表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アスタッテの尻拭い ~割と乗り気な悪役転生~  作者: 物太郎
第4章 第一妃の変化(仮)
318/411

318、初めての宿泊学習 14(飛ばされた悪役)



 日が暮れて月が明るく輝き始めた頃、聖域にて一人の少女が湖を覗き込むように膝をついてしゃがみ込む。周囲には妖精が飛び交い、その羽が彼女の輪郭を淡く照らし出す。

 少し離れた場所で、神聖とも見えるその光景に目を奪われていたミーヴァは我に返って腕時計を確認した。

(ぎりぎり間に合うかな……)

 ここから直接屋敷へ運んでもらえれば夕食前の在室チェックには間に合うだろうと彼は顔を上げた。

 眺める先では巨大な鯉のような生き物とユリが言葉を交わしているようだった。しかしそれは直接の会話ではなく、妖精を挟んでの会話らしい。

 水面から顔を出した魚の額の上には、数匹の妖精が腰かけ身振り手振りで何かを伝えていた。そして他の妖精達が大きく分厚い葉に楕円形の何かを乗せて魚の顔の隣に並ぶように飛んでいた。

(石……卵……?)

 人の頭ほどの塊を遠目に見ながらミーヴァは辺りを警戒する。



「ミーヴァ、お待たせ」

「終わったのか?」

「うん」

 と頷くユリの後ろ、湖を見ればあの巨大な鯉は顔を沈めた後だった。水面は緩やかに揺れているのみで、そこに大きな何かが居たこと等一切感じさせない。大きな影がそっと底に沈むのが見えた気がしたが、それも今の暗さだと見間違いに思えてしまいそうだった。

 ミーヴァは湖からユリへと視線を戻す。

「大丈夫だったか? あれが『ヌシサマ』?」

「みたい。ずっと昔からここに住んでたんだって。気づいたら長生きしてて、皆から(ヌシ)って呼ばれるようになってたって」

 ユリの後ろからぴょんと現れた妖精が「主様昔はこんなに小さかったんだって」「主様、この森の他のどんな生き物よりも長生き」と説明する。

(この湖にそんなのがいるなんて聞いた事ないぞ)

 ミーヴァは生き物大好きな友人の顔を思い浮かべ「あいつ(キリエ)が知ったら大興奮だな」と内心で呟く。

「で、それは?」

 ユリの抱えているおそらく卵であろう物を見て尋ねるが、ミーヴァは「あ、いいや」とすぐに自分の言葉を撤回した。

「先に戻らないとだよな。帰ったらそれについて教えてくれるか?」

「うん。そうだね」

 ユリは帰る事と説明する事との両方に頷き妖精たちを振り返る。

「お願い、また私達を飛ばしてくれる? できれば来た時と同じ場所に戻してほしいんだけど」

 人目が付かない場所、と大雑把に言ってしまうより屋敷の馬屋裏にへと頼んだ方が確実だろう。

 ここに二人を連れて来た妖精たちも「あ~、あそこね~」「オッケー、りょうかーい」「ばっちり承知!」と腕を振る。

 他の妖精達が「もっと話したい」「なんで帰っちゃうの」「ゆっくりしてけばいいじゃん」と声を上げたり、「これ食べる?」「これ飲まない?」と何やら甘い香りのする滴の乗った葉や香ばしい木の実を持ってきて勧めて来たりとしてくれるも、それにほだされるわけにはいかなかった。

 ユリは「ありがとう」と笑いながらも彼等の誘いの一切を断った。

 ユリのついでの様にミーヴァも、妖精たちに服を引っ張られたり食べ物を差し出されたりとされた。彼の耳元で数匹の妖精達が囁く。

「ミーはユリが好きなの?」

「僕らと遊んでくれたらユリとずっと一緒に居させてあげるよ?」

「私達と一緒なら森も優しくしてくれる」

「ユリが一緒ならもっともっと……きっと極楽だよ」

 しゃらしゃらと妖精たちの羽が擦れて心地よい音を鳴らしていた。周りの木々も、心なしか枝を広げて自分達の上を覆って行っているように感じた。

 彼等の声や音、漂ってくる森の香りが気分を気持ちよくしていく。それと同時にミーヴァはようとして知れない恐怖を胸の奥そこに感じた。

「ユリ!」

 ミーヴァがユリの手を掴む。

「……ミーヴァ?」

「早く帰ろう」

「う、うん」

「お前等、頼む」

 ユリを連れて来た妖精達が「はいはーい」と二人の前で息を合わせて羽を震わす。彼等の羽の光が強くなっていくのを見て、周りの妖精達は諦めたようにミーヴァとユリの元から離れていった。

 「ちぇー」「またねー」と妖精たちが手を振った。

 ユリは卵を抱えたままそれに返す。ミーヴァは妖精たちの無邪気な笑顔に肌を粟立たせていた。

 二人の前で準備を整えていた妖精の一匹が「せーの!」と声を上げた。二人を中心に風が渦を巻き地面を舐める。

 ミーヴァは握っていたユリの手に力を込めた。

「どっこいしょー!!!」

 来た時と同様の掛け声とともに、二人と三匹は風に覆われ空へ舞い上がった。



 ***



 夕食も済み湯あみも済ませた消灯時。

 アルベラは自室の窓を開け、外のちょっとした喧騒に耳を澄ませていた。

 大人たちは大きく騒ぎ立てないようにしているようだが、夕食前から何となく生徒達の間にもその騒ぎの原因については流れており、アルベラも耳にしていた。

 ―――ユーリィ・ジャスティーアとミネルヴィヴァ・フォルゴートが屋敷に戻っていないのだ。

(イベント始まってるなぁ)

 とアルベラは暢気に窓に腕を組み顎を乗せて夜風を満喫する。

 外では騎士達が明かりを持って森の中を散策しているようだ。

(日付が変わる前にはユリは卵を抱えて戻ってくるはず。令嬢だかの悪戯って言うのが原作の話の流れだったはずだけど―――なくしたイヤリングを探しにって言うのは悪戯じゃないよな。賢者様、そこら辺の再現は乱雑な方な意味の『テキトー』だったのかしら)

 今夜はもうエリーもニーニャも下がらせておりアルベラは部屋に一人だった。

 八郎も聖域近くにテントを張ったとかでそちらに戻っている。その範囲であれば通信機も通じる距離なので何かあればお互い声でのやり取りが可能だ。

 影の中にはコントン、窓辺にはスー。

 アルベラは視線を上げ、自分の頭の斜め上にぶら下がり目を閉じているスーの頬を撫でた。迷惑そうに身じろぎをし、彼女はカーテンに紛れるように壁際へと身を寄せる。

 「ケチね。誰に似たわけ?」と笑み、アルベラがもう少しちょっかいを出してやろうかとスーへ腕を伸ばした。


 ―――キャァーーーー!!!


 屋敷の中から女の悲鳴が上がった。

「……?」

 なんだと動きを止めたアルベラの側、暗闇からべろりと赤い舌が垂れ下がる。

『ワルダクミ ニオイ』

「コントン、見てくる?」

 バウ! と低く吠え、アルベラはコントンが影の中を伝って部屋を出ていくのを感じた。

(女子生徒の声? それとも学園のスタッフ? ……ユリ達の捜索で警備が疎かになって獣が屋敷に入り込んだとか……? ―――!?)

 アルベラが自室の扉を眺めながら考えを巡らせていると、そばで「コトリ」と物音がした。気を抜いていた彼女は驚いて肩を揺らしそちらを見る。

 音を立てたのはナールに渡されていた筒だった。アルベラの視線を避けて筒の陰に隠れる何かを見つけ、アルベラはその場から動かずに目を凝らした。

 じっと見つめていると、筒の影から一匹の妖精が顔をのぞかせた。可愛らしいとも美人とも、どちらにもとれるそれの表情は警戒に強張っていた。真っ白な肌が淡く発光しているようにも見え、「こんな目に付きそうな生き物がいつの間に」とアルベラは妖精の存在に気付けなかったことを不思議に思う。

「……ええと、どちら様?」

 アルベラは窓に片手を付いたまま尋ねた。

 妖精はアルベラをじっと見つめ「これを開けて」と要求する。

 その視線と声から友好的でない空気を感じ、アルベラは更に身構える。

「筒を? ……分かった。けどなぜか教えてくれる?」

 妖精は筒を抱きしめ、きっとアルベラを睨み上げた。

「サイプはきっとこの中にいる。あなたがあの子を閉じ込めた」

「サイプ?」

「ずっと見つからなかったこの森の子よ。私達の家族。あなたはこの子を捕まえてどうしようと思った? 羽を毟って皮をはぐ? はらわたを抜いて薬にして、取り出した心臓は耳飾りにでもする?」

 妖精の羽が淡く赤く輝いているように見える。

 アルベラは室内の温度が低くなったように感じ短い袖からのぞく腕を撫でた。手のひらにざらりと鳥肌の感触が残る。

「開けないの? 早く」

 妖精の催促に椅子から立ち上がった。ベッドの横に置いていた筒と妖精を見下し、アルベラは唾を飲む。

「その筒は空よ」

「いいえ、サイプの鱗粉がついてる。間違いない。―――早く」

「……」

 小さな生き物を見下ろしているはずなのに、自分が見下されているかのようだった。

 アルベラは筒に手を伸ばす。妖精が羽を広げ筒から離れた。

 小さな栓を指でつまみ、力を軽く込めれば容易くそれは抜けた。引き抜く瞬間「何もいる筈ない」という思いと「まさか」「もし本当にこの中に妖精が居たら」という不安が交差する。

「……」

 栓が抜けた筒からは何も飛び出してくる様子はなかった。

 アルベラは数秒筒を持ったまま固まり、何も起きない事に安堵して妖精を見た。妖精は宙に浮いたまま険しい顔で筒を見つめ続けている。

 何もいないのだ。だって、ここに来てこの筒はこの部屋から持ち出してもなければ栓を開けてもいないのだから。

「ほら何も―――」

 アルベラは筒を逆さまにして振って見た。そのひと振りで、ポトリと、どう見ても筒の口よりも大きなものが筒の中から現れて落ちた。

「サイプ!」

「な」

 なんで。

 アルベラは固まる。

 落ちた仲間の元に駆け付け、抱き上げた妖精は厳しい表情でアルベラを見上げた。

 羽は真っ赤に燃え上がり、ぶるぶると低い音を上げて振動する。

「嘘つき!」

 「嘘つき」「嘘つきだ」「みつかったんだ」「閉じ込められてた?」「閉じ込められてた」「やっぱり」「やっぱり」

 窓の外から聞こえてくる囁き声にアルベラはそちらへ目を向けた。幾つかの輝く羽と光の粒が待っているのが見えた。獣に囲まれたような感覚に冷や汗を浮かべていると、妖精たちの囁きの中一つの言葉が耳に入る。

 ―――「やっぱり、ユリとは違うね」

(ユリ?)

 ―――ゴウ……

「―――!?」

 アルベラは突然の事に両手で頭を庇い身を強張らせた。強い風に体が押し出され、窓の外へと引っ張り出される感覚。視界は追いつかず、紫の長い髪の合間に部屋の景色と輝く羽と空と大地が残像として残って交じり合う。

(なぁ!?)

「嘘つきには罰を!」

「悪い奴には罰を!」

「罪人には罰を!」



 遠ざかっていく窓が風に叩かれたかのようにばたんと閉じた。その内側で驚いたように青い翼がバタバタと羽ばたく。



 ***



 ―――ガサ……ガサガサガ……ドサッ

「っつぅ……」

 辺りの景色もろくに見ていられなかった暴風の中、突然に木の上に落とされたアルベラは背中に手を当てながらゆっくり起き上がる。

 木の枝と葉に囲われた周囲に、ここが地面の上ではない事は分かった。「なんなの」と零しながら顔にかかった髪を払い辺りを見回す。

 木の枝や葉が視界に入るも、その先には幾つかの雲と星と明るい月。落とされたのはやはり木の上だ。しかもそれなりに高い。

「なんでこんな……」

 ずっと訳が分からないまま。困惑以外の感情が湧いてこずアルベラは茫然と額に手を当てる。降りようと思えれば降りれるが……、と仰向けで木々に支えられた自分の体を眺め肌が剥き出しの足先と真っ白な寝巻に顔をしかめる。

(丸腰って……)

「なにしてんダ」

 かさりと揺れた枝にアルベラは顔を上げた。

「……マンセン!」

「よウ!」

「よう……って、貴方……しかもそれ、また他の木霊で……」

 木々が枯れた様な色をした木霊にアルベラは呆れとも何とも言えない息を吐いた。

「うるセー。世の中弱肉強食なんだヨ。てかオメーはなにしてんダ」

「何って……―――何なのかしらね」

「俺が知るカ」

「私も知らないわよ」

 とアルベラは身を起こして安定そうな場所を探り腰かける。

「ねえ、下りたいんだど貴方下ろしてくれる?」

「やだネ。風から落としてやっただけ有難く思エ」

「だと思ったわ……って……え? ここに私が落ちたのって貴方のせい、というか『お陰』?」

「あァ。何か入った風が飛んでっから良いもんでも入ってるかと思ってナ。俺は呪具かなんかを期待してたってのニ、出てきたのはコレだもんナ」

「あら、良いもの入ってたじゃない。大当たりよ、喜びなさい」

「ふーン。知ってっカ? 人間も素材になるわけだガ、つまりオメーがここで命を差し出すってんなら俺にとっちゃ大当たりってこったナ」

「ハズレで結構」

 アルベラは目を据わらせて返し、注意をマンセンから自分の乗る木へと移した。

 試しにコントンを呼ぶも返事はなく、マンセンも「いねーみたいだナ」と他人事に返す。

 「仕方ない」とアルベラは魔法を使い、自身を風で支えながら木の幹を伝手に、枝を足場に地上へと下りていった。裸足なのでそれなりに気を付けながら足を下していたが、地上に近づくにつれて視界は暗くなり足場の見通しは悪くなる。

(荷物の中には日光石もあるっていうのに……手元にないのが悔やまれる。せめて魔術書の一つでもあってくれれば……)

「―――おぉ……良かった」

 木の根元も近くなった所アルベラは足を止めていた。幾つかの光を生み出す印を試みそのうちの一つが成功する。夜の間、しかも野外でしか使えない印だ。月の明かりを手元に呼び寄せられるもので、光の度合いは月の明るさに左右される。

「ほれほレ、どーしタ。足がとまってんゾー」

(外野め)

 木の上から寝転んで見下す木霊を無視し、アルベラは黙々と木の上から下りていった。



(コントン無し……香水も無し……)

 カサカサ、と自分をついて来ているだろうマンセンの気配を感じ、アルベラは「ただし木霊はあり……頼りになるかは不明」と頭の中呟く。

(せめて靴くらい……あ、虫除けも欲しかったな……。香水があれば獣よけや虫よけくらいそういう匂いを広範囲にまき散らせられて良かったのに……。私の霧、何だかんだこういうシーンで結構便利じゃない?)

 アルベラは木の上から確認していた屋敷の方角目指し、足元を確認して慎重に歩いていた。靴さえあれば風で体を押し、跳びながら帰ったというのに……と考え「硬化の魔術、覚えられていれば」とまだ未修得のそれを口惜しく思う。

 彼女が歩いている間、午前の時同様デク坊が辺りに目に付いた。相変わらずそっとついてくるそれを見て、マイセンが「すげー数だナ」と他人事に笑い転げていた。

 ついてくるデク坊をたまに振り返りつつ、他の魔獣や獣の気配も気にしつつ。そうやって歩いていると幾つかの人の気配を感じ、アルベラは息を殺した。身近の気へ寄り添い、何処から現れるとも知れない相手に身を隠す。

(もしかしてユリ達を捜索している騎士達……―――ん? 私、彼等に見つかっていいのか? 自分から屋敷を出たわけじゃないのに、ここで保護されたら面倒なことになるんじゃ……)

 自力で帰れそうな距離なだけに、彼等に保護されるより誰にも気づかれず部屋に戻り素知らぬ顔で翌日を迎えた方が良いのではとアルベラは考える。

 となるとこの手元の明かりも、安易に照らして歩くのは悪手なのだろうかとアルベラは手のひらの上の月明かりを見下した。


「―――おい、誰かいるよな」


 アルベラが気配と感じた誰かもこちらに気付いていたようだ。

(……この声)

 ミーヴァだ、とアルベラは気づく。

(魔獣や魔族に惑わされていなければきっとそうだけど)

「騎士が隠れる筈ないよな。出てこい。じゃないとこっちから引きずりだすぞ」

(物騒な奴……。あっちもそれなりに警戒してるなぁ。これは本物っぽい)

 アルベラは手のひらの光を握って掻き消し、木の幹に背中を押しあてた。ここで顔を覗かせれば見つかるだろうか。

 さて、どうするべきか。とアルベラが悩んでいると、その頭上で見下ろしていたマンセンが魔力に気付き「お?」と声を上げた。それにアルベラが「え?」と小さく反応し上を見上げ、その一瞬の間に彼女の周囲に落ちていた葉がざわりと一斉に()()()()()()



「―――キャァ!!!!」

 叫び声に続き「ぶっ、ぷっ、ぺっぺっぺ……」と口に入った異物を吹き退けようとする音。

 ミーヴァの背に隠されていたユリが、耳にした声に顔をのぞかせた。

「み、ミーヴァ何したの?」

「ちょっと押さえてるだけだよ」 

「押さえてるって……、今の声女の人じゃ」

「族に男も女もないだろ。―――ほら、あそこだ。確認してくるからユリはそこで待ってて。お前等ユリを頼んだぞ」

 妖精たちが頷くのを確認し、ミーヴァがこんもりとした葉の小山が出来ている場所へと駆けていく。

 何処にいるかは分からなかったが、どこかの誰かが自分達から隠れていたのは確かだった。その人物は木の幹を盾に様子を伺っていたようで、辺りに十分すぎるほどある葉に一斉に覆いかぶされ押しつぶされていた。

 木の葉の山を覗き込むと、ミーヴァは見覚えのあるラベンダー色のウェーブ髪に「え゛……」と声を漏らす。

 木の上からコロコロと楽し気な、何かが笑い転げているかのような音がしたがその犯人は分からなかった。

「ミーヴァ、どうし……」

 ミーヴァが魔術を解いたのだろう、彼の前に積もっていた葉がばさりと舞い上がり、その中から一人の人物が身を起こした。ぶわりと突風が起き彼女の周囲の木々を揺らし葉が吹き飛ばされる。

「さいっっっあく!!!!」

 感情のままに風を起こしたのであろうその人物はイライラと服を払い、乱れた髪を手櫛で整えだした。

 ユリは彼女の寝間着姿に目を丸くし、確認するようにミーヴァに視線を送った。ミーヴァからは困惑の視線が返され、ユリもコレが夢や幻でない事を理解し彼女に灯した明かりを向けた。

「―――アルベラ?」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
a95g1rhgg3vd6hsv35vcf83f2xtz_7c8_b4_b4_2script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ