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再創世記 ~その特徴は『天使の血筋』にあてはまらない~  作者: タナカデス
第1章 名はアグニ
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23 大会申し込み 「天使の血筋」


その街の役場は確かに見たらわかるくらい大きくて、建物の装飾も緻密で美しかった。


宮殿みたいで、屋根部分はこの街全体で統一されている青緑色、そして白壁には所々に金色で模様や彫りが入っている。そして建物の前には同じ白色の石畳と階段がある。


いや。ほんとうに美しい。


見惚れていると隣でシリウスが言った。


『金色は「天使の血筋」しか使っちゃいけないんだ。この国の建物である役場は使っていいんだけど、他のお店や家では使えない色なんだよ』



言われてみたら確かに今まで金色の物は見たことないかも。



『あ、金属とか芸石の金色は大丈夫だよ。意図的に金色にするっていうのがダメなんだ』



「へぇ〜。けど金色の金属とか芸石の値段ってすげぇ高そうだな…」



『ご名答。バリ高い。だから普通に市民は持てない』



・・・・・・


建物内もこれはまた綺麗でキョロキョロしてしまう。


入ってすぐ大きなホールがあり、右手側にわかりやすく「大会参加申し込み場所」と書かれた掲示板と妙齢の女性職員が座っていた。


「すいません、あの…大会に参加したいです」


そう言うとその女性はこちらに顔を向け、ニコッと笑い紙を差し出した。



「はい、まだ大丈夫ですよ。こちらに記入お願いします。それと、どなたかこの国にお知り合いはございますか?連絡を取れる方が必要なのですが」



   連絡……さっきの執事さんはだめかな?


シリウスに聞こうと思っていたら、俺からペンを取って連絡先の所に書き始めた。


『さっきの彼を書いとくよ。いいね?』


「お、おお。助かる。けど勝手にいいかな?」


『あとで伝えとけば大丈夫だよ。ほら続きは書いて』


「はい」


俺が再び書類を書いていると職員のお姉さんがまた話しかけてきた。


「今回が初めてですが?」


「あ、はい。そうです。」


「そうなんですね。この大会は3回まで参加できますんで、今回上手くいかなくてもあと2回参加できますからね」



「あ、そうなんですね。……あの、優勝したら何か貰えたりするんですか?」



   …実はちょっと気になってたんだ。


そう思って聞くと、その女性は目をパチクリして驚きながら答えた。



「えっ……。あの、優勝された方はシリアドネ大公様直々に優勝賞金と賞状が贈られます。それを目指して多くの方々が参加するのですが……違うのですか?」


   おっと?ミスった質問したな、俺。



「あー……そうでしたそうでした。あはは。シリアドネ大公様って…あの『天使の血筋』のですよね?」



「そうですよ。全ての参加者が大公様を一目見たいという思いでこの大会に参加するのですが……」



   あーあ、はい。ミスった〜

   めっちゃ不審者を見る目されてる〜



「すいません、緊張してそのことが抜けてました。もちろん僕もそうですよ。是非お会いしたいです。」



そう答えてなんとかことなきを得た。

その後、いくつか注意事項とともにそれらが記載された用紙を貰ってその場を後にした。




・・・・・・


もう空には濃紺と橙が広がっており、その日の終わりを物語っている。


俺たちはシリウスの家に帰った。


ドアをノックすると、また先ほどの執事さんが出迎えてくれた。


「おかえりなさいませ。旦那様、アグニ様。」


『ただいま~いっぱい歩いた~』


「すぐ紅茶をご用意いたしますね。応接間にてお待ちください」



『ありがとう。あ、エメル。彼がアグニね。で、アグニ。彼がエメル。この家をずっと管理してくれてるから、何かわからないことがあれば彼に聞くといい。』


シリウスの紹介を受け、その気品のある老紳士が丁寧に腰を曲げた。



「アグニ様、ご挨拶が遅れました。私、この屋敷を管理しております、エメルと申します。どうぞよろしくお願いいたします。」


「あ、僕アグニです。こちらこそよろしくお願いします!」


急に始まった自己紹介に少々面喰いながらもこちらも挨拶を返す。けどその老紳士-エメルは穏やかな笑みでまた俺に腰を折った。


そして応接間に通され、エメルは紅茶の準備のためその場を後にした。


応接間は青緑と赤と黒で統一されており、派手すぎないが地味でもなく、それでいて落ち着きもある雰囲気だった。


   エメルさん、すごいセンスいいな・・・

   けどそれよりも……


「思った以上に『天使の血筋』ってやつの認知度高いんだな~」


シリウスにそう言うと呆れた顔をされた。


『あのねぇ…「天使の血筋」は君の考える数百倍は認知度が高いし崇拝されてるよ。この世で君以外に「天使の血筋」を知らなかったなんて人はそうそういないからね?』



「え、そうなの?というか具体的に「天使の血筋」って何?」


そう聞いた時、エメルが紅茶を運んできてくれた。が、すぐに去っていった。

シリウスが紅茶を一口含んだ後、こちらに姿勢を正して言った。



『「天使の血筋」は創世記にも記述されている。天空にいる神々が地上に降りてきたことで地上の世界は始まったとされているんだけど、その降りてきた神々の子孫が「天使の血筋」だ。』



「え…神の子孫?」


『そう言われてる』


「…まじ?」


『いやぁ。どうだろうねぇ~…。けど「天使の血筋」と言われる人たちは絶対的に他の人と異なる部分があるんだよ。』



「そうなの?例えば?」



『「天使の血筋」の髪は金色。目も黒色や茶色はいない。全体的に白っぽい色してる感じかな。まあ見たらわかる。それと、芸石を用いなくても芸ができる。なんせ神の子孫なわけだから?石なんて必要ないわけだよ』



「あれ??けど俺も芸石使わずに芸できてたんだよな?」


   シリウスの説明だとおかしくなる。


そう思って聞くと、

シリウスは今日一の笑顔で告げた。




『そう。君も「天使の血筋」なんだよ』



   ……は???!!!!!!!





いやぁ衝撃の事実。 お前、天使の血筋かよ!


けどそうなるといくつかおかしいことができてますね。

どういうことなんでしょうか?

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