表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
再創世記 ~その特徴は『天使の血筋』にあてはまらない~  作者: タナカデス
第2章 各国外遊
41/271

38 3つ目の場所

久しぶりに早起きしました。(ゆーても6時)


家出る前からもう帰りたかったです。




「おい……」


『はい』



「行きたいところって……」


『はい』



「…………ここどこだよ!!」



『はい!シャルル公国です!』


「シリウスてめぇ…!!!!!!」


『あっははははははは!!!!!!』




…………説明しよう!


シリウスに「行きたいところ3つめ」、「ちょっと距離がある場所」と言われてからもう幾日。帝都を出て永遠と北に進み、着いた場所は・・・シャルル公国



トラの芸獣出没国だ。



「シド公国に向かってたんじゃなかったのかぁ?!」



シリウスの胸倉を掴んでぶんぶんすると、

あうあう言いながらシリウスが言い訳をする。



『この前コールに言っちゃったじゃんトラの毛皮渡すって!だから早く退治してシド公国に向かおうよ〜』


「とっととやっつけられるレベルなのか?トラの芸獣は!帝都で噂が聞こえるくらいだろ?相当強いんじゃないのか?!」



『……そんなこと言わずにさ!頑張ろう!』


「こんのやろ……!!!」


『あぅあぅあ~』




・・・・・・




シャルル公国は帝都からずっと北にある公国だ。



国のほとんどが高低差の激しい崖や山でできており、活火山もある。そのため、地熱を利用した自然のお風呂ー温泉ーが存在し、観光や休養にもよく利用される。

そして「天使の血筋」が代々国を治めている。



シリアドネ公国と同様に、シャルル公国の首都の名前も「シャルル」だ。そんで今、その「シャルル」の街に着いたのだった。



「なんか今までに見たことない街だな!面白い!!」


『でしょ?!絶対気に入ると思ったんだよ~』



シリウスにキレるのもそこそこにして、街を楽しむことにした。この街は今まで見てきた街と少し作りが違う。



城壁なるものは存在せず、あるのは入口の門だけ。


とっても説明が難しいんだが…いくつかの町がそれぞれ崖の上にあって、それが網の目のようにいくつもの橋で繋がって、一つの大きな「街」になってるんだ。



大小さまざまな橋がかけられていて、それらは全て朱色で統一されている。その他にも家の窓枠やドアなどは朱色で、崖の岩肌と街全体の朱色のコントラストがとても美しい。


随分と特徴的で印象的な街だ。




『とりあえず、宿屋探してそこの主人にでも芸獣のこと聞こうよ』


「了解。宿屋は…どこの町にあるんだろ…」


『うーんと、あっちかな』


「あ、ほんとだ」



俺らは橋で隣の崖にある町に移り、宿屋で部屋を取った後店主に話を聞いた。


「今この国でトラの芸獣が出るって聞いたんですけど、どこで出るんですか?」


すると店主は明らかに焦った顔をして答えた。


「こらこら!面白半分で見に言っちゃだめだよ?!もう何人も食われてるんだからやめときなさい!」


「あ、俺ら別に見に行くわけじゃないですよ。逆に、間違えてそっちに行かないために知りたいんです!」



   俺も口から出まかせが上手になったなぁ



そう言うと、店主はほっと息を吐いて安心した表情になった。


「あぁ、そりゃそうだよね。いやぁ、さすがに泊めた客が次の日に食われた、なんて聞きたくないからさ。この街から西に言った崖によく出没するらしい。あの辺は崖が急だから討伐が難しいし、逃げづらいんだよ。だから行かないようにするのが1番だよ」



「へぇ~そうなんですね。わかりました!」



   いえす。情報ゲット。



宿の部屋に入り、シリウスと戦いに持っていく道具を精査する。


『アグニ。一応剣は妖精の方持っていきな』


「あ~そうだな。そうする。シリウスも短剣だけでいいからなんか持っといて」


『え~……』


「持ってってください。」


『……ちっ』


シリウスが言った「妖精の」とは、前に妖精の森で手に入れた芸素入り砂鉄で作った剣だ。


大公様にあげる剣を作った時に使わなかったアリの芸獣の卵の殻(黒水晶)と組み合わせて作ったのだ。



出来上がった剣は、

芯の部分が金色に光り、周りが黒水晶で覆われた剣



自分で言っちゃあなんだが、めちゃくちゃ美しい。

しかも強い。



シリウスにも同じもので短剣を作ったんだが、一回も使っていないのは知ってる。




・・・




「……けっこう、崖だな」


『けっこう崖だね』


トラの出没場所付近に着いた。

が、思った以上に崖だった。


「なぁシリウス。こういう場所はどうやって戦うのが吉?」


『そうだなぁ。ん~それこそ身体強化じゃない?』


「あー…なるほどねぇ……難しいな」


『アグニ、足だけでもいいから身体強化できる?』



そう言われ、この前耳に身体強化をかけた時を思い出して、足にも芸素を循環させる。


すると、若干…足が軽くなった気がした。



「うーん。なんか、少し…できたかな?」


『少しってどれくらい?飛んでみて』


言われた通りに真上へジャンプすると、シリウスの腰辺りまで飛べた。


「おお!俺できてるじゃん」


『…本当に少しだけだね。』


「え?ほんとに?シリウスってどれくらい飛べるの?」



『…これくらい?』


そう言ってシリウスは建物4階分くらいまで飛んだ。



   はぁ?!!飛びすぎだろ!!!!!



「身体強化ってそんなに飛べるの?!」


するとシリウスはなぜか物凄く遠慮がちに、申し訳なさそうに話し始めた。


『…あの、アグニ。今ね、僕が飛んだら…向こうにいたトラと目が合っちゃった』


「……はぁ!????まじかよっ?!!!」



するとシリウスの言葉通り、

反対側の崖の上からトラが姿を現した。こちらを見据え、風のようなスピードで走り寄ってきた。



「っの、ばか野郎~~!!!!!!!」


『ほんと!ほんとにごめん!あはははは!!!』



こうして、

急遽トラの芸獣との闘いの火蓋が切られたのだった。









評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ