第2話 第1王女ノル・リアティス
「あ、わ、私はアルデリア王国第1王女、ノル・リアティスと言います」
(ん?ちょっと待てよ?第1王女って、え???)
「ちょっと待ってください!」
声が裏返りつつも言う
「なぜアルデリア王国の王女様があんなところに!」
「実は、デリコール王国に少し用事があったのですが、、」
ノルは色々と話してくれたデリコール王国の用事が終わったあと馬車に乗り、自国へ帰ろうとした、しかし、魔物の大軍に襲われて護衛の人達とバラバラになった、彷徨いながら歩いていたら魔物に見つかり俺に助けられた、ということだ
(魔物の大軍か、てことはもう、護衛の人達は、、)
「恐らく護衛の人達はもう死んでるわ」
俺が想像していたことを口に出したのは母だった
「母さんの言う通りだ」
父もうなづきながら言った
実際その通りだ、いくら腕の良い護衛だとしても魔物の大軍だ、命に絶対的な保証があるとは限らない
「この方はどうするのですか?」
「俺らが王都に送るしかないだろう」
「確かにそうね」
「まぁ、王女の件はこれで良いだろう、それで次は」
父が俺の方に顔を向けた、恐らく魔物の狩猟の件だろう
「ノアス、どうやって魔物を倒した」
「え、えっと、、その、」
(正直に言った方が良さそうだな、、)
「風魔術を足に展開し加速、その後に右手に水魔術を展開アクア・スラッシュで魔物を狩猟しました」
「?!」
「風魔術で加速、か、」
父と母が目を合わせた
(やばいことになりそうな気がする、、)
「いつ頃から魔術を使い始めた」
「、、5歳になったと同時に、こっそり行っていました、」
「、、」
沈黙が流れる、少々まずいことをしてしまったな、どうしたらいいか全然分からない、ただ嘘をついたら状況が悪化する全部正直に伝えた方がいいのは確かだ、
「、、ばらし、」
「?」
『すばらしい!!!』
「え?」
「いつの間にこんな魔術が使えるようになったんだ?この年でここまでの技術があるのはもう天才だ!」
「えぇ、この子は将来有望よ!」
「6歳になったら騎士魔術学校に通わせるか!いや、もっと良い学校に通わせよう!」
両親ともに興奮気味で話し込んでいる、俺と王女はただそれを見ていることしか出来なかった
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「すまん、少々取り乱した」
父と母が落ち着き、話の続きをしだす
「お前の剣術そして魔術は同年代であればもうトップクラスだ、これ程の才能を潰すほど俺は馬鹿では無い、ノアス来年、騎士魔術学校に通わないか?」
「通い方の方はどうなるのですか?」
「あそこは全寮制だ、そこから通ってもらう」
黙りながらこれからのことを考える
(簡単に決められることではない尊重に考えないと)
「ここで聞いても即決断はできないだろう、あと1年あるゆっくり考えなさい」
父が言うと同時に母はうなづいていた
「王女は明日朝早くにこの村を出発する。王都には最低でも1週間後に着く予定だ、各々準備をしておきなさい」
父がそう言うと話し合いは解散となった
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翌日
外に出ると父が馬車の準備をしていた。家の中には母と王女が身支度の確認をしており、母から先に外に行ってなさいと言われた
「起きたかノアス」
「うん、色々準備したから荷物を積もうと思って」
「馬車はだいたい準備できた、あとは荷物を積むだけだ先に積んでいなさい」
「わかった」
私物を馬車に乗せていると母と王女が来た。母と王女も急いで荷物を乗せてすぐさま馬車に乗った
「準備できたな、行くぞ」
父がそう言うと馬車が動き始めた。俺はまだ馬術を習っていないため母と父が交代運転する。
夜の護衛は父と俺で交代だ。
まだ5歳であるが戦闘の経験はある、健康には悪いが前世のブラック企業に比べたらまだマシな方だ。父も少し悩みながらも了承してくれた。理解のある親で助かった
「ん?」
魔物の気配がしたので剣を持つ
「ノアス魔物が出た3ベアーウルフ3頭だ、俺と一緒に狩るぞ」
「わかった」
父は母に馬車の運転を任せて俺と一緒に飛び出た
すぐさま水魔術を展開ベアーウルフに向かって放つ
「ぐぁああぁ」
胴体を切断し討伐残りの方に視線を送ったがもう既に父が討伐していた
「そっちはやったようだな」
「1頭だけだったからね、父さんは凄すぎるよ」
「ノアスは俺よりも凄いからな、すぐにこれくらいできるようになるさ」
父は笑いながら馬車の方に向かい母と運転を交代した
「大丈夫ですか!?」
馬車の中に戻って早々王女から心配の声が聞こえた
「はい、父と2人で行ったので大丈夫ですよ」
笑みを浮かべながら答えると王女はホッとした顔になった
「それにしても凄いですねその歳なのに魔術や戦闘ができるなんて」
「大した事ではないですよ、ただ人より少し好奇心が強いからこうなってしまっただけです」
なるべく暇にならないように王女と会話し気づいたら夜になっていた
夜は父と交代で見張りをする、怪しげな気配などがあったらすぐ知らせるようにベルも近くに置いてある
「ゴソゴソ」
「、、もう夜中ですよ王女様」
「もう少しだけ貴方とおしゃべりがしたくて、」
「明日馬車でまた話しましょう、その方がいいです」
「いいえ、貴方にしか話したくないことなんです」
「、、わかりました」
そう言うと王女は俺の隣に座って話し始めた
「貴方の魔術の才はすばらしいです、同じ歳の子や2つ上の歳の子たちでさえも凌駕することでしょう、騎士魔術学校は初等部、中等部、高等部の3つに別れていて12年で卒業になります、卒業した後は恐らく、貴方は私の護衛になるかと思います」
「王女様の護衛ですか?」
「はい、父が私を魔物から守ってくれた人を護衛に任命しないなどありえないのです、なので恐らくは」
少々考えていた、まだ将来のことは一切分からない、まだ6つ
ある大陸の1つその中でもまだ100分の1にも満たない場所に俺はいる、まだ将来のことを決めるのは早いと思うが早めに敷かれたレールだ歩いていってもいいと思うが、
「ノアスさん?」
「は、はい!」
色々考えていたら王女が心配そうな様子で話しかけてきた
「先程のお話ですがまだ答えを出さなくても大丈夫ですまだ後12年もあるのですから」
確かにそうだまだ12年もあるのだ考える時間はたくさんある
「そうですね、またお話させてください」
「ノアス、起きてるか〜」
父が見張りの交代で起きてきた
「お父さん、ちゃんと起きてるよ」
「じゃあ後は任せろ、お前はゆっくり休め」
「わかった」
俺が立つと王女も立ちおやすみなさいと声をかけテントに戻って行った
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1週間後
無事に王女を王都に送り届ける事ができた
「ありがとうございます!早速王宮に向かいましょう」
そう言うと王女は足早に王宮の方へと向かう
扉が開くと中央には赤のカーペット左右には使用人らしき人達が並んでいた
『お帰りなさいませ、ノル様』
すると階段から男の人が急いで降りてきた
「おぉノルよく無事であった!」
「お父様!」
国王が強く王女を抱きしめ、目には少し涙があった
しばらくすると国王は王女を抱きしめるのをやめ、こっちを向いた
「そなた達が娘を救ってくれたのか、国王そして父として心から感謝する」
そう言うと国王が頭を下げた
「そんな!頭を下げることでは無いです!当然のことをしたまでですから」
父が慌ててそういうと国王は正面を向いた
「そなたたちにはお礼をしたい、何か要望があればなんなりと言ってほしい」
「ありがとうございます」
俺たちは最敬礼をした
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1年後
王女を王都に送り届けてから1年が経過した
俺は進学することにし王都にある騎士魔術学校に通うことになった。受験には大成功、首席で通過することができた。
「入学式まであと2週間だな」
「そうだね、明日でこの村とは離れ離れだ」
「入寮は2週間前から受け付けてる、ちゃんと仲良くするんだぞ」
「分かってるよ、じゃあ、行ってきます」
「行ってらっしゃい」
父と母が笑顔で手を振るのを見て、手配された馬車に乗り込んだ
(ちゃんとやりながら、学校生活楽しむぞ〜)