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再創世記 ~その特徴は『天使の血筋』にあてはまらない~  作者: タナカデス
第1章 名はアグニ
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9 洞窟①


サントニ町を出て南の方向に向かうと、ディヴァテロス帝国最大級の洞窟があるらしい。


そこは芸獣がたくさん棲みついているため危険だが、冒険者や商人、小遣い稼ぎをしたい人らがわんさか行く所らしい。狩った芸獣や洞窟の中にある鉱山や薬草を取って売るために。



「わ~本当に大きいな」


洞窟の入り口に着いた。

てっきり門のような入口があるのかと思ったが、今いるのは「洞窟の上」。

大きな穴が地面に空いていてそこから入っていくらしいのだが…洞窟の中が暗くて何も見えない。



「シリウス。本当にみんなここ来るのか?」


なんでそんなことを聞くのかと言うと、周りに全く人がいないからだ。



   また俺騙されてないか?



シリウスは髪と顔に着けていた民族衣装の布を取って、煌びやかな笑顔で答えた。


『もちろん!ただこの洞窟大きいから何個も入口があるんだ。ここはそんな使われてないだけで、洞窟にはたくさん人が来るよ。』



   …なんか言い方怪しかったな?



訝し気な顔でシリウスを見ていると、大きくため息をついて


「まったくしょうがないなぁ。僕が先に行くよも~」


と言い、手に火の球を作りそのまま下の洞窟に飛び込んだ。



   ええ?危なくない??大丈夫?!



そんな心配をよそにすぐにシリウスから声がかかる。


『はーい。じゃ、降りてきて~』


「え、降りてきてじゃないよ!どれくらい深いの?」


『ん?建物3階ぶんくらいかな?早く~』



   ええ?!あいつ嘘だろ…普通に死ぬだろ!



「おいおい!無理だろ!どうすればいいんだよ!」


『芸の出し方はもうわかるでしょ?最初に戦ったネズミがやってたみたいに、風を下から思いきり噴き上げるように考えてごらん。芸素を意識して!』



お~なかなかの難題だな。ほんと無茶だな。

けどもう俺が何を言っても無駄なのはわかっている。

ここは素直に従おう。



俺は芸素を意識しつつ、以前戦ったネズミに当てられた時を思い出す。

下の空間から風が沸き起こる想像。それに必要な芸素を自分から補う想像・・・



「…行きます!!」


思いきりジャンプして洞窟の穴へ落ちていく。

すると下から風が吹きあがり身体が無重力になる。



   おおお!でけたでけた!



バランスを崩して滑り込み着地になってしまったが、上手く芸ができたことに興奮しているとシリウスが冷ややかな目で見てきた。



『うん。今僕少し助けたからね』



   あ……俺の力ではないのね。





・・・・・・



少し奥に進むと、道がネトネトしてきた。


「なあシリウス、ここなんでネトネトしてるんだ?」


『アリの芸獣の仕業だね。粘液を出すんだよ』


「ここにいる芸獣はアリなのか?」


『そう!このネトネトはアリのお尻から出るものなんだけど、アリの口から出るのは強酸なんだ。当たらないように気を付けてね』


「当たらないようにってどうするんだよ…」


  

ネトネト道は続いていたが、アリには遭遇しない。

不思議に思いシリウスに聞こうとすると、分かれ道についた。



一つは斜め上、もう一つは斜め下。上下の分かれ道。


「…どっち行くんですか?」


そう聞くと、シリウスは遠くを見るのような目つきをした。そしてシリウスから芸素の波のようなものを少しだが感じた。



「あ!今芸使ったろ!身体強化か?なんか感じた!」


テンション高めにそう言うとシリウスは驚いた顔でこっちを向き、


『へえ!けっこうわかるんだね!君は細かい芸の扱いが上手なんだろうな。鍛冶中にしてた温度調節が活かされてるんだろう。良いことだ。』



   …初めて褒められた!ホメラレタ!!!

   こいつ褒めることもできるんじゃんか~

   スパルタだと思ってたけど、よかった!




・・・




そんな吞気な事、考えちゃいけなかった。


その後シリウスはこどものような笑顔で、


『じゃあその調子で頑張ってね!』


と言い残し、俺を下の道に突き飛ばした。(2度目)



そこには10を超えるアリの芸獣がいた。









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