第3話 騎士魔術学校
村を出て1週間が経過した、無事王都に到着しそのまま騎士魔術学校の寮に向かった
「新入生の受付はこちらです〜」
職員の声が聞こえたのでそっちに向かう
「入学予定のノアス・デルディアです」
「ノアス・デルディアさんですね、少々お待ちください」
職員がそう言うと手元にあった書類をペラペラと捲っていく
「あ、首席の方でしたか、ようこそ騎士魔術学校へ、ノアスさんは入学式当日に新入生代表者挨拶の方をしてもらいますのでよろしくお願いします」
「わかりました」
「寮のお部屋は207号室です、原則2人部屋となっていて消灯は23時それ以降の出歩きは控えてもらえるとありがたいです」
軽く寮でのルールなどを説明され、指定の部屋に行くように言われた
「207、207、ここか」
扉の前に行き、手をドアノブにかける
「ガチャ」
扉を開けると2段ベッドの下に何者かが座っていた
「君が相部屋の人かな?」
「はい、ノアス・デルディアって言います」
「僕はティルム・バートリー、君と同じ新入生だから敬語は使わなくていいよ」
「わかった、よろしくティルム」
「よろしくね、ノアス」
荷物をまとめた後、ティルムと色々な話をした、出身地や家族、想い人など、転生したからこのような会話をするのは初めてだ、前世では高校の友人と飽きるほど話したが、社会人になってからは会ってなかったからな、前世のことはさておき、なんと!ティルムには彼女がいるのだ!しかもその彼女も騎士魔術学校に入学したとのこと
「へぇ、ティルムの彼女も入学したんだ」
「そうだよ、彼女はものすごいんだよ!」
キラキラと輝いた目で俺を見ながら語っていた
「魔術、剣術どっちも強くてね、本当に僕は勝ったこと無いんだよ!でもね優しいから時より魔術とか教えてくれてさ」
恥ずかしくなったのか段々と顔が赤くなっていくティルムを見て少し笑みが溢れた
「そうなんだ、告白はどっちからしたの?」
意地悪そうな顔をしティルムに問いかける
「ぼ、僕からだよ、そしたら、いいよって」
でたぁああ、青春です、まだ6歳なのに何だこれは!
俺も青春しとけばよかった畜生
「ノ、ノアスは、そういう話とかはないの?」
「俺は元々恋愛とかには興味とか持たなかったからね、ないかな」
「そうなんだ、じゃあ、ここで彼女作るの?」
「それもいいな」
ティルムと一緒に笑いながら夜を過ごした
ーーーーー
1週間後
入学式当日となった、部屋で制服に着替えティルムと一緒に部屋を出る寮の出入口付近に行くと1人の女子に話しかけられた
「ティルムおはよう〜」
「ベル!おはよう」
「紹介するね、昨日話してた僕の彼女のベル・ソリア」
「よろしくね!」
「ノアス・デルディア、よろしく、ベル」
まさかまさかの彼女さんが登場!赤髪のポニーテール、背は俺たちと同じくらいで標準的な体型だ
「ティルムと一緒の部屋かな?」
「そうだよ、昨日ティルムから、、」
「ノアス!それ以上はダメ!」
ティルムが慌てた様子で俺の口を塞いできた
「ノアス君、あとでこっそり教えてね」
「わかった」
「ベルもやめてよ!」
少しふざけながら3人で喋りながら式場へと向かう
「ここが式場らしいね、あっちが新入生の待機場所らしいよ!」
ティルムが指を指した方向を見ると同じくらいの背格好をした男女が待機していた
「行くか」
3人で待機場所に行くと上級生らしき人達が胸元に赤い花を付けてくれた
「もう少しで式が始まるね」
「そうだな」
「2人とも緊張してるの?」
ベルがイタズラな笑みを浮かべながら問いかけてくる
「俺はしてないけどやっぱりティルムがなぁ」
「なんでよ!そんなに緊張してないよ!」
「多少はしてるんだな」
多少からかい、ティルムの緊張をほぐしていく
「さて、そろそろ入場だな」
「うん」
扉が開いた、中には多くの人がいて、拍手で出迎えてくれた
座席付近に着くとアナウンスが流れた
「新入生は着席してください」
(日本と同じ入学式みたいだな、)
新入生が一斉に座り出す
「開式の言葉」
中年男性が壇上にあがり一礼をする、それに合して俺達も礼をする
「これから第74回アルデリア王国騎士魔術学校、入学式を開式します」
中年男性が壇上に降りるとアナウンスがはいる
「入学許可宣言並びに学校長挨拶」
「高齢の男性が壇上にあがる」
(すごい魔力の量だ)
見るととてつもない魔力を放っており周りの新入生は多少震えている、量がとてつもなく多いかつ魔力濃度が濃いのだ
しかし話そうとすると魔力を放つのを抑えた
「ようこそ、アルデリア王国騎士魔術学校へ、君たちは我が校に選ばれた優秀なる生徒達だ、ここには王族や貴族など高い身分の者もいるが、そんなのは関係ないこの学校に入学した以上、ここにいる生徒は皆平等だ!互いに切磋琢磨し合い技術を磨きなさい」
校長の話は長いものだと思っていたがそうでもなかった簡潔かつ説得力のある文で終わった
「次に新入生代表挨拶、ノアス・デルディアさんお願いします」
「はい!」
会場に響き渡る声で返事をし壇上にあがる隣にいたティルムは少し驚いていた
壇上にあがり、一礼をする
「このアルデリア王国騎士魔術学校に入学できたことを本当に嬉しく思います 〜〜〜」
ーーーーー
新入生代表挨拶が終わりそこから式はどんどん進んでいったやがて閉会宣言をし退場となった
「ノアス、君、首席だったの!?」
指定された教室に向かう途中、ティルムとベルが問いかけてきた
「そうだけど、それがどうかしたのか?」
「どうかするもなにも、なんで言ってくれなかったの?」
「んー、聞かれてないからかな?」
そう答えるとティルムとベルは呆れた様子で笑っていた
「そういえばベルもティルムも俺と同じ教室だよな」
「そうだね」
「そうよ」
「この感じで行くとずっと3人で固まってそうな気がするんだけど」
「?何かダメなの?」
「なるべく友人とかの関係は幅広い方がいいからね」
「確かに、だけど、ノアスとも仲良くしたいよねベル?」
「うん、この学校の首席なんだもの色々教えてもらいたいし」
「てか、2人とも俺ともう友達でしょ?」
『え?』
「あれ?違ったか?」
「い、いやそうだけど」
「友達認定早すぎるよ」
「ま、もう俺らは友達なんだし他の奴らとも仲良くやろうぜ」
『そうだね!』
ーーーーー
教室の中に入り、指定された席に向かう隣にはティルム
ティルムの後ろにはベルがいた
「まさか席まで近いなんてね」
「正直びっくり」
ベルとティルムが話していると俺の後ろ席の人が来た
「よ、よろしくお願いします、」
後ろを振り向くと気弱そうな女子がいた
「俺はノアス、よろしく」
「僕はティルム、よろしくね」
「私はベル、よろしく!」
「ラ、ライルンです、よろしくお願いします」
どうやら彼女の名前はライルン・ティルーネと言うらしい
気弱で少しオドオドしている
ライルンを含めた4人で会話をしていると段々と彼女と俺たちの空気に慣れてきたのか少し笑うようになっていった
4人で話していると教室の扉が開いた
「はーい、静かにしろ〜」
教卓の横に立ち、俺たちに静かにするように言う
「俺はカルナ・マティウス、このAクラスの担任をさせてもらう、皆宜しくな」
「まずは軽く連絡事項をそのあと自己紹介をしてもらうぞ」
ーーーーー
連絡事項が伝え終わり、自己紹介になった
首席ってこともあって周りの人達には随分と驚かれた
入学式が終わり新しく知り合ったライルンを含めた4人で寮に帰ろうとした時、校内放送が流れた
「初等部1年Aクラス ノアス・デルディアさん、生徒会室にまで来てください」
「ノアス呼ばれてるよ」
「何か悪いことでもしたかな?」
「多分首席だから会長とかが話してみたいんじゃないかな?」
「そういうことか」
一旦、ティルム達とは別れて生徒会室に向かう
(ここかな?)
扉の前に立ちノックをする
「誰だ」
「先程放送で呼ばれました、初等部1年Aクラスのノアス・デルディアです」
そう言うと背の高い男性が扉を開けてくれた
「入れ、副会長と会長がお呼びだ」
そう言われ中に入ると奥には大きな机がそこに座っているのは白髪の美人な女性、横に立っているのは小柄ながらちゃんとしてる黒髪の女性だった。
横にいる女性を見た時、俺は驚いた、何故か?
そこにいたのは
1年前に王都に送り届けたアルデリア王国 第1王女 ノル・リアティスだったからだ
「久しぶり、ノアス」
「お久しぶりです、王女様」
すぐさま膝をつけて頭を下げる
「やめてください、ノアスこの学校は校長が話した通り身分は関係ないのですから、頭を上げてください、それと王女ではなくノルと呼んでください」
「失礼しましたノルさん、それで呼び出した用件は?」
体勢を直して、俺が問いかける
「会長、リニア・マナリスさんが貴方と話してみたいと」
ノルが紹介すると机に座っていた女性が立ち上がった
「私はリニア・マナリス、君があのノアスかな?」
「はい、ノアス・デルディアです」
「君の話はノルから聞いているよ、1年前、魔物に襲われているのを助けて貰ったなど色々ね」
「会長、早く本題を話しましょう」
やや顔を赤くしてノルが言う
「おっと、そうだね、単刀直入に言おう、ノアス、君には生徒会に入ってもらいたい」
「理由をお聞きしてもいいですか?」
「さっきも話した通り、ノルから色々聞いてね、1年前、君が5歳の時に魔術を無詠唱で使ったとね、」
「そうですね、確かに僕は1年前に無詠唱で魔術を使いました」
「その圧倒的な技術、それと、君はまだ入学して1日も経ってないのに人気があるからね、それはこの生徒会でも大いに役立つよ」
「人気ですか?」
「あれ?君と同じクラスのティルム、ベル、ライルンはもうお友達でしょ?」
「確かに、友達ですが、どこでそれを」
「さぁ、どこでだろうね?」
リニアは笑みを浮かべながら俺の方を見る
「とは言ってもいきなりこういう事を言われたんだ、明日、答えを聞かせて貰えるかな?」
「わかりました」
「なるべく、いい答えを期待してるよ」
そう言われると俺は一礼し、生徒会室を出た
ーーーーー
寮へと帰る道後ろから声が聞こえた
「待って!ノアス!」
後ろを振り返るとそこにはノルがいた
「ノルさん、どうされたんですか?」
「久々に会ったから話したいなって思って、会長にお願いして早めに帰らせてもらったの」
「そうなんですね」
久々にノルと話した、ノルは今初等部の4年生らしく今年から生徒会の副会長に着任したらしい
「それにしても、ノアスが騎士魔術学校に入学するなんて驚いたよしかも、首席で」
「代表挨拶を聞いていたんですね」
「それはもちろんだよ!だってノアスは私の、、」
そこまで言ったところでノルは顔を赤くして止まった
「私のなんですか?」
「うんん、なんでもない!」
そう言うとノルは少し前に出て振り返って言った
「これからも仲良くしようね、ノアス!」