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この青い空から  作者: 湖沼 弥音
detained artist
11/40

「ああ、どっかで見たことあると思ったら!」


思わず仕事を忘れて騒ぐ希楽と咲斗。

そんな2人を、青年は呆然と見つめていた。そして、一言口を開く。


「……。オレ、いま全然話がわからないんだけど…。アンタ達は誰?というか、オレって死んじゃったわけ?」


「あ、ごめんなさい。私ったらはしゃぎすぎちゃった」


我に返る希楽。


「大丈夫、多分君はまだ、死んでないよ。今のところは、ね」


「へぇ。今は、か…」


青年は里空の言葉に、不思議な笑みを浮かべてそう答えた。


——————————————————————–


―――Pleasant Noise. 4人からなる人気絶頂のバンド。


ボーカルのYUNAを初め、メンバーのほとんどがまだ10代にもかかわらず、

ルックスと確かな演奏技術で、去年のCDセールスNo.1のバンドチーム。


挿絵(By みてみん)


細かなプロフィールは全てが非公開。


ボーカルのYUNA、こと芹川(せりかわ) 佑那(ゆな)。いままではTV画面でしか見たことのなかった本人が、目の前にいる。希楽達の仕事は、死者の魂を運ぶことで……。


「今はってどういうことですか?」


希楽が里空を見上げる。


「今の俺達とよく似てる感じがする。転生の準備が整っていない魂……みたいな」


自分達と同じ……。自分達は何か生前に強い未練があるために転生することが出来ず、今ここでこうして天使として働いている……。


——————————————————————–


「俺達ってあんたたちは何者なんだ?」


会話についていけない佑那が、いらついた調子で割り込む。

TVで見ているよりも、少しキツイ感じの話し方をするな、希楽はそう思った。勿論、こちらが本来の彼なのだろうけれど。


「俺達は、天使だよ。信じてくれなくても構わないけどね」


「天使?じゃあ、オレは死んでるってわけだ。さっさと地獄でもどこでも連れて行けばいいだろ」


「うーん、それが出来れば困らないんだけどね…、どうも無理なようだから困ってるんだよ」


困った様子の里空を見て、雅貴が口を挟む。


「芸能人でもしてりゃあ、そりゃあ生前に未練もあるだろうさ。それが原因だろ」


「へェ、お兄さんはそんな風に思ってるんだ」


——————————————————————–


「何だと?」


佑那の言い方にカチンと来た雅貴が突っかかる。

そんな彼を里空がまあまあ、となだめる。


すると突然表情を変え、彼は言った。とても冷たい、突き放した声で。


「でもね、それは違うよ。オレは全然芸能界になんか未練ないから


「どうして…」


希楽の呟きに、佑那が答える。


「楽しいモンじゃないよ、あんなドロドロした世界。そんなワケだから、オレは全然生前に未練なんてないから。早く地獄でもドコでも連れて行って欲しいくらいだね」


「と、言われてもなあ……。とりあえず、いくつか質問答えてくれる?何しろ、なにもこっちに情報来てないからさ」


——————————————————————–


「いちおー、個人情報は非公開で通ってるんだけど??」


「大丈夫、俺達もう死んでるから。差し支えはないよ」


佑那の毒舌に応じず、笑顔で答える里空。


「ここは、しばらく里空さんにまかせようぜ……」


咲斗が小声で希楽にささやく。


「そうだね……私にはムリだ」


改めて里空は大物だと再認識するのだった。


「ってことで本名と生年月日は?」


相変わらずの笑顔で問いかける里空。

諦めたのか佑那は素直に答えだした。


芹川(せりかわ) 佑那(ゆな)。歳は多分18だけど、誕生日はわからない」


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