているほうの胸が痛くなる。


「その時も、こんな紫と赤のグラデーションの夕焼けで、佑那はこれが好きだって言ってたな。 今まで忘れてたよ。」


「バカが。いらねーことまで覚えてんじゃねーよ…。ありがとうを言わなきゃならねーのは俺の方なんだから。」


こんな俺に、居場所を与えてくれてありがとう。


今はその声も届かないけれどーー

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