表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
再創世記 ~その特徴は『天使の血筋』にあてはまらない~  作者: タナカデス
第7章 第3学年
262/281

247 2度目の学院交流:第4学院①

ふぅーーーー!

久しぶりの投稿になっちまったぜ⭐︎


今年の学院間交流会は1週目に第4学院、2週目に第3学院、3週目に第2学院と交流する。

第4学院との交流方法は昨年と同じ感じだ。3の日までの会場は第4学院で、そこから第1学院に皆んなで移動する半々スタイル。


今年もシルヴィアが総長をしてくれるけど、第4学院との交流に関しては俺がリーダーシップを取ることになった。シルヴィアに負担をかけてばかりだから、少しずつ学んでいこうと思う。


「まずは…みんなの前で挨拶だよな?」


俺とカイル、シルヴィアと侍女のランの4人で馬車に乗り、第4学院まで移動している。


『ええ。簡単な内容で構いません。その後は第4学院総長のエリアスさんに場を渡してください。』


昨年の総長であるイサックはもう4年生なので学院間交流には参加しない。今年の総長は現在3年生のエリアスという人に移った。


「わかった!そんで寮に一旦移動して荷物置くんだよな?そこから授業、昼ご飯、放課後の研究会…っていつもの流れだよな?」


『ええ。私達は来客用の貴賓室を使いますので寮には泊まりませんが、一応部屋割りを確認しといてください。』


天使の血筋は寮に泊まらないらしい。第1学院でも寮を分けてるくらいだから理解はできるが、夜に皆で集まって話せなくなるのはちょっと悲しい。


「おけ。えっと……男子は3人一部屋で、カール、パシフィオと……コル……」


コルネリウスは、まだ学院に戻ってきていない。

意識は戻ったもののまだ混乱しているようで、特別区でしばらく療養している。


中隊に幻影の芸をかけて仲間同士で殺し合わせた……コルネリウスを重態にまで追い込んで困惑させた芸獣人間を……俺は許さない。


『……アグニさん?』


「あ、ごめん!」


シルヴィアから声をかけられ我に戻った。


「アグニお前……ちびるからそんな怖い芸素振り撒くなよ……」


「うわぁまじか!!ごめん出てた!?ほんとごめん!」


いつの間にか殺意のこもった芸素を出してしまっていたらしい。まじ申し訳ない。


『ちびる……とはなんですか?』


「うえ!?!あ、えっとぉ………」


「ゴホン!!シルヴィア様、そろそろ到着されますよ。」


ランが特大の咳をして話を誤魔化した。

そうか、シルヴィアはちびるって言葉を使ったこと……そりゃないか。ほんとごめん……。




・・・





無事に総長の挨拶を終えて、一旦第4学院内の案内をしてもらう。昨年も来た俺ら3年生は「あ~そうだこんな感じだったな!」と喋りながら歩き、2年生は興味深そうにキョロキョロとしていた。


そして今年の授業内容は、座学に加えて演習もあった。


「芸石って原石に近い形の方が威力が強いんだな。初めて知った。」


カールが興味深そうに教科書を読んでいた。たぶんカールはこの後、芸石に関する本を借りに図書館に行くと思う。


「それな!俺も知らなかった!しかもあんなに威力が変わるとは思わなかった。」


今日の演習は『発掘時の芸石と、宝石のように形を整えた芸石の違いを知る』だった。原石に近い方が圧倒的に芸素効率がよく、威力も強い。


「でも原石を持ち歩くのは……難しいから…装飾品にしてる……だから技術局では……原石のまま……使用してる…」


「へぇ~そうだったんだ!!さすがセシル、物知りだな!」


「なぁなぁ、みんなは今日の放課後どうする?」


パシフィオが俺らに聞いてきた。第4学院には武芸研究会がないから放課後が暇なんだろう。たしか去年、コルネリウスも特に行きたい研究会がないからと、俺と一緒にイサックに案内してもらっていたな。


「俺は一旦図書室へ行って、その後に文学研究会に行く。」


「あ、私も文学研究会~!」


「私は……技術研究会……」


カールとバルバラは文学研究会、セシルは技術研究会か。


「アグニも技術研究会か?」


「ああ。俺もそのつもりだけど今日は初日だからイサックと……知り合いとかに挨拶しに行こうかなって思ってる。」


イサックは交流会に参加しないだけで第4学院にはいる。初日だし挨拶しとこうと思う。

それとクィト!クィトもいるのだ!!もう芸素探知で場所もわかってる!!!会いに行く!!!!


「セシルは?一緒にイサック探す?」


「イサック…たぶん技術研究会に…いる……」


「そっか!じゃあ俺もまず一緒にそっち行こうかな!」




・・・





イサックに挨拶をして技術研究会のそれぞれの科を覗いてから、俺とカイルはクィトを探し歩いた。


「あ!!!」



   クィトだ!!

   けど同級生と一緒にいる!!!



クィトは中庭で男子学生3人と何やら楽しそうに話していた。


「カイル、どうすればいいと思う?」


「んーー……こっちから話しかけるのは不自然か。あ、じゃあ道聞こうと思って話しかけたら、この間のパーティーで会った子だと気づいて話し始める…みたいなのはどうだ?!」


「あり!!それでいこう!!!」


俺とカイルはズカズカとクィトの方へ進んでいった。


「やぁ君たち!!こんにちは!第1学院から来たからあまり校内がわからなくてね!すまんが食堂はどっちだい?!あれ?あれれ??君はたしか……この間のパーティーであった子だね!!」


よぉしばっちり〜!カイル天才〜!俺ナイス〜!


クィトは目を見開いて口をぱくぱくしていた。周りの子は俺らが第1学院の生徒だと知ってビビったのだろう。数歩後ろに下がって、俺とクィトを交互に見ていた。


「って、天使の血筋様に……感謝申し上げます。クィトと申します。」


「『「 て、天使の血筋?!! 」』」


周りの子達は俺が天使の血筋だと気づかなかったようだ。まぁ髪色も暗いし、特に制服に差があるわけじゃないから気が付かなくて当然だ。

しかし周りの同級生たちはいよいよ恐縮してしまって頭を必死に下げ始めた。


「みんな気にしないで頭を上げて!同じ学生同士、色々と喋れたら嬉しい!どうだクィト?学院は楽しいか?」


「……はい、楽しいです。」


クィトはカイルを睨みながら俺に返答した。カイルは俺の隣でニヤニヤしている。


「クィトはなんの研究会に入ったんだ?授業とかついていけてるか?何か必要なものとかない?大丈夫か?」


「……技術研究会の武芸科、農業科、工業科と、経営研究会にいます。足りないものはないです。お気遣いいただきありがとうございます。」


「そっか!それはよかった!!」


「(おい、会話が不自然になってきてるぞ…!)」


カイルから耳打ちされ我に返った。その場にいた他の3人は目をぱちぱちさせながら一生懸命事態を把握しようと努めていた。


「あ、みんなはどう?学院は楽しいか?困ったことはないか?」


「『「 は、はいぃぃ!!!! 」』」


3人はまだ萎縮している。声をかけただけで5歩くらい後退りそれた。そう考えるとクィトって肝が座ってるんだなぁ。


「クィト、ちなみにここお昼は何がおすすめ?」

 

「………クリームシチューですかね。うちで飼ってるヤギの乳を使ってるらしいです。」


「ヤギ?!クリームシチューに使うなんて珍しいな!気になってたんだよね、明日食べてみる!」


昼食はいくつかメニューがある中から選ぶことができる。今日はミートポテトパイとサラダのセットにしたが、明日はシチューにしてみようと思う。


クィトはきちんと制服を着て身だしなみも綺麗だ。友達とも楽しそうに話してた。よかった、ちゃんと楽しんで通ってて。


「俺も明日技術研究会行くから、またそこでよろしくな!!」


クィトは仕方なさそうに笑ってから丁寧に頭を下げた。


「……こちらこそ、よろしくお願いします。ほら、みんなも。」


「『「 うわわ…よろしくお願いします!!」』」


緊張してる……ふふ、みんな可愛いな。


「よし!じゃ行こうか、カイル!」


「はい。それでは、また。」


俺とカイルが去ろうとした時、後ろからクィトが話しかけてきた。


「道わからないんじゃないんですか?」



   ・・・・・はっ!!!



この後、シルヴィアとライアスと3人で話し合ってから、第4学院の学長に挨拶しに行く予定だった。俺としたことが、校内の地図がばっちり頭に入ってるから普通に応接室に行っちゃうとこだったぜ⭐︎


「あ……はははは!!すまんがクィト君、案内してくれるか?!」


「……あはははは!いやぁ、ついつい……」


俺とカイルで必死にバカなふりをして誤魔化した。男子学生3人は「え?バカなの?」という顔でポカンと俺らのことを見ていた。いやだ恥ずかしい…!!!


「はぁ、わかりました。ほらこちらです。」


クィトの口調が割と素に戻っているが、そこはつっこまないでおこう。


「「 あははははは……! 」」








次話も第4学院とのことを書いて、その後はもう第3学院との交流会に話が移ります!たぶん!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ