22 シリアドネ公国 お祭り情報
芸石を購入後、シリウスと露店のお店を片っぱしから見て回った。
野菜パイや串焼き肉、飴細工、果物入り炭酸水などを食べ飲みしながらシリアドネ中央の大広場へ向かう。
大広場の近くに1番宿屋が多いらしいから宿探しのために向かってるのかな?と思ってたが………
そのまま少し小道に入り、綺麗な白色の家に青緑の家の前に立ち、ノックをした。
「おぉぉぉ…!旦那様!お帰りなさいませ…!」
綺麗な黒のスーツに灰色のネクタイをした老紳士がドアを開けてそう言った。
『ご苦労様。急だけど部屋用意できる?』
「本当にいつも急でございますな。もちろんいつでもいらっしゃれるように常に準備しておりますよ。すぐご案内できますが…どうなされますか?」
『やっぱ君は優秀だなぁ。ありがとう。んーそれじゃとりあえず僕とアグニの荷物をそれぞれの部屋に入れといてくれるかい?また街を歩いてくるから』
「かしこまりました。ではお荷物をお預かりします」
『うん、ありがとー。じゃ行ってくるね』
「お気をつけて、行ってらっしゃいませ」
…………っは?!!!
おおおおおおい?!!いやいやいや!!
「シリウス!何どういうこと?!今の誰んち?!」
俺がシリウスに聞くと、民族衣装のヴェール越しに、きょとん顔をした。
いや、なぜきょとん??
『え、僕んち。』
「え??お前ここに住んでたの?」
『住むこともあるよ。持ってる家の1つ』
「持ってる家の1つ?!他にもあるの?!」
『まぁ…。この辺来た時はあの家に泊まるの。』
「え、それで…執事さん?がいるのか?」
『うん。彼がずっとあの家を管理してくれてるね』
「ふぁ?!!」
こいつ…たぶんお金持ち…!!!
驚愕しているとシリウスが眉を顰めて言った。
『ほーら、とりあえず行こ。新しい服欲しいんだよね、僕』
・・・・・・
大広場に戻り、良さげな服屋に入って服を選ぶ。
シャツや下着を新しく新調して、旅中の物は捨てるのだ。どうしても汚れがね…。
その後、俺の勉強がてら武器屋に入り、1つの剣を見ていると武器屋の旦那が話しかけてきた。
「お、兄ちゃんお目が高いねぇ。この剣は帝都から仕入れたもんで、珍しい鋼を使ってるぜ。もしかして兄ちゃん、今度の大会出るのか?」
褒められた。それより、今度の大会?
「いや、出ないです。今度大会あるんですか?」
「なんだ出ないのか。5日後にここ、シリアドネの首都で武術大会があるんだよ。腕に自信があるならまだ申し込みしてるだろうから参加してみろよ!」
なにそれ楽しそう。
「どうやってその大会に参加できるんですか?」
「あぁ、この街の大通りをまっすぐ北に行くと左手に大きな建物があるんだが、それがこの国の役場でな。毎回そんなかで大会の参加を受け付けてるから今回もそうだと思うよ」
「へぇ〜シリ…じゃなくてヨハンネ。俺もその大会出ていいかな?」
名を呼ぼうとして振り向いたら、満面の笑顔でこちらを見ていた。
ヨハンネね、ヨハンネ。あっぶね。
『いいんじゃない?出てみなさいよ。「武術」でしょう?』
そうシリウスが聞くと、旦那はシリウスに顔を赤らめ、挙動不審になりながらも答えた。
「あ、はい!!武術です!あ、けど決勝は「武芸」になりますが…まぁ、そこまで行くのは…なかなか難しいと思いますけど…」
武芸じゃなくて、武術。というのは……
「つまり、準決勝までは芸を使わない試合で、決勝からは剣も芸も使っていい試合ってことであってますか?」
「ああ、そうだよ兄ちゃん。けど決勝まで残るのはシリアドネ公国軍の軍人とかだからなぁ。言っちゃ悪いが外のもんには難しいと思うぞ?」
へぇ〜そうなのか。いや、俄然やる気出た。
「シ…ヨハンネ、俺出る!」
『…わかった。じゃその役場行ってみようか。旦那、ありがとうね。』
シリウスがそう言うと、旦那はしどろもどろになりながらも返事を返した。
旦那……シリウス意識しすぎや…
そうして武器屋を出て、大通りを再び歩きつつ露店に寄りつつ役場に向かっていった。
楽しそうなイベントができてきました!
さぁ、役場へ向かいましょう。