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蛮族の王  作者: 八百万
第1章 蛮族の王
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地下牢からの反撃

 サファイアはバルモンドとの謁見の間に通された。


「賊を捕えてくれたとのこと。よくやった。その男が我らの荷馬車を襲った男か?」


 バルモンドは椅子に座り、傍らにはバーバラが立っていて、為朝を眺めていた。


(なかなかいい男じゃない。それに若い。ちょっと大柄だけど、食べ応えがあるわ)


 バーバラは笑みを浮かべて、為朝を見ていた。


「直ぐにこの男を運びますが、よろしいでしょうか?」


「まだお腹が空いていないの。ディナーがいいわ。それまでは牢屋に閉じ込めておいて!」


 そう言うと、バーバラはもう一度為朝を見て笑みを浮かべて部屋に戻っていった。


 バルモンドはバーバラが部屋に戻ると張り詰めた緊張感が抜けた。そして目の前にいるエルフの娘を見ると、今まで見たエルフの女の中でも飛び切りの美人であることに気づいた。


「エルフの娘、そなた今まで見たエルフの中でも一番の美人だな。俺の妾にしてやろう。 そいつも牢屋に連れていけ!」


 バルモンドはそう命じると為朝だけでなく、サファイアや護衛のエルフも捕えて牢に閉じ込めた。


「バーバラがあの男を食べている間に、俺はあのエルフの娘をいただこう」


 バルモンドは一人謁見の間で喜んでいた。


 サファイアや護衛のエルフは普通の牢屋に入れられ、為朝は重罪人だけが入れられる地下牢に閉じ込められる。


 為朝が牢屋に入ると、一人のドワーフが話しかけてきた。


「新入りか。お前さんは何をやらかしたんだ? 」


「何をやらかしたじゃと? これからやらかすところじゃ。ところでオッサン、俺が助けてやると言ったら一緒に戦うか?」


 為朝はいきなりバルトに共闘を持ち掛けた。


 端っこに座り込んでいる戦士のような男と為朝に背中を向けて座っている洋服を着た黒い髪の男が興味を持ったのか少し反応した気がした。


「おいおい、オッサンはやめてくれ! わしの名前はバルトじゃ。わしは武器商人でな。わしが作った武器が反魔王国の国に流れていたのがバレて捕まったんじゃ」


「お前は何が使える? 戦えるのか?」


「わしは魔法が使える。相手を眠らせることもできるし、石を飛ばしてぶつけることもできる」


「ほう、なかなか使えるな。おもしろい、一緒に暴れんか?」


「お前さん、脱獄する気か? おもしろい、いいじゃろう」


 為朝は自分の腕に嵌められているかせを力で粉砕して外すと、バルトの手錠も外してやった。


 その様子を見ていた戦士のような男も口を開いた。


「俺はオシュルト族のゴルドーというものだ。このままここにいても殺されるだけだ。俺も仲間に入れてくれ!」


「そうか、お前は何が使える。あいにく俺は武器は用意していないぞ。それでも来るか?」


「俺は槍を使うが、槍なら敵から奪えばよい」


 仲間になるということを聞いて、為朝はゴルドーの手錠も外してやった。


 奥の方に座っているキセルたばこを吸っていた初老の男も話に入ってきた。


「わしは忍びをやっている段蔵だんぞうという。この城を調べるためにわざと捕まっているだけじゃが、お前の計画おもしろそうじゃ! わしも乗るぞ」


「そうか、これは面白くなってきた。」


「お兄さん、私も仲間に入れてもらえませんか?」


 そう言って男はこちらを向いた。男は陰陽師のような恰好をしている。


「あんたは、何者だ? 俺たちと一緒に戦えるのか?」


「私は晴明と申します。戦いは苦手ですが、相手を惑わす術なら使えます」


「陰陽師か。これは使えそうじゃな」


 為朝はこの4人と脱獄のための策を話し合おうとするが、端に寝ていた黒髪の男が話しかけてくる。


「おい、俺を仲間外れにしないでくれ! 俺は土方歳三という者だ。そこの段蔵と晴明の仲間でこの城に潜入していた。ちょうど暇になったところだし、あのバカ貴族にも腹が立っていたところだ。仲間に加えろ!」


「お前ら3人は仲間なのか。どこかの組織の者か?」


「それは、あとで話す。今はバルモンドとバーバラを始末することが優先だ」


 為朝は土方たちと顔を見合わせニヤリと笑うと、バルモンドを討つための策について話し合うのであった。

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