7話 地球侵略の準備1
「さていよいよこの世界の方針が決まった。では早速、どうやって勇者様がいた地球を攻めるかだが‥‥‥。何か案はあるか?」
王サマがそう言うがどうやって地球に行けば良いのか。それは誰にも分からなかった。そもそもこの世界で地球を知っているのは俺しかいない。その俺がどうすれば良いのか分からないのでいきなり詰みになるかと思いきやアロメがこんな事を言い出した。
「良太様の記憶を戻せば良いではありませんか」
俺の記憶?一体どうゆう事だと思ったがそういえば今の俺には前世の明確な記憶が無い。確か転生する際の混乱を避ける為とか言ってたような。
「いまの良太様は前世の記憶がございません。転生する際の混乱を避ける為に私がわざと消しました。しかしそれも今となっては不要。良太様、記憶を取り戻すと言うことはイジメられた記憶なども戻してしまう事になりますが‥‥‥宜しいでしょうか」
少し悩む。誰だって自分が消したい記憶は思い出したく無いものだ。だがその記憶は俺には必要なものだ。
「‥‥‥いいよ。その消えた記憶を戻してくれ」
アロメは不安そうに俺の頭に両手を当て力を使い出した。すると俺の頭の中に消された記憶が入ってきた。知っている記憶とはいえ自分の中にに得体の知れない何かが入っていくような感覚に少し顔を顰める。
アロメが俺の頭に手を当て数十秒が経つと俺の消された記憶は完全に俺の頭の中に入っていった。
その記憶を掘り返すと地球の奴等に対しての復讐心が浮かび上がっていく。それはどんどん膨れ上がっていき憎悪に変わる。少し自分でもびっくりした。幾ら大勢の人間にイジメられても地球は俺の故郷だ。少しは罪悪感などがあるかと思ったが一切無かった。
「良太様。記憶をお戻りになされましたか?」
「ああ。完全に取り戻した。俺の復讐心と共に。‥‥‥よし」
俺は意気込むとこの場にいる人たち全員に聞こえるように声を荒げた。
「早速地球侵略と行きたいところだが、当然人間どもは抵抗する。そこでやる事を決める。まずは情報収集。地球に隠密に特化した部隊を送る。俺は地球出身だが全てを知っている訳ではない。その為の隠密部隊だ。次にこの世界の事だ。俺たちは戦争をする。その為の物資と兵士の確保。兵士ではない者は食糧などの生産者に回れ。何か質問がある者は?」
「良太様質問よろしいでしょうか」
「何だ、アロメ」
「戦争をするとなると地球人どもは愚かにも抵抗をするでしょう。その際に使うであろう武器の詳細を知りたいのですが」
「それも含めての情報収集だ。地球で使われている武器は基本的に銃というものだ。銃は一般人でも人を殺せる殺傷能力を持っている。銃を持ち帰りそのメカニズムを調べ、それに対抗出来る魔法を調べる。他に質問は?」
「ありません。ありがとうございます」
「ああ、一つ言い忘れていた。地球には俺の妹がいる。その妹がどこで何をしているのかは分からないが出来れば連れて帰ってきて欲しい」
「分かりました。良太様。では‥‥‥今すぐ隠密部隊を結成しても宜しいでしょうか」
俺が頷くとアロメは何かの魔法を使った。床に魔法陣が数個形成され魔法陣が光ったと思った瞬間、魔法陣の上には人が立っていた。
「なあ、アロメ。何で隠密部隊のメンバーが全員女性なんだ!?」
メンバーが全員女性な事に疑問を抱きつつアロメに質問する。
「?良太様はこれに不満があるのですか?」
「いや‥‥‥不満は無いけど。何でかなーと思っただけ」
「男性は沢山の女性を自分のものにしたいと思い、こうしましたが・・・。それとも良太様は屈強な男性が好みだったり?」
こいつと話していると疲れると思った俺は無視した。
「二人か。よし」
俺はこの場に来た三人に魔法を付与する。先程アロメが記憶を戻した時に一個前の異世界転生の時に得た力も同時に戻してくれた。その内の一つである魔法創造を使い、彼女達に隠密特化の魔法である、『気配消し』『気配感知』『透明化』「物理接触無効』を付与した。地球は魔法というオカルトじみた力は無いのでこれを掛けたら絶対に気付かないだろう。
「ところで君達、名前は?」
「はい勇者様。私はカウスと申します。今回の任務、必ず成功させて見せます」
「初めまして勇者様。僕はソア。これからよろしくね」
俺は人の名前と顔を一致させるのにかなりの時間が掛かる。なので本人達には申し訳ないが見た目で覚えさせて貰う。
ピンクの髪色にツインテール、目は綺麗な緑色。そこまで身長は高くなくそれでいて女性としての出ている所はしっかり出ている。ルールに忠実な真面目ちゃんと言う第一印象を抱いた方がカウス。
黒髪黒目と日本人に少し似ている見た目に女性にしては起伏がない体つき。フレンドリーな印象を抱いた子がソア。
よ、よし覚えたぞ。‥‥‥多分。
「カウスにソア。これから宜しく。早速で悪いけど準備はできてる?」
「ええ、出来てます。これから勇者様との任務に遅れるわけにはいきませんから」
「よし、じゃあ早速行こうか」
「行くってどこに?」
「地球とこの世界を繋ぐ転移陣。この王城でやると後々面倒だから。転移陣を作る場所は周りに何も無い草原に作りたいからその為の移動だ」
「理解しました。感謝します」
俺たちは馬に乗り目的の草原まで突っ走っていった。