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再創世記 ~その特徴は『天使の血筋』にあてはまらない~  作者: タナカデス
第1章 名はアグニ
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20 見た夢 消えちゃった山賊

また夢をみた。


前にみた不思議な世界の夢。


綺麗な青空なんかに見向きもせず、俺は走っていた。


誰かを探してる。


シリウスのような外見の人たちがところどころに転がっていた。死んでるってことは何となくわかってた。


俺はその人達を見て胸が張り裂けそうで


でも止まらず、ずっと走って 走って 


探してた




たった一人の、 この世界の王を―




・・・・・・



「う……シリウス? っ!痛っ…」


目を覚ますと、岩に座ったシリウスが横笛で美しい音色を奏でているのが目に入った。


身体を起そうとして全身に激痛が走った。


『ああ、起きたかい?まったく…ちょうどいい練習になるから完璧には治療してないよ。自分で『治癒』してみなさいね』


シリウスが少しむくれた顔でそう言う。辺りが静かすぎる。


「あ、ああ。シリウス、ごめん。山賊は?」


上半身を無理やり起こし、辺りを見渡すと…


誰もいなかった。


てっきり殺したのかと思ったけど、血の跡もないし何も転がってない。普通なら戦闘の形跡が残るはずだ。


そう思い、シリウスに聞くと爽やかな笑顔で言った。



『消えちゃったよ』


「・・・消えちゃった?そんなことないだろ?」


『ううん。もういなくなっちゃった。』


あんだけの人数がいて、しかもシリウスも荷物も置いて、いなくなるわけがない。


「・・・どういうことだ?」


そう聞くと、シリウスは子どものように笑った。


『なんかね。ちょっと芸を出したら すぐ消えちゃった』



   どういうことだ?なんか言い方がおかしい。

   シリウスの芸を見て…

   無理だと判断していなくなったのか?



   え・・・


   まさか・・・



「シリウス。彼らは、()()()()()() 消えた・・・?」



太陽を背後にして笑う顔に 影がかかっている。


俺の背に冷や汗が伝う。


シリウスの、いつもの笑顔


何も変わらない、いつもの


彼にとっては、()()()()出来事




『彼らはもう荷物を持てないから、貰っていこうか』



シリウスは山賊たちの荷物を持って微笑んだ。





・・・





その後俺は自身を『治癒』の練習台にし、芸をした。


もう俺は シリウスに質問をしなかった。



明確なことは、

もし俺が言葉通りに制圧できていたら、彼らは死ななかった


感じたことのない、重みがのしかかった。

気分が悪い。


その様子を感じ取ったのか、シリウスが言う。



『彼らは山賊だよ。もう何人も殺してる。君が制圧したとしても次の日には誰かを殺すんだよ。君が殺さないことで、無実な誰かが殺されるんだよ。どうしてって叫びながら』



『君のエゴで代わりの誰かが死ぬんだよ』



…確かにそうかもしれない。けどじゃあ、山賊は見つけ次第殺していいのか?そんなもん近くの町の兵に突き出せばいいわけだろ?でも逃げられるくらいなら殺したほうがいいのか?



わからない。

でも自分なりの答えを持たなければならない。


次に迷うわけにはいかない。


殺されたいわけじゃない。だから遠慮はしない。


もう制圧希望は無しだ。


余裕ぶらない。



   世界は 綺麗ごとでは片付けられない。




・・・・・・





「あ、あれがシリアドネの首都?」


『そう!シリアドネ公国の首都、シリアドネ!』


眼下に見えるのは立派な城壁に囲まれた、今まで見たことのない大きさの街。上から見ると青緑の屋根で統一されていて大人びた美しさがある。


「国の名前がそのまんま首都の名前なんだな」


『そうだよ、ちなみに大公の名前だよ』


「え、ここも?それはシメリア公国じゃないの?シリアドネ公国も…なんだっけ。『天使の血筋』?」


『おお、よく覚えてるね。そうね、それはあとでね。とりあえず、下に降りてみよう!!』


「ああ!!」








何も痕跡を残さず、空気の乱れもなく。


絶対的なレベルの差を薄々感じてしまいます


けどこの人と一緒にいれば絶対に成長できる。

そう思ってしまうかもなぁ

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