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21、王子様の誕生日 5(ヤッベー奴) ◆

挿絵(By みてみん)


 アルベラに呼ばれ現れたエリーは、初対面の王子様と騎士見習いへ恭しく首を垂れた。

「アルベラお嬢様の側付きをしております、エリーと申します」

 ラツィラスは慣れたように挨拶を返しジーンもそれに倣らう。

 ジーンはエリーの速やかな出現に驚き、好奇心旺盛な王子様は何を嗅ぎ付けたのか「面白そうな人が来た」と瞳を輝かせていた。

 エリーの召喚。

 これで勝ったとアルベラは心から安堵の笑顔を浮かべる。

(とりあえずこの場はなんとかなりそう……)

「フォルゴート様がお越しよ。あなたからもご挨拶を」

「は……な……」

 ミーヴァは鳥肌をたてている。信じられない物を見るようにエリーとアルベラを交互に見た。

「あらぁ、やっぱりあの時の~。今日は一段と可愛らしいわねぇ、フォルゴート様♡」

「うっ……!」

 ずいっとミーヴァに身を寄せ、指先で肩に円を描くような仕草をするエリー。ミーヴァは気圧され後退した。

「な! な、な、な、なんでお前がここに……。なんで……、そんな、まさか……」

 その問いかけの視線はアルベラへ向けられた。

「ええ、ですから私が雇いましたの。あの後すっかり意気投合しまして」

 アルベラはニコリと笑む。

「ああ、そうだ! 折角ですからエリーも交えて一緒にお話しいたしましょう、フォルゴート様」

「……!?」

 ミーヴァはぞくりと身震いし顔を青くした。

「……い、いい! 今はダメだ! 用事……が、ある。丁度用事を思い出した……ひ、人を待たせてるんだ! 邪魔をしたな!」

「あらぁ。用が済んだらぜひまたお戻りになってぇ♡」

 エリーも楽しんでいるのだろう。ワザとらしいセリフを吐きひらひらと手を振る。

「ぜ――!!」

 絶対に嫌だ! と、ミーヴァば反射的に言いそうになっていたが、なんとか理性がそれを押さえ込んだ。何度か口を開閉し、ごくりと唾を飲んで言葉を改める。

「あ、の……ラツィラス王子、ジェイシ様、すみません……えっと……――し、失礼します!」

 まさに脱兎だった。

(エリーの前だとあの子はすっかり子ウサギね)

 アルベラの脳裏でミーヴァの背がいつかのニーニャ・ブラーデンと重なった。

(彼女、うまくやってるかしら。……うまくも何も待ってもらうだけど。……ともかく今はこちらに集中ね)

「かわいいわねぇ。この先が楽しみだわぁ」

 隣のオカマがうっとりと呟いて笑っている。

(子ウサギが成長したところで結局は狩られるウサギ……)

 哀れなり、とアルベラはもう姿も見えない相手へ心の手を合わせた。

(あ、そうだ。王子とジーン)

 慌てて思い出し視線そちらへ向けると、悲し気な表情の王子様がいた。ジーンは今のやり取りに疑問符を浮かべているようだ。

「お、王子……なんて顔を……」

 哀れみを誘う彼の表情にアルベラの胸がじわりと締め付けられる。

 「あーあ。王子泣かせた」とジーンが罪悪感を煽り、アルベラは咄嗟に「泣いてない!」即否定する。

 実際に王子様は泣いていない。

 少し残念そうな顔をしているだけである。だというのに泣かれているのと同じくらいのダメージがあるのは何故なのか。

「アルベラ嬢、なぜ彼を行かせてしまったんですか……?」

「う……」

 身をすくめるお嬢様に、エリーは楽しそうにほほ笑む。

(そろそろお邪魔かしら)

 とタイミングを感じて、彼女は静かに頭を下げて壁際へと戻っていった。

(エリーさん、助けてくれないんですか?)

 アルベラは去ってしまった彼女を恨めしげに目で追う。しかし思いは届かずだ。

 王子の熱い視線を感じ、あまりの居づらさと湧きあがる罪悪感に一歩後ずさった。

(なんだろう……。本当の事を言った方がいいのかな。王子様が悲しんでる……どうにかして上げないと……。――……は? 待って、なんで私がそんな気を使ってあげないといけないの……? けど彼にこんな顔をされると苦しい……やめて、そんな顔で見ないで、許して……)

「お、王子……」

 アルベラが口を開きかけ、タイミングよく「失礼いたします」と第三者の声が割り込んだ。アルベラが見上げると王室のマークがついた執事服の初老の男性がにこやかに頭を下げている。

「ああ。ギャッジ」

 ラツィラス王子が顔を上げた。

 ギャッジというこの男性は王子様専属の執事のようだ。どうやら王子様にぜひとも挨拶をしたいご令嬢が御待ちらしい。

 先ほどまでの悲し気な表情はどこへやら、けろっとした様子でいつもの笑顔を湛え「ちょっと行ってくるね」と王子様は手を振り去っていった。

 アルベラは大きく息を吐き出す。

(――……っあっぶな!!!! わ、私さっき話そうとした? 何で、ちょっと悲しそうにされただけじゃない! あの顔? それとも声? 瞳? 匂い? フェロモンでも出てるって言うの!? ふざけないでよ。表情一つで口を割らされたらたまったもんじゃないじゃない!)

 胸に手を当て自分を落ち着けている様子のアルベラへ、ジーンは観察するような目を向け首を傾げた。

「何?」

 じとりとアルベラが視線を返せば、彼は「何も」と首を振る。

「けど、やっぱり関わってたんじゃないかって」

「まっっったく心当たりありませんわね!」

「そうか」

 ジーンはそれ以上言及してこなかった。が、個人的な答えは既に出しているようだ。

 これ以上自分がどう否定しようが彼の導き出した正解を変える事は出来ないのだろう、とアルベラは諦める。



 その後、アルベラがジーンと別れようとしたタイミングで王子様が戻って来て彼女を引き留めた。

「アルベラ嬢、じゃあ人攫いの件は見逃してあげますから、誕生日会の後の件を聞かせてください。あと次の日のお散歩は楽しめましたか?」

「う……」

 なぜか弱みを握られた感覚だ。

(窓から出た件はどうせばれてるんだし――)

 ――窓から垂らしたロープを登れなかった事――次の日街で出会って雇った美女の事――彼女がオカマだという事と人攫いグループのボスを倒したという事は伏せて、アルベラは話せる範囲を話した。

 しかしアルベラが話すまでもなく、王子様は誕生日会の後の事はほとんどジーンに聞いて知っていた。

 「まるで報告が事実か確認をされてるみたいだ」と思いながらアルベラは話していく。

 アルベラが窓を使用し屋敷に入ろうとした際に手が届かず、ジーンに四つん這いになり台となれと頼んでみた事も、即答で断られた事も、王子様は知っていたようだが、改めて本人の口から聞き目に涙を浮かべ笑っていた。

(王族様に楽しんでいただけて何よりですよ……)

 それはそれは彼が楽しそうに笑うので、アルベラは投げやりな気持ちになる。

 「もう煮るも焼くも好きにしてください」とやさぐれた雰囲気を出していたので、それが更に王子のツボに入っていたのだが本人が気づくことはない。

(未来で敵対する事を気にして、警戒してるのは私だけなんだもんな……。警戒してる癖にこんな子供に良い様に転がされて……私のビビりチキン豆腐メンタル……強く出られないのが口惜しい……)

 だって前世は人との衝突を避けて無難な人間関係を築くよう努めていた善良な一般人だったんだもの。子供に冷たくできない私むしろ偉くない?

 とアルベラはうだつの上がらない自分を「でもでもだって」とフォローする。

(はぁ……もうそろそろいいでしょ。私、十分頑張った)

「王子、」

 アルベラは母を真似て社交の笑みを浮かべた。

「非常に心苦しいのですが私はそろそろ退散させて頂こうかと思います。王子を他の方々へお譲りしないと……、お二人を私が独占しては他の方方から恨まれてしまいますので……」

 実際、三人の周りではまだかまだかと話が終わるタイミングを待っている者達がいた。

 「あの子誰?」「話し長くない?」とアルベラを探ったり避難するようなやり取りも聞こえ始めている。

 王子様は周りの様子に気が付いたように「ああ……、そっか」と呟いた。

「ありがとうございます、アルベラ嬢。すっかり話に夢中になってしまいました。また今度、ゆっくりお話しましょう」

「こちらこそ、王子と話せて楽しかったです」

(嘘です。とても心臓に悪かったです……)

 「あとジーンも」と付け足し礼をすれば、「おう……」と不愛想な返答が返って来た。

「パーティーを楽しんでいってくださいね。舞踏会でもよろしくお願いします」

 そう言い残して王子様はジーンと共にアルベラの元を離れていった。

 アルベラと別れたあとの二人へ、待っていた者達が「次は我こそが」と声をかけていく。

(王子様、単純に相性悪いのかなぁ……)

 アルベラはため息を零した。

 何であんなにやりずらいのだろう、と舞踏会を思うと億劫になってしまう。

(王子と踊ったりなんてしないよね……――いや、するか。するよな……公爵家だもの。王族側もマナー的に、社交辞令的に声かけるわなぁ……はぁ……)

 「我が故郷が恋しい……」とアルベラは窓の外へ目をやる。

 そこからはの木々の間から故郷の物とは似ても似つかない豪華な時計塔が覗いていた。

 気づけばこの会もあと一時間ほど。

 「早く終われ」とアルベラは待ち遠しい夜の計画に思いをはせる。



 王子やジーンと分かれてすぐ、アルベラがあの件の口止めのためにミーヴァでも探そうかと考えていた矢先――

「あ、あの、」

 ――遠慮ぎみに声をかけられアルベラは振り返った。

 そこにいたのは大人しそうな少女だ。

 シルバーグリーンの長髪に淡い黄緑色のドレス、シンプルで大きな白い花の髪飾り。全体的に儚げな印象をした少女だった。

 肌の白さと前髪の長さが目立つ彼女はおどおどしながら、思い出したようにペコリとお辞儀をした。

「は、はじめまして。スカートン・グラーネです。あの、あなたは?」

「初めまして、アルベラ・ディオールです。グラーネ様、何かご用でしょうか?」

「あの……ディオール様は王子とジェイシ様とはお知り合いで……?」

「あぁ……」

(なんだ。王子様のファンか)

「はい。ですが王子とお会いしたのは以前に二度だけなんです。ジェイシ様はこないだ初めてお会いしましたし」

 そんなに親しい仲でもないのよ、と言ってしまうと不敬なのでやめておくが、ほぼ初対面である事を強調した言い方を選んだ。

(もしお決まりの『あんた生意気ね!』系のイベントでも起きようものなら……いいわ。こちらにはエリーという秘密兵器があるし。いざとなれば実力行使。子供相手に恐れる事はない!)

 なんでも来い、とアルベラは待ち受ける。

「そうなんですね。そんなに関わりがある方ではない、のですね………。あの、とても仲良さそうに見えたので、その、どういう関係か気になりましたの。えっと……」

 なーんだ、やっぱり王子様のファン……と甘く見ていたアルベラはすぐに相手の異常性を思い知る事となった。

「わ、私は3年ほど前に王子と出会いまして、その、あの方といるととても幸せな気持ちになれるんです。なりますよね……? ですからえっと、友達とかではなく、もちろん恋人だなんてそんなたいそうなご関係に私がなろうだなんて厚かましすぎて全くなろうとは思ってないんですけど、けど、やっぱり好きなモノや愛しいモノって人に限らず動物や植物や芸術でも見守りたいと思うじゃないですか。それで、今日はせっかくお誕生日にお誘いいただいたのに、わ、私ったらご挨拶にもまだいけてなくて……。どうしようか悩んでいたら王子とジェイシ様が楽しそうにどこかのご令嬢……あ、あなたとお話しされていましたので気になって――」

 初めは遠慮気でたどたどしいと思われていた少女の言葉だが、話し続けるうちにその勢いは増していた。

 アルベラは彼女の言葉の数と勢いに圧される。

(な、なんだろう。想像と違った……。ファンというよりオタク……? 大好きなモノへの愛が止まらないタイプ? 王子にまとわりついた悪い虫じゃないか確認しに来た感じかと思ったんだけどあってる?)

 特に害がないなら彼女の疑いを晴らして済まそう。そう平和的解決を望むアルベラの耳が()()()()()をやけに鮮明に拾い上げた。

「――だからほら、髪や爪も毎日肌身離さずもっていて。なのに私ったら、全然王子に慣れる事が出来なくて、つい緊張しちゃって……」

「――……は?」

 アルベラの背中に冷たいものが走る。

「爪……髪……?」

「えぇ、はい」

 少女は首を傾げた。

 見たいですか? と問う彼女は答えも聞かず胸元のロケットをアルベラに寄せた。両手で包み込むようにしてこっそりと開いてその中身を見せてくれる。

「ね? こんなに綺麗に……。見てください、この輝く黄金色。素敵でしょう? こうして眺めてるだけで胸が落ち着くんです……。なのに私ってば、ご本人を前にすると挨拶もちゃんと出来なくて……。分かってるんです。私なんかが見守らなくたってジェイシ様がいらっしゃいますし、何も心配することなんてないんですが……――なのに、私なんかが……私はただ王子に平和に暮らしていて欲しいだけなんです。悲しまないで、苦しまないで、いつも幸せを感じて笑っていてほしい、それだけなんです……けどどうそれを伝えたら良いのか、近くに行けば頭が空っぽになってしまって、全然思っていたことをお伝え出来なくて……――でも、最近気づいて、近くに行かなければいいんだなって。こうやって離れていた所から王子を見守って……そうしたらちゃんと『幸せでいて下さい』って、思っていることが出来るんです。ジーン様と楽しそうに話して、安心して笑っている王子を見ていると私もとても胸が暖かくて、安心して――」

 彼女の言葉はアルベラの耳を通っては抜けていく。

 王子様への思いを熱弁する彼女。アルベラは一言、確かな言葉を脳裏に浮かべた。

 ――「あ……こいつ、ヤッベー奴だ………」と。

 目の前で頬を染めて話すグラーネは長い前髪の隙間から覗く瞳をギラギラと危なげに輝かせていた。

 大好きなモノについて語る人間を、しかもまだ十歳前後であろう少女を、こんなにも恐ろしいと思ったことはアルベラの人生で一度もなかった。勿論前世でも。

 気づけばアルベラとグラーネの回りでは、大人子供問わず肌寒さを感じるように遠のき始めていた。

 グラーネの熱意に置いて行かれたまま、アルベラは恐ろしい少女を前に棒立ちになる。

(どうしよう。どうしようどうしようどうしよう……――怖い。この子結局私になんの用なの。怖いし、早くミーヴァ探して口留めしたいし、怖いし、怖いし、怖いし……)

 「あーーー!」と声を出し、耳をふさいで駆け出したかった。

 アルベラは遠くを見て途方に暮れる。



「――見つけた! ちょっとあなた!」

 そこへ今度は鮮やかなピンクと白のドレスを着た少女が割り込んできた。

(助かった!)

 という期待と共にアルベラはその少女に目を向ける。

 しかしアルベラの「助けて」という信号はピンクドレスの少女には届いていない。

 彼女の後ろには二人の少女が控えており、声を掛けてきたピンクドレスの少女合わせその三人はいずれもアルベラに用があった。

 彼女らは律義にグラーネとの会話が終わるのを待っていたのだが、熱く語りだしたグラーネの言葉には終わりが見えず、思いきって割って入ってきたのだ。

「あなた。どちらのご令嬢かしら?」

 ピンクドレスの少女が代表してそう尋ねる。

 助け舟だと言わんばかりにアルベラは歓迎の笑みでお辞儀した。

「隣り街のストーレムから参りました。アルベラ・ディオールです」

 ディオールと聞いて後ろの淡い紫のドレスの少女が反応した。彼女は知らない様子の他の二人へ小さく耳打ちしている。「こうしゃく……」という単語が漏れ聞こえてくるのが子供らしくて可愛らしい。

 公爵と聞いた二人はピクリと肩を揺らした。

 どうやら三人はアルベラの父の爵位にやや引き目を感じた様子だった。

 父万歳。爵位だけで面倒事を予防してくれるなんて、とアルベラは心の中仕事中の父を称賛する。



「どうしましたかな、ディオール公爵」

 「今晩の街の件」で城の官僚との話の合間。

 ラーゼンはコーヒーを見つめニタニタ笑みを浮かべだしていた。

 そんな彼へ官僚は気味悪そうに声を掛けたのだ。

「あぁ……。今急に可愛い娘の顔が浮かびましてな。今頃昼のお茶会を楽しんでいるのかなと」

「そ、そうですか……」

(本当に親バカな……)

 呆れられてる事など気にもせず、ラーゼンは愛娘を思い表情を緩める。



「で、そちらのお三方さんかたはどちらのご令嬢でらっしゃるの?」

 アルベラの問いにピンクドレスの子からおずおずと答える。

「ラビィ・ケイソルティ。この国の北部にありますカーホドーイの街から参りました」

「カメルーラ・アラレモス。同じく北部のダアキの町から参りました」と、淡い紫ドレスの少女。

「マーメー・ピリル。同じく北部。ガーハンドの町から参りました」と、水色のドレスの少女。

 街の名前までは知らないが、流石王族の誕生日。国内各地から人が集まってるのだろう。アルベラの十年の経験で国の北部からの来客と言えば商人と親族位だ。屋敷に籠っている限り近辺範囲外の客人と出会うことなどなかった。

(うーん。名前だけじゃ相手の爵位なんて分からないな)

 紫ドレスの子はよく分かったなぁと感心する。

「それで、ケイソティル、ケソリティー……ケイ……ケイ…………ケティ様方は私にどんなご用でしょうか?」

「ケイソルティ! 勝手に略さないでくださる?!」

「いえいえ、折角ですし仲良くしたいですもの。ぜひケティ様と呼ばせて下さいませ。私の事もマナーの範囲内でしたら好きに呼んでくださって構いませんので」

(名前……気抜いててちゃんと聞けてなかった……。一気に三人だったし、仕方ない仕方ない……)

 やや反省しつつケイソルティ改めケティを見るが、名前については案外問題なさそうだ。

 今は彼女達の頭のなかを別の問題が占領しているお陰か。

 アルベラの父の地位が引きずってるようで三人はどう出たら良いか迷っていた。仕方がないのでアルベラから彼女らの背中を押す。

「遠慮せずどうぞ。大丈夫です、誰にもいいません。その代わりケティ様方もお願いしますね」

 アルベラは王子絡みの皮肉前提で話を進めていた。

「え、ええ。分かりましたわ」

 まだためらいの見える後ろの二人だが、ケティは当初の気持ちを建て直したようで、アルベラの言葉でずいっと前に出て目尻をつり上げる。

「――あなた、王子に馴れ馴れしくしすぎなのよ!」

 予想的中!

(率直でいい! 分かりやすい!)

 とアルベラは心の中で拍手をしながら目の前の少女を褒め称えた。



※ここまで読んでいただき有り難うございます。

 只今一章の文体を修正中です。

 8/19現在ここまで修正しました。

 以降の話もこれから少しずつ修正を進めて参ります。


 一章ではこの話以降とつぜん一人称で進む個所があります。

 「一人称が書いてみたい。けど別で短編を書いたらこっちの更新がきつくなる。じゃあこっちで一人書書いちゃえばよくない? 話も進むし試したい事試せるし一石二鳥!」と挟んでしまった個所です。

 今後そちらも他の部分と同じく三人称に修正してまいります。

 読みづらくて申し訳ありませんがよろしくお願いします。


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