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再創世記 ~その特徴は『天使の血筋』にあてはまらない~  作者: タナカデス
第7章 第3学年
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248 2度目の学院交流:第4学院②~第3学院①

い〜や〜!!!3月に入ってまった!!

2月全然更新しなかった!ほんとごめんさい〜!!



2日目の放課後、俺は特に気になっていた技術研究会の農業科へ向かった。


昨年は驚いた。

まさか自分が大金を逃していたとは。

シリウスがハイセン村で造った土掻き機と、俺が作った灌漑用水。昨年農業科でこの2つの説明を受けたのだ。

特許を取っていれば今頃大金持ちになれたのにぃ!!


ということで、もう二度とあんなことが起こらないように、今はどんな道具が世に出てて、どんな道具が求められているのかを知っとこうと思ったのだ。


シリウスは公爵という巨大な財布を持っているせいで自分自身のお金には執着していない。そもそも金がなくても森で自給自足できるタイプだ。一方の俺は、天使の血筋として認められる前までは鍛冶の素材を買うためにフェレストさんとこでバイトをしていたり、少なくともシリウスよりはお金というものに執着している。できれば、出来る限り欲しい。


「あー!!」


「あ!去年の!!ルイス……だったよな??」


第4学院の生徒、栗色の髪に薄緑の瞳の少年がいた。顔立ちは整っていそうだが分厚い眼鏡をかけているせいであまりをよくわからない。眼鏡と、その奥にあるキラキラとした瞳が印象深い子だ。


「知り合いか?」


俺の後ろに立つカイルがこそっと聞いてきた。


「ああ。俺と同じ学年でな、去年ここでたくさん説明をしてくれた子だ。ルイス!久しぶり!!」


「あっ!あ、!あ、あ、、んー……」


ルイスは挙動不審だった。手を挙げようとして引っ込め、また挙げようとして引っ込め、悩み始めた。そしてよくわからなくなったのだろう、頭を下げて自己紹介を始めた。


「お久しぶりでございます!第4学院第3学年のルイスです!あ、天使の血筋の…あ、天空のお導きに感謝申し上げます!ルイスです!」


名前を2度言いながらも、とりあえず天使の血筋への挨拶をしてくれた。


「そんな畏まらなくていいよ。昨年ぶりだな!去年アグニとして出会ったけど、今年からはシュネイと呼んでくれ、改めてよろしくな。そんで早速、新しい技術を見せてくれよ!」


俺がそう告げるとルイスの表情がぱっと明るくなった。


ルイスは技術が大好きで、話し始めるとだんだんと早口になっていく。そして説明に図解を使いながら丁寧に教えてくれるのだ。俺が天使の血筋だとわかった後も、技術に興味を持っていることを知ればちゃんと向き合ってくれる。


「え、じゃあもう芸車の機能を利用した自動種植え機が開発されてるのか?!」


「そうなんです!いやぁ…あの『芸車』って本当に凄いですよね!あの仕組みを取り入れれば大体の器具の発展版が作れると思うんです!!それで例えば・・」


ルイスの態度は去年と変わらなかった。

目をキラキラとさせ、技術の説明をしている様子は見ていて気持ちがいいものだった。


そしてルイスの様子を見て大丈夫だと判断したのか、他の第4学院の生徒も次々と色々な技術を紹介してくれた。俺も以前と同じように話していたら、いつの間にか議論し始めていた。議論をしていたらそのまま夜になり、夕食を一緒に食べることになった。みんなで机を囲んで夜ご飯を食べ、楽しい時間を過ごした。




「シュネイ、お前はこっちだ!」


カイルに腕を引かれて我に返った。話しすぎて皆と一緒の寮に帰ってしまうとこだったのだ。


「え?あ、そうだ!みんな、俺こっちだから!それじゃあ、また明日な!」


「あ、そうでした!いつの間にか同じ学院の生徒のように話してましたね!」

『とても有意義な時間でした!ありがとうございます!』


第4学院の生徒たちは笑いながらそう言った。


「あはは!俺もめっちゃ楽しかった!また明日な!」


「シュネイ様、また明日話しましょ!おやすみなさい!」

『「『「お休みなさ~い!」』」』


ルイスら第4学院の生徒と別れて、カイルと一緒に自室へ戻っていった。


「………お前も第4学院に通った方がよかったのかもしれないな。」


カイルが「お前も」と言ったのは、既にクィトが第4にいるからだろう。カイルは少し遠慮がちに、けれども本当にそう思っているように呟いた。


「……そうだな。そういう未来もあったのかもしれないな。」


カイルは俺が天使の血筋になってから第1学院に来た。俺が第1のみんなとギクシャクして、悩みながら会話して、また距離が離れて、くっついて・・・そんな風に過ごす様子しか見ていない。だから、今のように第4学院の生徒となら普通に過ごせるなら、そっちの方がよかったんじゃないかと思ってくれたのだろう。俺を心配してくれているのだろう。


「ただな、去年の1年間はとても楽しい学院生活だったんだ。それがどうしても忘れられないんだよ。」


初めての学院生活、初めての授業、初めての同級生・・・どれをとっても、眩しいものばかりだった。それはきっと第1学院だからこそ得られた感動だろう。そしてそんな素晴らしい日常を、今年もまた過ごしたい。

そう思ってしまうのだ。


「俺は、第1学院に入ってよかったと思ってるよ。」


「………そっか。」


カイルは優しく微笑んでくれた。

けれど芸素からは悲しみが伝わってきた。






・・・・・・





第4学院との交流会は大成功!

俺は去年よりも友達を増やすことができた。最高の結果だ。


そして(らい)の月が終わり、青香る2週間に突入した。

1週目は第3学園との交流会だ!去年は第3学院の生徒たちが第1学院に来てくれたので、今年は俺らが第3学院に行く。


去年第3学院の総長をしていたアイシャは今年はもう4年生なので、交流会には参加していない。カミーユも特別区に行っちゃったので、正直なところ顔と名前は知ってるけど……レベルの知り合いしかいない。

なので俺としては、大成功を収めた第4学院のようにたくさん友達を作るのが目標だ。



馬車で第3学院に入り、講堂に集合した。


ふわぁ・・・


講堂はクラシックなデザインながらも白と赤を基調とした可愛らしい内装で、花のような甘い香りが品よく漂っていた。


「はー……いい香りがする…!!」

「まるで花園のようだ…!!」

『こんな素晴らしい講堂がこの世にあったのか!?』

「イイカオリダァ~!!」


語彙力を無くした男子たちが顔を緩くしてウキウキと講堂の中へと入っていく。そういえば去年は俺とコルネリウス以外の男子が張り切りすぎて逆に変…みたいなことになっていたな。


「なぁなぁアグニ!な、なんか……女子の匂いがするな…!」


「カイル、言い方がキモイぞ。」


言わんとすることはわかるが、表現が気色悪い。見てみろ隣を。シルヴィアが死んだ目でお前のことを見ているのに気づかんのか。俺はこんな目で見られたくないぞ。




まずはシルヴィアが総長として挨拶をした。

そしてその後、第3学院総長のマイアという子が挨拶をした。マイアは赤茶色の髪に茶色の瞳、頬のそばかすが特徴的な子だ。明るい笑顔で周りを惹きつける魅力を持っていた。


代表挨拶が終わったあとはすぐ昼食。だがその前に俺とシルヴィアはマイアに話しかけに行った。


『マイアさん、こちら天使の血筋のシュネイです。今年の総長は私ですが、基本的に総長会議や学院長への挨拶にはシュネイも同席します。』


「マイア、初めまして。シュネイです。これからよろしくな!」


「シルヴィア様、シュネイ様、天空のお導きに感謝申し上げます。第3学院の総長を務めます、第3学年のマイア・ルビーです!帝国内の物流販路拡大を評価され、父の代から男爵家を頂戴しました!」


マイアはルビー男爵の三女らしい。カールの父であるブラウン子爵と業種的には近そうだ。


「へぇ~!そうなのか!お父さんはマイアが何歳の頃に爵位を頂いたんだ?生まれる前か?」


「私が6歳の時です!なので正直、私は貴族らしくないと思います!」


元気のいい子だな。

貴族になったのは最近だと言っても、爵位を得られるほどに裕福な家庭だったのだから育ちはいいはずだ。この天真爛漫さはきっと、大切に、伸び伸びと育てられたからこその賜物だろう。


「じゃあマイアは貴族社会の先輩だな!俺は今年から貴族になったんだ!」


「存じてますよ!いやぁ、急な伯爵位ですもんねぇ…。ぶっちゃけ……大変じゃないですか?」


「あははは!!ほんとそうなんだよ!その辺の事情もわかってくれるのは心強いなぁ~!」



   この子めっちゃ話しやすい!

   え、仲良くなりたい!!

   仲良くなれる気がする!!



『ゴホン!!シュネイ、マイアさん、そろそろ食堂に移動しませんと。シュネイと私は天使の血筋用の……』


「あ、そうだな!せっかくだからマイア、一緒に食べようぜ!!シルヴィアも!」


「えっいいんですか!?ぜひぜひ!!」


『…………………ええ。』



   あれ?シルヴィアがなんか暗い。

   調子悪いのかな?

   マイアと2人で食べたほうがいいか?



「後ろから失礼します!シュ、シュネイ!まじで3人で食べろ!な?な!?」


カイルがなんか焦った様子でそんなことを言いだした。なんだ急に?


「え、あ、おう……じゃあまぁ移動しようぜ!マイア!シルヴィア!」


「はい!!」


『…………………ええ。』



俺は元気なマイアと、その反対にテンションの低いシルヴィアと一緒に、食堂へと向かったのだった。










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