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きらきら冬のテントウムシと雪のお菓子

作者: 明石竜
掲載日:2026/01/14

 冬のはじまり、きらきら光る初雪が、野原を静かに覆いました。


 その雪に埋もれた落ち葉の下、赤い背中に黒い水玉をもつ小さなテントウムシの「ルゥ」は、寒さにぷるっと体をふるわせていました。

ほんとうは冬になる前に眠るはずだったのですが、ルゥはどうしても見てみたいものがあったのです。


「雪の国のお菓子……」


それは、北風がこっそり教えてくれた噂でした。

雪がたくさん降った夜、月の光とまじりあって生まれる、特別なお菓子があるというのです。


勇気を出したルゥは落ち葉を持ち上げ、雪の壁をよじ登り、

ころころと雪の上を歩き出しました。

すると、きらきら光る坂の向こうに、小さなお菓子の町が見えてきました。


家は角砂糖、屋根はホイップクリーム。

道は飴玉で、街灯は金平糖の星。


「まあ、ちいさなお客さまね」


声をかけてきたのは、雪だるまの姿をしたお菓子職人でした。

手には、雪みたいに白いマシュマロを持っています。


「冬をがんばる生きものには、甘いごほうびがいるのよ」


そう言って、職人はルゥに雪のクッキーをくれました。

さくっとかじると、ミルクと月の光みたいなやさしい味が口いっぱいに広がります。


体の奥まで、ぽっと温かくなりました。


その瞬間、ルゥの背中の水玉が、きらきらと光り始めました。

それは、お菓子の町からもらった「冬を越える力」でした。


「ありがとう。春になったら、また会いに来ます」


ルゥはそう言って、雪の中に小さな足あとを残しながら帰りました。




やがて春。

雪がとけ、花が咲くころ。

野原では、赤い背中をきらきら輝かせたテントウムシが、元気に空を飛んでいました。


その羽ばたきは、まるで――

冬の雪と甘いお菓子の思い出を、空にまき散らしているようでした。

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― 新着の感想 ―
 イルミネーションなどを浴びて煌めくクリスマスケーキとも異なる神秘性とキラキラがありそうな飴玉の道や、金平糖の灯り、見たらキレイなんでしょうね。  不思議な光景が広がる町を目にしたルゥさんに、親切な…
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