女性不信の御曹司に親父からの突然の恋愛指令!? 明日には護衛役の執事がやってくる!
女性だらけの世界で、男は希少種。特に、赤沢グループの御曹司である俺は、周囲から絶えず注目を集められてきた。だが、その注目は、私への好意というよりも、赤沢グループへの欲望に近かった。そんな中で、私は女性を恐れるようになり、ひっそりと暮らしていた。しかし、ある日、父から告げられた言葉が、俺の運命を大きく変える。それは、私を新たな世界へと引き込む、衝撃的な内容だった!?
「この女性だらけの世界で、俺は幼少期からずっと、どこにいても誰かの視線を感じていた。」
幼少期は気にも留めなかったことだったけど、これが異常なことであると気がついたのは中学生に進学した時の話だ。
俺は代々続いてきた赤沢グループの息子、赤沢颯太。
周りからは数少ない男子やら有名会社の御曹司やらと持て囃されていて、多少は喜ばしく感じていたところもあったが、中学校生活でその好意的な目は全て自分ではなく赤沢グループの息子であるということを知った時から、周りの女性が全て恐ろしく見えるようになった。
同級生やその母親から言われてきた「かっこよくて素敵」やら「私の娘をよろしくお願いします」なんて言葉は、要するに「煽ててるから私のことを好きになれよ」と「こんなに可愛い私の娘とぜひ結婚してくださいね」っていう本音を綺麗な言葉にまとめただけだ。
時には「怖いことしないから、先っぽだけだから!!」と言いながら車や家に連れ込まれそうになったことだってある。
男女比率が1:50である現代では俺のような良いところの息子であることが貴重な存在なのはわかっているつもりだが、やはり何度も何度も言い寄られたり、下手したら襲われかけるようなことがあれば不信感は積もっていくし、それが原因で女性不信は加速していく一方だった。
そうして女性が怖くなって家に引き籠ってから3年。 中学校卒業のときに、ここまで黙って見守ってくれた親父が俺に声をかけてきた。
「この世の中、俺やお前のような優秀な人間が狙われることはこれからもあるだろう。」
そう一言呟いたあとに、改めて目を合わせて真剣な面持ちで話を続ける。
「ただ、俺たちは誰よりも優秀で社交性のある人間でなければならない。そんな人間になるために、高校にだけはちゃんと行ってもらうぞ。」
「なんだよそれ、中学生の時から学校に行かなくても家庭教師から大学の範囲まで終わってるしもう充分だろ?」
「確かにスポーツもやらせたし充分な勉強もさせたと思っているが、お前にはもっと大事なことがあるだろう。」
ゆっくりと諭すような親父の話に、俺は黙って耳を傾け続ける。
「赤沢グループを存続させるには跡継ぎが必要だ。次のトップはお前になり、その次はお前の息子になるだろう。」
急に息子なんて言葉が出てきた瞬間、俺の背中には冷や汗が垂れた。
「その跡継ぎを作るためにも、お前には高校生活で恋愛をしてもらわなくてはならない!!」
「いやいや、話が急展開すぎるだろ!!」
そもそも女性が怖くて引きこもっていた俺に、恋愛経験を積んでこいなんて無理な話だと思わないのか。
「大丈夫だ。確かに誘拐紛いのことをされたのは俺の管理不足だった。」
俺の言葉を知ってか知らずか言葉はどんどん紡がれていく。
「そんなお前のために、護衛任務として執事を雇うことにした。」
「は? 執事だって?」
「お前もいつかは秘書をつけることになるし、人を使うということを学ぶいい機会だろう。」
「執事って、俺になんの相談もなしに……」
「お前が行く高校も決まってるから、安心して心の準備をしておけよ。」
「一体どうやって入学先を--」と問いかけた俺に対して親父はにこりと胡散臭い笑みを浮かべる。
(まさか裏口入学とかじゃないよな……?)
そうやって悩み耽っている俺に対して「そういえば--」と声がかかった。
「執事の3人は明日くるから、それも心の準備をしておいてくれよ。」
「は…明日……?」
その言葉を聞いた俺は急いで部屋に戻り、明日くると聞いた執事たちを迎えるべく準備をするのだった。
明日から始まる新しい生活に、颯太は期待と不安が入り混じった複雑な心境だった。女性不信を克服し、恋愛経験を積むことができるのか。父親の期待に応えられるのか。颯太の脳裏には様々な思いが巡っていた。
この物語を読んでくださり、ありがとうございます。
次回からは執事たちとの日常や、恋愛模様など、様々な要素を盛り込んでいく予定です。
今後の物語も楽しんでいただけたら嬉しいです。応援よろしくお願いします!