5 不思議な夢
初めての芸獣との戦闘を終えたと思ったらまたあのネズミがやってきて、初日にして3匹と戦うことになった。
もちろんだが見目麗しい御仁はずっと俺の後ろで冷やかしてるだけだった。
夕食はなんとか丸焦げにしなかった1匹の芸獣と、岩に生えるコケのようなハーブ(シリウス曰く)でネズミを焼き、それをライ麦パンで挟んで食べた。
「・・・思ったよりこのネズミ上手い。」
美味しいからネズミさんって呼ぼう。
『でしょう?!けどみんな芸獣は食べないんだよ~。まだまだ恐怖の対象だからね。』
「そうなのか!少しもったいないな…」
・・・・・・
夕飯を取り終え、シリウスに芸で温水を上からかけてもらって身体をおおざっぱに洗い、寝る準備についた。
「お前は寝ないのか?」
シリウスは横になるしぐさも見せず、近くの岩の上に座っている。
月明りに照らされた髪は、まるでそれ自体が発光しているかのような見事な銀色になっていた。
『2人とも寝ちゃったら危険でしょ?あほなの?』
「なんでだよ!いや、なら俺も起きてるよ!!」
『ごめんて嘘だよ。僕は寝なくても平気だから、お子様は遠慮せずに寝なさい。』
ふーん
寝なくても平気な人もいるのか
世の中は広いなぁ
なんて思いながらも意外と身体は疲れていたのか、すぐに思考がぼやけだした。
銀に光る夜の輝きを全てその髪に集め、静かに強く光る月のような瞳。
俺と同じ瞳の色で、俺と真逆の色の髪か
ぼやけた思考で、こんなに夜が似合う人がいるのかと思った。
そんなことを思っていたからなのか、
不思議な夢を見た。
俺は空の上にいて、そこは石造りの広場だった。
豊かに実をつける木々、穏やかな風、そしてシリウスのような外見の人たちが大勢いた。
軽やかで、見たこともないほど美しい服を着ていて。
その最奥にシリウスもいた。
俺はその人たち全員と知り合いで、仲良く喋ってた。
みんな笑顔だった。
俺も笑ってた。
・・・・・・
『……ニ。…グニ。…アグニ。』
「ん?あ、おはよう」
『おはよう。ほら、軽く朝食べたらもう出るよ』
夢か。
なんかすごい懐かしい気もする。
幸せ……だったなぁ……
「なぁシリウス、今な、夢みてさ。空の上にシリウスと俺と、あとシリウスみたいな人たちがいっぱいいて、みんなでなんか楽しそうにしゃべってたんだ。」
支度をしているシリウスの背中に語りかけるが、シリウスは無言で片付けを続けた。そして荷物をしまうとゆっくりとこちらを振り返って、笑ってないような笑顔で答えた。
『とても 夢らしいね』
・・・・・・
「お!シリウス!もしかして……あれが噂の?!!!!!!」
『うん。スリーター公国の国境に位置するサントニ町だよ。じゃあ、準備して入ろう!』
「うおーーー!!!!!興奮してきたぁ!!!人生初めての町だ!!!!!!よっしゃあ!!!!!……って何の準備?」