相変わらずの2人はお互いを思いやる
リーハ
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ルチアーノ
になります。
最近やたらとルチアーノの事を大人っぽく感じてしまうのです。
撫でられていないのに常に頭を撫でられているような優しさを感じると言うか。包容力と言うのでしょうか?
でもその優しさはルチアーノに我慢をさせている事があるのだと知ってしまいました。
先日のお昼の事ですわ。ソニアが笑顔で私とルチアーノに話しかけて来たのです。
「殿下、リーハ様。もし宜しければ今日は私がリーハ様とお昼をご一緒したいのですが。私の友人も是非お話してみたいと……」
「あー、無理だな」
ルチアーノはすぐに答えました。でも私は皆さんとお話ししたくって。
「無理かしら?私、ソニア様のご友人の皆様とお話してみたいわ」
そう言うとルチアーノはニッコリ、優しく笑って下さったの。それこそ、大人っぽく。
「そうか。良いよ、行っておいで」
「さすが殿下。リーハ様にはお優しいのですね!じゃあリーハ様、この際週に2回くらい私達と一緒に食べません?」
ソニアからの新たなお誘い。今迄お昼はずっとルチアーノと2人で過ごして来ましたが、家でも一緒に居られますし何より、皆様とは学園を卒業したら中々会えなくなってしまいます。とても魅力的なお誘いでしたが……
「それは却下だ」
これまたルチアーノに即答されてしまいましたの。ですが私はお友達が欲しかったのです。
「……後少しで学園も卒業でしょう?皆様と気軽にお話する機会は無くなってしまうので、今のうちにお話出来たら素敵だと思うのだけど……」
私、申し訳なさそうな顔でもしていたのかルチアーノは頭をぽんと撫でて微笑んでくれました。
「……そんな顔するな。リーハが話したいならそうして良いよ」
ルチアーノの優しさにお礼を伝え、そのまま週2回はソニア達と過ごすようになったのですが、実はルチアーノがルイス様に詰め寄ったそうなのです。
「何故毎日ソニア嬢と一緒に過ごさないんだ?おかげで俺のリーハが連れて行かれてしまった」
と。聞いた時は目が点になりましたわ。そんな風に思っていたなんて。
コッソリ教えてくれたソニアは「愛されてますわね」って微笑んでくれましたが、ルチアーノに我慢させていたのだと反省しました。
言って下されば良かったのに。
それで、今日ソニア達と一緒に過ごす日なのですがルチアーノに声を掛けましたの。
「ルチアーノも皆で一緒に食べましょう」
「はっ?俺も?」
ルチアーノは少し複雑そうな表情で私の背後に目を向けたわ。
後ろに立っているソニア達が微笑んでいるのかも知れません。既にルチアーノを誘うとお話ししてありますから。あ、今日からルイス様もいらっしゃいます。
「友人も大切な人も皆一緒に食事したいと思ったのだけど……駄目だったかしら?」
「……イヤ……リーハがそうしたいなら良いよ」
そう言って空色の瞳を細めニカっと嬉しそうに笑ったルチアーノ。いつもより少し子供っぽいけどとても自然体に見えて、私も口元が緩みましたの。最初からこうするべきでしたわ。卒業までの週2回は皆で過ごしましょうね。
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最近気になっている事がある。
城の警備やリーハの護衛騎士達が男であると言う事だ。
結婚して安心したから地味な変装も止め素顔を晒している今、騎士達がリーハに惚れずにいられるだろうか?
騎士達も何故か顔が良いし……
ダメだ。嫌な事を考えるのは止めよう。しかし心配だ。何故こんな事を気にするかと言うとリーハにずっと断られているからだ。今も……
「いい?」
「だっ、駄目……」
白いネグリジェ姿でベッドの縁に座り目を伏せた妻リーハ。
俺達が愛し合ったのは1回だけで後は延々と断られ続けている。
理由が凄く気になるが聞いていない。夫としてリーハの意見を尊重したいし、駄目なのに無理をさせたくない。
「いい?」と聞く回数も負担にならないよう少なくしている。が、逆に少なすぎて断りやすいのかもしれない。
ここ数ヶ月全て撃沈。まさかとは思うがリーハの気持ちを疑ってしまうレベルなんだよ。ああ、駄目だ。そんな悪い事を考えてはいけない。リーハに限ってそれはない。はず……
だが他に何の理由がある?
あ……?もしかして俺が重たいからか?
先日ルイスに言われたんだよね。俺は重すぎるって。
ベッドの縁に座っているリーハは少し顔を伏せ、落ち着かないように指を動かしもじもじしている。
このもじもじの心理は何だ?結婚前からリーハの心が見たいと何度も思ったが、両想いになって結婚したからと言って相手の気持ちが分かる訳じゃないと言う事に気付いた。
喜んだりしている時はすぐに分かるようになったけど。……まぁ聞かないと相手の本当の気持ちは分からない。悩んで出る答えなんて自分が想像出来る範囲内の事だけだし。
「……何故いつも駄目なんだ?」
おっと。我慢出来なくて聞いてしまった。リーハがプレッシャーに思ったらどうしよう。責めている訳じゃないからそこは誤解しないでくれ。
俺の心配を余所にリーハはカッと頬を赤く染めた。
「あの……愛されてるのが伝わって来て凄く幸せだったのですが、そのっ……思い出す度にどんどん恥ずかしくなってしまって。と言うか、ハイと言うのが恥ずかしくなって……つい駄目って口から出てしまうの……ごめんなさいっ」
何だその理由、何だこの可愛さは!そうか、あの日の事を何度か思い出していたのか……確かに俺、夢中で愛したもんな。
しかしヤバイな。俺を今日悶え殺す為に数ヶ月間断り続けたんじゃないだろうか?そのくらい可愛い。
聞いて良かった。俺の想像じゃ見当違いな答えしか出なかった。
「悪い。俺たった今我慢出来なくなった……駄目?」
「だ……駄目じゃないですわ……」
恥ずかしそうにか細い声で答えたリーハ。ハイと言うのが恥ずかしいのならむしろ聞かないで事を進めてしまえば拒否されないかも知れない。
でもそれは俺の欲を押し付けるだけでリーハの事を尊重していない気がするから俺が駄目だ。
顔を真っ赤に染めて身体を硬くして初めての時より緊張しているのが分かる。愛しすぎてごめんな。今度から少しずつさらけ出す事にするよ。
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まさかのコミカライズが決定いたしました。読んでくださった皆様のおかげです。ありがとうございますした!




