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再創世記 ~その特徴は『天使の血筋』にあてはまらない~  作者: タナカデス
第2章 各国外遊
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36 酒場で情報収集

目が悪いときってめっちゃ頭とか肩痛くなりません?あれほんとにどうにかしてほしいですよね。



「身体強化の練習?」


『そう。まず意識して。耳だけを。治癒をしている時の感覚で。芸素を耳に送るイメージ』



そう言われ、治癒をしている時の温かさや、芸素の動きを体の中で考え、そうなるように意識する。



「……できねぇ」


『うーん。そうだなぁ。芸素を耳に循環させるイメージは?常に送り続ける感じ。』



芸素が耳に次々と送られ、循環しているイメージをし、芸素を送ろうと努力する。


「……なんか耳あったかくなった?かも」


『…そう?じゃあ向こうの人の会話聞こえる?』


「……全然。」


『じゃだめだなー。うーん…じゃあ次。耳の奥の方を同じように意識してみて』



言われた通り、耳の奥の方に芸素を送る。


すると、周囲のざわめきが急に大きくなった。



「!!  できた!!いけた!」


『ほんと?!耳よくなった?』



向こうで注文を受ける店員さんの声に耳を澄ませる。


「もう一杯ね!すぐ持ってくるわ!」


「ああ。ありがとよ ねぇちゃん!」



   おお!!聞こえる!!なんか不思議!!



「シリウス!いけたいけた!」


『おぉ~やったねぇ!これ、身体強化って言って、全身にも掛けられるからね。解名(かいな)じゃないからギフトの言葉もいらないよ』



「これめちゃくちゃ便利じゃないか?」



『まぁ〜ね〜。けどその分やっぱ芸素使うし疲れるよ〜。慣れ次第だけど。あとみんな、治癒が出来ないから感覚が掴めなくて、なかなかできないんだ』



   あ〜なるほどね。確かにな。

   治癒の感覚知らないとイメージしづらいわ。



『よし、じゃあ注文したら「情報収集(盗み聞き)」といきますか!!』





・・・・・・




「いよいよ少数民族がシド公国に上陸するらしくてなぁ。今あの国に芸石売れば全部買ってもらえるぞ」


「なんだって?あの戦闘民族か?」


「そうだそれだよ。戦はシドの王子も出るらしいぞ」




「シャルル公国にトラの芸獣が出たらしくてよぉ。これが凶暴で人も死んだんだそうだ。」


「あれ?この前シリアドでもあったろ?あれはヘビだったか?」


「あぁ。次はシャルルでトラだってよ。」




「フォード公国でまたオアシスが消えたってさ」


「おいおい、またか?あんな暑い国で…災難だなぁ」


「ああ。水を販売してる知り合いが今急いで稼ぎに行ってるよ。ははっ」




「エール公国から来たのか、お前」


「おう。帝都に近いのに働き口がなくてなぁ。出てきたんだよ。」


「言っちゃ悪いがそんな豊かな国ではないもんなぁ」


「そうなんだよ…こっちで稼いだお金を仕送りした方が効率がいいんだ」




   めっちゃ聞こえる。

   そして本当にみんな色んな話してる。

   


『どお?結構色々聞こえるでしょ。』


シリウスと顔も合わせず静かに黙々と目の前のご飯を食べながら人の話を聞きまくっていた。



「ああ!楽しいな!盗み聞き!」


『やめて!情報収集!!』


「けど俺ほとんど何言ってるのかわかんねぇ。どこにその国があるのか知らねぇし」



シリウスが片手に葡萄酒を持ち、美しく笑った。



『ねぇアグニ。せっかくだからさ、今聞いたところの国行こうよ。実際に見てみるの。』



「ん?あ、たしかに。目的地無いわけだからちょうどいいかもな!」



『でしょ?じゃあさ、まずシド公国行こう。』


「えっと、少数民族がうんぬん言ってた国か?理由は?」



シリウスがわざわざその国を選んだ理由は何か。それを聞きたくて質問すると、笑顔を一層深めて言った。




『少数民族は帝国民じゃないから、最悪全員虐殺だ』


「なっ!!!!……虐殺?」



俺が急に大声を上げたことで何人かがこちらを見た。

急いで声を小さくして問う。

シリウスはおかしそうに笑って言う。



『当たり前だろ? 帝国の意にそぐわないなら………そんな人間、いらないだろ?』



「…………は?」



シリウスの言葉が信じられなくて感情が昂る。


するとシリウスは、ふっと笑って周りを見渡した。



『アグニ、抑えて。君、芸出てるよ。店が寒くなっちゃったよ』



そう言われて辺りを見渡す。

すると店のお客さんがみんな腕をさすったり、周囲を見渡したりして、不安気な顔をしていた。



「……悪い。」


『いいえ。けど、本当に帝国はそう考えてるんだよ』


「なんとか、止められないのか?」


「できるよ」


「ほんとか?!」



俺が前のめりになってシリウスに聞く。

シリウスは悠然とお酒を飲みながら答える。


『君が彼らと帝国民の橋がけになればいい』


「 え? それだけ? 」


『うん、それだけ』


   どういうことだ?

   そんなんだったらみんなやるだろ?


『帝国側が彼らを虐殺するのは、彼らに敵意があり、我々を殺そうとしてる と思っているからだ。だからやられる前にこっちからやる。そういうつもりで虐殺する』



「……つまり説得しろと?」



『まぁそうだね。こちら側から説得をするのには「向こうを殺さずに制圧できるだけの実力」が必要なんだ。ほら、君の目指しているものだろ?』



   たしかにそうだ。

   それを目指して、俺は山賊と戦って……



「けど…上手くいかなかったじゃないか……」


山賊との戦闘を思い出して答える。

しかしシリウスは食い気味に返してきた。



『君はもう油断しない、だろ?』


「……ああ。もちろん。」


『じゃ、大丈夫だよ。』


「へぇ?!」



『油断しなければ、君はもうやられない。それくらいには私は私の弟子を強くした自信があるよ』



   なにそれカッコいい。

   俺も弟子持ったらそれ言おう。



「じゃあ、シド公国に行こう!!」


『決まりだね!』



シリウスと再び乾杯をした。


次なる目的地を決め、これからまた旅の準備だ。




あーあ。まだ全然帝都内見てないのに……









いろんな国出てきましたねー。


私は最初これらの国々を番号で呼んでました。

シド国は3国、シャルルは6国、フォードは2国、エールは10国、とか。

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