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人形カテリーナ

作者: 後東衣桜利

私はカテリーナ・ジョニー。いつの間にか自分の中に魂をもつようになってしまった人形だ。

私の誕生日は8月11日。


ある大型ショッピングモールの中のある一つの300円ショップで気まぐれに私を買った持ち主の女性とその妹の会話が繰り広げられた。

「あ~300円でかわいい人形が売ってる!!」

「お姉ちゃん買うの?」

「うん、買おうかな。この作りで300円で売ってるなんて珍しいし」

「ええっ、買うんだ」

「名前はねぇ…」

「ジョニーは?」

「ええっ、私はカテリーナが良いな」

「良いね~」

「…よし、名前はカテリーナ・ジョニーにする!!」

その瞬間、私は誕生した。

長袖のえんじ色の上下繋がったスカートを身に付け、髪の毛は太い濃い黄土色の毛糸で、肌ははだ触りの良い綿100%の布のしろに頬に少々赤みがさしたものだった。目は黒い小さな点が2つ。鼻と口も簡単に線で描かれていた。足は素足。靴も何もはいていなかった。

私を購入した日に持ち主の女性が、髪の毛にスカートと同じえんじ色のりぼんを髪につけてくれた。簡単な靴もえんじ色の布で作って履かせてくれた。

靴の裏に私を購入した日付けを書いたようだった。今日の、この特別な記念日を忘れないように、と。

しかし、いつの間にか私は忘れられ、戸棚の中に他の人形達と共に放りこまれた。


他の人形達は沢山いた。女性が気まぐれに手作りをした人形もいたし。それらも女性の忙しさで忘れられ、私達人形は真っ暗い戸棚の中で過ごしていた。

そうするうちに女性の断捨離欲が発生したようで、私は大丈夫だったが、他の人形達は数体、燃えるごみに処分されたもの達もいた。


私は何のために生まれてきたのだろう。

こんな戸棚の中でただいるためなのだろうか。

私はある占い師にアクセスした。

たまたま女性が占いをやっていたのだ。それを通して私の気持ちを伝えてもらった。

女性は理解した。私は暗い戸棚の中から出された。


今は誕生日になると祝ってもらえる。他の人形達と共に楽しく生活している。





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